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東四間切市民通信2号B面

 東四間切市民通信2号【人権はつくりだすもの編】B面

基本的人権の尊重」や「国民主権」について、わたしたちの身近な南城市の事例から考えてみましょう。

 南城市での事例

市役所がおこなうさまざまな仕事は、市民の暮らしに直結することがたくさんあります。その方針で、影響を受ける人もたくさんいるわけですから、いろんな意見が出てくることになります。

市長さんと市役所職員は、さまざまな人々の意見を聞きながら、市役所の方針を決めることになります。

南城市では「保育所民営化の基本方針」があり、そのなかでは市が運営する保育所をひとつは民営化しないで残すとされていました。

きょねんのことですが、残していたひとつも民営化して廃止するという方針が市役所からとつぜん示され、納得できない市民から、公立保育所を残してほしいという要望が、おおぜいの市民の署名を付けて市役所に提出されました。

これは、さきほどわたしたちがみてきた、日本国憲法にいちづけられた請願の権利をつかった市民の行動ですね。

署名者への電話は人権侵害

2016年6月10日の南城市議会。市長さんは、保育所を残してほしいという要望書に署名した市民について、「電話して事情を確認したら、理解していない署名者がたくさんいたので市の方針について説明文書をつくった。それを署名者ひとりひとりに手渡す」と発言しました。

要望書に署名しただけで、市長さんから直接電話を受けたらびっくりしますよね。署名なんてしなければよかった、市長さんに名前を覚えられてなにか不利益を受けたらどうしようという気持ちになる人も出てくるでしょう。市長さんのような権力を持っている人は、住民がそういう気持ちにならないよう、配慮して慎重に行動することを憲法は求めています。憲法16条にある(請願者は)「差別待遇を受けない」は、萎縮させるような圧力を加えることも許されないことが当然含まれると最高裁判所判例も出ています。

同年6月13日の南城市議会。市長さんは、10日の議会発言をひっくり返して、電話は架けたのではなく「50件ぐらい架かってきたのだ」と発言します。

市長さんの話は、議会という公式な場で、二転三転し続けました。わかりにくいのですが、同年6月24日の議会最終日の発言を議事録からまとめてみると次のようになります。

  • 相手から架かってきた電話をとることができなかったので、市長さんは後から返信した。
  • (50件ぐらい)電話を受けたということについては、新聞の掲載記事を見ておどろいた市民からの電話を受けたものである。
  • 要望書の署名は3名立ち会いにおいて、すぐ金庫の中に入れて一度も見てない。

市議会では、この市長さんの発言をぜんぶ信じたのかは、わかりませんが、議事録をよむかぎり問題視されなかったようです。

市長さんは、10日と13日の発言の違いについて「(10日の答弁は)感情的になっていた。私が発言した通りに報じるかどうか、マスコミを試すためだった」と新聞でコメントしています。

市長という公人が、議会という公の場で、「試すため」にウソの発言をする。にわかには信じられない、とんでもない発言です。

署名者に電話したのか、受けたのか、市長さんの発言はどれがほんとうなのかよくわかりませんが、いずれにしても「国民主権」にもとづき市民が持つ権利、「基本的人権」がおびやかされた可能性のある「事例」だといえます。

人権意識のたいせつさ

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この南城市の事例から、私たちが学ぶべきものはなんでしょうか。公立保育所を全廃するという政策についての賛否は別にしても、さいていでも次のことがいえるとおもいます。

◯市役所の仕事をどのように進めるかは、いろんな意見があるので、みんなの合意形成をたいせつにしなければならない。

◯住民の基本的人権に配慮し、市長さんや市役所の仕事は行われなければならない。

特に2点目は、市長さんの政策や行政手腕いぜんの話です。市長や議員というわたしたちの代表の持つ権限はとても大きいのです。わたしたち市民は、その代表が人権を軽くみることを許してはいけません。人権は、誰かから与えられるものではなく、人びとの要求により生み出され、つくりだされてきたものであり、わたしたちが守らなければならないたいせつなものです。

わたしたちの南城市がだれにとっても住みよい市として発展するためにも、みんなで人権を守りはぐくみ、南城市のまちづくりやさまざまな問題について、みんなの合意形成をだいじにしていきましょう。

 

【資料】日本国憲法にみる人権のいちづけ

第11条「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」

第97条「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」

 市民通信2号では、南城市内に住む小口幸人弁護士にコメントを寄せてもらい掲載させていただきました。

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