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アセス準備書へ、名護市長意見(8月25日)

環境アセスの手続きは進行中だった。昨日(25日)、名護市沖縄県に対して「準備書への意見」を提出した。今朝の新聞報道が伝えている。

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普天間アセス名護市長意見 南350メートル西150メートル移動提示
琉球新報2009年8月26日

普天間アセス名護市長意見、県に提出 沖合移動と検証要望
沖縄タイムス2009年8月26日

沖縄県は市長意見と近く出される宜野座村長意見を踏まえ知事意見をまとめ、10月13日までに国に提出する。

名護市意見の概要を「続きを読む」以降にまとめておく。

名護市の意見を新聞報道から整理すると、意見の目玉はやはり沖合移動である。

  • 政府案に対して沖合移動を求める従来の名護市試案(南側350メートル、西側150メートル)を基本に評価書を書くよう求める。
  • 準備書で市試案が環境への影響が大きいとされたことから、次善策として政府案を南西方向に100メートル、200メートル沖合に出した案も検討するよう要望。

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これらの案はいずれも県アセス条例規則でやり直しを必要としない「軽微な修正」の範囲を超えており、要求通りになればやり直しは避けられない。

しかし名護市側は「アセスのやり直しは想定していない」とのことらしい。意味がわからない。県アセス条例規則など名護市としては関知しないということか? さすが名護市である。

名護市試案は、事業者が準備書段階で騒音増減等を比較した結果、環境への負荷が大きいと評価しているが、それらについても名護市としては関知しないということなのだろう。

そのほか

  • 騒音検証にあたってのデモフライト
  • 航空機の施設間移動や訓練ルートを明確にした上での騒音予測・評価
  • 準備書で新たに示されたヘリパッド、184メートル級船舶が接岸できる護岸、弾薬搭載施設など運用計画や施設規模の詳細
  • 集落に近いヘリパッド1カ所について反対
  • 運用開始までの使用協定締結
  • 1700万立方メートルの埋め立て土砂の採取や購入計画の速やかな公表
  • 塩害や台風時の影響、潮流変化による海浜の移動について、詳細な予測を要望
  • ジュゴンの詳細記述

などが意見として求められているらしい。

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今後、民主党連立政権になったからといって、すぐさまこの計画が中止されることは考えにくいし、行政としては意思決定がなされるまでは継続しなければならない。ご苦労なことだと思うが、準備書段階で計画の諸元がさみだれ式で出てくるようなデタラメな事業環境アセスなど、大元のところで狂っているとしかいえない。
普天間飛行場への米軍のMV22オスプレイ配備計画も報道されている、新基地が建設され供用開始されるときの機材はオスプレイであるのははっきりしているのだから、それらを環境影響評価に組み込まないのはおかしい。

いずれにしても、普天間飛行場の周辺で2年近く暮らして思うが、街のど真ん中に航空機の訓練施設があるのは異常極まりない、これが試験段階等で何度も墜落しているオスプレイの訓練施設となるなど常軌を逸している。

名護市は自分達が何を受け入れているのかを知らないのではないだろうか。

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民主党連立政権は、この問題に対してすぐ動けるだろうか。日米関係の複雑さや対等なパートナーシップをつくりだすための様々なやりとりを経なければならないだろうが、最重要課題として、取り急ぎ現在進んでいる新基地建設のステップを凍結させるぐらいの措置はみせてほしい。それぐらいには、小沢・鳩山・前川…みなさん口を揃えて県外移設を明言していたのだから。

30日の総選挙の結果は、民主党の勝利で政権交代はなされるだろう。社民党共産党はどれほどの議席を得ることができるだろう。民主党は現在はまだ、結果がどう出ても社民や国新と連立を組むと明言しているが、来年の参院選の結果次第では、安全保障政策に対するスタンスが違う社民党連立政権から切られる可能性も考えられる。

新基地建設が連立政権の中でどのように扱われるかは、今後の動向を考える上でも最重要課題である。今回の総選挙で、沖縄から民主党衆院議員が誕生したら(私はすると確信しているが)、彼らにかかるプレッシャーは大きなものになる。初志を貫き、がんばってほしい。

しかし、名護市は、もう新基地建設反対を公約する市長候補を擁立することもできないのだろうか。私が力不足だったことを恥じ入りもするが、なんだか、なんだかで、すこぶる残念である。

[E:end]