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宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

仲井真らが招き寄せる闇

できるだけ短く、要点のみを書こうと思う。

沖縄が直面している闇は深い。あまりにも深すぎて、奇妙な明るささえ伴っている。

 

保守系首長たち

仲井真知事に3選出馬を促す首長たちの新聞記事*1を読んで、ずっと引っ掛かっていることがある。

明らかに首長らは「一括交付金制度」等を仲井真知事の成果として感謝している。それは感謝する奴らの勝手だから、感謝そのものには私はなんとも思わない。批判的言辞としては「一括交付金制度」そのものが予算を積み上げる根拠になる数値も何もかもが不明瞭でいわゆる掴み金になっていることは、予算を調整し拠出する政府が沖縄を支配する道具として使う事が可能であり、制度創設の際に沖縄側は全力で予算総額を積み上げる仕組みの透明化とコンセンサスを得る努力をなすべきだった。それをせず、総額確保に与野党・保革一体となり一生懸命になった沖縄側の政治は、あのときある種の限界を露呈していた。

首長たちの感謝と3選出馬を促す声に仲井真知事はこう応えている。

「(県の21世紀ビジョンを)しっかりやっていきたい。まだ始まったばかりだ」

沖縄県の「沖縄21世紀ビジョン」は市町村の総合計画にあたるもので*2沖縄県のすべての計画の基本となり行政運営の総合的な指針となる最上位計画である。*3

「しっかりやっていきたい」という仲井真知事だが、私には仲井真知事の辺野古埋立承認は、明確に「沖縄21世紀ビジョン」に反しているとしかおもえない。こんなこと言わせていていいのかという気しかしてこない。

沖縄21世紀ビジョン

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「沖縄21世紀ビジョン」では、「沖縄の自然は、天賦の貴重な贈り物であることを認識し、豊かな自然を守り、次の世代、さらに次の世代へ送りつなげる」と記述されている。しかしあらゆる開発行為は自然に影響を与える事は免れないのだから、守り次代へとつなげるが完璧に厳守されることはないだろう。しかし、だからといってジュゴンの生息域であり生物多様性の宝庫となっている辺野古沿岸域や大浦湾を、基地建設で破壊することを所謂一般的な開発行為と同様には語れない。仲井真知事は埋立承認を事務的に処理した結果だというが、環境影響評価書に対する意見と承認は明らかに矛盾しており、単なる事務的処理の結果だとは言えない。

しかし、希代の詭弁家である仲井真知事は、それでもどうにでも言い逃れる言葉を吐くだろう。

「沖縄21世紀ビジョン」は、国と県の役割について次のように位置づける。

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明らかに沖縄の過重な米軍基地を「著しい不均衡状態」と認識し、「安全保障体制の是正」を求めている。辺野古新基地建設は、安全保障体制の是正につながるのか。決してつながらないことは火を見るより明らかである。いかに仲井真知事や自民党沖縄県連が、辺野古新基地建設以外の事柄で訓練移転や負担軽減を政府に求めたとしても。辺野古新基地建設を是認する事で「安全保障体制の是正」への道筋を破壊する事実は糊塗できない。

日米両政府は直近の日米共同声明で明言している。*4

普天間飛行場キャンプ・シュワブへの早期移設及び沖縄の基地の統合は,長期的に持続可能な米軍のプレゼンスを確かなものとする。

日米共同声明が発しているのは、「著しい不均衡状態である安全保障体制」を長期的に持続可能にするであり「是正」ではない。仲井真知事と自民党県連が行っていることは、このような認識を持つ日米両政府に協力していくことなのである。沖縄は自らを著しい不均衡状態である安全保障体制の中に確かなものとする。

確かに沖縄県民の中にも、一定程度の米軍基地負担は致し方ないと考える人もいるし、日米安保を必要とする人々もいる。

であるから、基地のない沖縄などということは革新が言う理想で絵空事だと嘯く人もいるだろう。だがしかし仲井真知事が「しっかりやっていきたい。まだ始まったばかりだ」という「沖縄21世紀ビジョン」では、「平和協力外交地域」として沖縄を構想し、次のように展開方向を位置づける。

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米軍基地の整理・縮小を着実に進め、将来的には基地のない平和で豊かな沖縄を目指す。大事なことなので二回記しておこう。「将来的には基地のない平和で豊かな沖縄を目指す」である。 これが、仲井真知事が「まだ始まったばかりだ」という「沖縄21世紀ビジョン」が目指しているものである。おまえ、反しているぞ。

カネかすべては?

「沖縄21世紀ビジョン」と辺野古新基地建設=日米共同声明にある「長期的に持続可能な米軍のプレゼンス」は相容れない。

仲井真知事と仲井真3選を促す市町村長/議長らは、何を考えているんだろう。

おそらくは、理想では飯は喰えない。経済を回すためには振興策が必要だ。一括交付金制度も然り、背に腹は代えられない。仲井真知事はよく仕事し成果を出している。…ということなのだろう。

そのように考える人々も決して少ないんだと私はおもう。

だが、長期的に持続可能な米軍のプレゼンス」を受け入れる決断と覚悟はあるのか沖縄は。それは1945年から地続きで米軍基地の島とされてきた70年近くを、向こう100年継続するということ。

仲井真知事と自民党県連、3選を支持し応援する市町村長たちは、明確に県民に答え問わなければならない。長期的に持続可能な米軍のプレゼンスを我々の決断で確かなものとしましょう」と。

それが「沖縄の心」に適うのか、私にはなんとも違うとしかおもえないが、実際、人々は我々の社会は、そうあるようにある。

 了

http://www.flickr.com/photos/30026492@N08/3373266876

photo by Akira ASKR

*1:琉球新報6月29日「仲井真知事「一呼吸時間を」 保守系首長、出馬促す

*2:総合計画は2011年の地方自治法改正で法的な策定義務こそなくなったが、現在でもほとんどの自治体が長期計画として策定している

*3:沖縄21世紀ビジョン(PDF)

*4:日米共同声明:アジア太平洋及びこれを越えた地域の未来を形作る日本と米国 | 外務省