ブラッドミュージック
写真は、我が家の近所の田芋畑。宜野湾は水が豊富で、戦前は見渡す限り良好な水田が広がっていた土地らしい。その名残である。
なごなぐ雑記を読んでくれているアメリカ在住の沖縄出身の方から一週間以上前にメールをいただいた。
彼女は、コザ市(現在の沖縄市)出身。「複雑な条件」で、現在は米国に住んでいる。黒人系沖縄人アメラジアンで、14歳のときにアメリカに行ったため、一時は日本語を忘れかけていたという。23歳のときに沖縄に里帰りした際に、初日は日本語が話せず、二日目になってやっと話せたらしい。その後、アメリカで必死に日本語を自習し、なごなぐ雑記も辞書をひきながら読んでいるという。なごなぐを読んで「物が明確になり自分のフォーカスを明確」にできたという。とてもうれしかった。
彼女から、今日、再度メールをいただいた。彼女は集団自決(強制死)に係る「教科書問題」を、歴史に関わる貴重な問題として一年以上も注視しているという。そんな彼女のメールの中にあった、詩のような言葉を、彼女の許可もいただいたので、以下紹介する。
[E:mail]
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崖が崩れていく模様
その瞬間に感じる。
過去の歴史は現在の状況を圧倒する、今
その瞬間に感じる。
教科書問題や人権問題など様々な問題は、山ほどある、いや、嫌ほどある
見えないものが存在するほど
ある。
パンドラの箱のふたを開けるとトンデモ無いものが出てくると
どこかで聞いた覚えがある。
開けた瞬間に感じるのは、まさか
ボン!ボボーン!と
銃に撃たれたように感じるのかな?
それか崖が崩れるような模様が目を奪うのかな?
わからん。
現在の崩れ流れる石(意思?)を避けながら、或いは破壊しながら
過去の歴史を探り出す作業に心身を投げる人の姿。
しみじみに感じる。
ラバのように焼ける"火の石(意思?)"がドロドロと地域を襲う。
恐ろしいものだ。
。。。が
心、魂は、最も最大なパワーがある。
ぬちどぅ宝。
確かにある。
それを信じることに自分の心・魂の生きがいがはっきり見える、
火をつける、そして感じる、体全体で感じる。
私は、その心・魂が恋しい
幼い子供のように、お母さんに抱きつくように
生の心・魂で世間を問う
今日現在
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池原シャリーえりこ
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書籍を確認することもしないが、たしかヴァルター・ベンヤミンの「歴史の天使」は、翼に未来へ運ぶ風を孕みながら、過去に目を見開き廃墟が積み重なる様を凝視していた。天使でもない私たちも、同じように過去の中から、現在、廃物にされようとしている物事のなかから、アウラを、アウラの痕跡をつかみだすために目を見開く。
彼女のメールを読みながら、ブラッド・ミュージックを想った。血の音楽。私の中にいる私の知らない私。でも確かにそれは存在する。
彼女は、「黒人系・沖縄人アメラジアンと言うポジショナリティーで沖縄、日本、米国の間に存在する課題をアート、文化、歴史など様々な形で取り上げて活動している」という。遠くアメリカで、彼女に流れるブラッド・ミュージック。それは様々に共鳴し増幅し拡散し集中していく。
彼女から、ときどき送られてくるメールで、インスパイアされることが多々あると思う。なごなぐ雑記をやっていて良かったとほんとうに思う。感謝する。
沖縄は広い。私たちは個であり、一人でありながら、すでに多数多様である。生きて、つながり、現実を変革していこう。
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[E:pencil]ヴァルター・ベンヤミン=wikipedia。歴史の天使については、「歴史哲学テーゼ」参照
[E:pencil]ブラッドミュージック= グレッグ・ベア『ブラッド・ミュージック』ハヤカワ文庫SF→Amazon
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本日は、週明けに約束していた仕事がまだ目処がつかない。しかし、今晩は、相方が夜勤で子どもと二人きりで夜を過ごさなければならない。絶体絶命のピンチを迎えているのに、なごなぐ雑記を更新する「ゆとり」だけは手放さない。…あぁ、だれかに怒られ、呆れられている。(泣笑)
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明日、13日は、名護市で下記のような講演会がある。名護市近郊の方で参加できる方は、ぜひお話を聴きにいったらいいと思う。
イラク戦争批判の元米大佐 全基地撤去を主張
(琉球新報5月12日)
…ライトさんは、12日に本島中部の米軍基地などを視察し、13日には普天間代替施設建設予定地の名護市辺野古も訪れる予定で、同日午後6時からは名護市労働福祉会館で講演する。入場料は大人1000円、学生500円。問い合わせは仲村善幸さん090(1084)3734。
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