沖縄のありふれた日常のひとこま(追記あり)
10代の4人の少年たちは、22歳の男の家に寝泊りしていた。
国家公務員として働いていた男には収入があり、少年たちに食事も与えていた。
少年たちの親も、男と同じように国家公務員である。
男は少年たちとともに、タクシー強盗の計画を練った。
少年たちは、男に恩義を返す必要もあり、計画に加担し実行した。
3月16日午前零時20分ごろ、タクシーに客を装い近づき、運転手を殴り釣銭箱を奪い少年たちは逃走した。奪った金は男に渡り、飲食費として使われた。
後日、実行犯である少年たちは捕まり、逃走車両の持ち主である男も捕えられた。
男は自分は「現場にはいなかった」と容疑を否認するが、少年らは「男は車にいた」と供述する。
現在でも男は、広い自らの職場内のエリアで、一定の制限はあるものの自由に行動している。
男の職業は軍人である、所属はアメリカ空軍嘉手納基地で憲兵隊の兵長である。
同じように少年らの親も全員アメリカ軍の兵士である。
ケビン・メア在沖米総領事がいう「日本の防衛に貢献するため命を犠牲にする用意がある人」(琉球新報2008.4.4)とその息子たちの行為である。
少年たちが宿泊し、兵長とともに強盗計画を練った家も、その家の高熱水費も、殴られ金を奪われたタクシー運転手も払っているだろう日本国民の税金から出ている。
日本国の外務大臣は、「日本人としてはあまり愉快ではない」が「対等な関係」だから、あまり問題にはしないだろう(なごなぐ2008.4.9)。
強盗はどこでも起る。日本人だってやっている。それを米兵や米兵の息子たちだからと騒ぎ立てるのは差別で、政治的にためにする主張だといわれる。
かれらがアメリカ国民だから騒いでいるのではない。日本に訪れている普通のアメリカ国民は入管を通り、正規の手続きを踏んで滞在している「よき来訪者」だろう。一部の日本人が狭隘なナショナリズムで中国や朝鮮半島の方々を敵視/蔑視するように彼らを差別するわけではない。彼らは、国家公務員として地位協定ですべての入管手続き等を免除され、この国に駐留する外国軍隊の軍人である。さらに日本国は、地位協定を拡大解釈し、軍人のみならずその家族・軍属すべてを同様に特権的な扱いにしている。米兵の犯罪を問題視するのは差別ではなく、民間人と同様に語ることはできない属性に基づく明確な区別である。
このような現実を踏まえて、先ほどの「強盗はどこでも起る。…」の言い分に戻ろう。「日本人だってやっている」でウヤムヤにできない、彼ら(米軍人・軍属・その家族)の特権的立場を考えなければならない。単純で感情的な反論が守ろうとしているものは、日本国内における米軍の特権であり、これが右よりの方々の主張としてなされている現状は、幾重にも病的である。
地位協定の改正に、民主党・国民新党・社民党の三党が共同で取り組んでいる。これを前進させることができるかできないかは、とても重要な課題である。
ケビン・メア在沖米総領事は「政争の具」にしていると、不愉快極まりない発言をするが、これは「清掃の具」である。日本国とアメリカの関係を隷属的なものから対等でクリーンなものにしていくために避けては通れない。ちょっとした清掃である。戦後60数年にたまった埃を、拭き取るのはたいへんな難儀だが、参院で野党多数になってやっと具体的な動きがはじまった。
これに抵抗している、自民党と公明党を下野させなければ、思いやり予算でつけっぱなしのクーラーが効き過ぎる部屋で、強盗計画を練る外国の国家公務員やその子弟たちを思いとどまらせることはできない。
本日の沖縄タイムス夕刊の記事
そうですか。2年前のタクシー強盗ですか。もうウンザリ。
社会面には、「全脱走兵 日本に通報 日米合同委、来週合意」の記事。
いままで通報もさせず平気でいたのが不思議。ほんとうに主権国家の体をなしていない。お笑い国家ニポンである。
「靖国」で人を脅している暇があったら、どうにかしたほうがいいよ、国家主義者の諸君は。あっ、そうか対米だけは別か。宗主国だもんね。(笑)
---追記ココマデ
【参考】
憲兵宅で犯行計画 タクシー強盗致傷、逮捕少年ら
(琉球新報 2008年4月10日)魚拓憲兵が犯行指示 タクシー強盗致傷
(琉球新報 2008年4月11日)魚拓
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■砂上の楼閣をつくる砂場〈OKINAWA〉
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政府と沖縄の行政が共同で、沖縄に新たな米軍基地を造ろうとチャレンジしている協議会が9日開催された。
もう十年も経ている。あきらめの悪い日米両政府。タチの悪い沖縄行政。
協議会では、ナカイマ県知事が実務的な協議をするための「枠組み」を求めたことになっているが、それに対する政府応答もなんら具体的ではなく、なにをやっているのやら。
県と名護市は、沖合移動を要求し続けるスタンスを崩さないと主張している。名護市長は、まともなコミュニケーション能力と具体的に考える思考力がないから、なにをいわれてもどんな局面になっても同じコトを主張し続けるだけである。そのぶん県知事は苦労して、どうにか前に進めたいと考えるが、言葉は官僚上がりの実務家風だがいかんせん中身がともなわない。
政府も守屋なきあと、防衛から内閣官房が協議会を引き取ったが、現実的に進めていくための策はない。
まだやめる気配はない。いたずらに時間を浪費し、ジワジワ進めていくつもりかもしれないが、どうなるか予断は許さない。沖縄県の有権者が、仲井真県知事を、島袋吉和名護市長を選出しているからといって、二本の滑走路で拡大した新基地(1996年のSACO合意の倍になっている)を容認しているのではないということを、政府も沖縄行政もよく知っている。
この問題で沖縄は、国家が威信を賭けて砂上の楼閣をつくる砂場と化している。これを崩すことができるマルチチュードはいる。その影におびえながら、無理が推し進めてられている。
小さな島の、国家予算欲しさに選挙でロクデモない首長を選出してしまう島人の、生きるための狡猾さと怠惰と諦念と怒りが、混沌として島を覆う。しかし島には、風が吹く。濃い影をつくる日差しがある。島人の矜持は目を細め光をみつめている。
防衛相は、アメリカ側に具体的な進捗状況と見通し等について説明することができないと判断し、予定していた訪米を断念した。
【参考】
普天間移設:問題棚上げ、進展演出 政府、協議維持に腐心
(毎日新聞 2008年4月9日 22時11分)普天間移設、修正へ実務協議の場検討…官房長官表明
(読売新聞)防衛相が訪米断念 米軍再編の具体論求められ?
(朝日新聞 2008年04月10日06時13分)魚拓
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