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宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

辺野古新基地建設の海域案内(往路)

「平和丸」に乗船して辺野古海域を案内させていただいてる。辺野古漁港を出て、辺野古崎の先に浮かぶ長島・平島まで行き、戻ってくるコースをとる。時間に余裕のあるときは、船長の判断で大浦湾側まで行き戻ることもある。だいたいこんなことを話しているということを自分の脳内整理のためにメモっておく。

 

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「松田ヌ浜」

シュワブに利用されている土地は、田畠があった場所です。「松田ヌ浜」の松田は、大きな谷間の田で昔周辺に松の木があったことからこの地名が付く。浜では毎年旧暦四月にハーレー行事が行われます。浜を分断するようにシュワブとの境界線・フェンス。シュワブ側の浜では、水陸両用車が多い時には十数台も出て大きく砂を巻き上げながら走行訓練します。そのまま海に出て、イノーを突っ切り沖合のリーフを南北に走行訓練。サンゴなどの自然破壊を恒常的に行っています。松田ヌ浜からシュワブ内に伸びる道路が見えます。水陸両用車はあの道路を使い、シュワブ前の国道を潜り演習場部分に直接移動できます。そこで実弾射撃訓練を行い、そのまま戦車道を通りキャンプハンセンに至ることができます。ハンセンとシュワブの演習場部分を、米軍はセントラルトレーニングエリアと呼んで一体的なものとして運用しているようです。

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「フロート」

目の前にオレンジ色のフロートが沖に向かって浮かんでいますが、これは「臨時制限区域」を示すフロートではなく、埋立に係る浅瀬部分のボーリング調査等を行うために沖縄防衛局が張ったフロートです。辺野古側では埋立エリアとほぼ同じ形で張り巡らされていますが、実際の埋立エリアはこれよりもう少しリーフ側に伸び拡大したものになるようです。新聞報道等では「臨時制限区域」or「埋立区域」に関わるブイやフロートが設置されたかのような情報もありましたが、厳密にいうとそれらはまだ一切されていません。海上保安庁は、工事には中立、表現の自由を制限する立場ではないと言っていましたが、海域で行われていることは沖縄防衛局の新基地建設工事の凶暴なガードマンでしかありません。

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「ジャングサヌミー」

辺野古側の埋め立てられるイノーには、沖縄東海岸では最大規模の海草藻場が大きく広がっています。辺野古の字誌である「邊野古誌」によると、地域の人々は海草の生育しているところを「ジャングサヌミー」と呼んでいました。ジャンとはジュゴンのことで、ジュゴンが食べる草の原っぱという意です。いまちょうど、私たちの船の下にみえる海草が、ジャングサです。今回の埋立でジャングサヌミーが潰されて消失します。防衛局は海草を移植することで環境対策とするとしていますが、良好な海草藻場が広がっているのは自然的条件が重なりあってはじめて存在するのであって、移植して成功するならそもそもそこに海草藻場が存在しているはずです。専門家も防衛局の主張に疑問視しています。

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「二本の滑走路」

ここいらへんが埋立の南端近くになるはずですが、ここから辺野古崎方面に向かって二本の滑走路が伸びる計画になっています。一本はシュワブの内側に乗り上げ、ちょうど大浦湾の対岸の陸の上に見えるリゾート(カヌチャベイ)に向きます。もう一本は、辺野古崎の先端に乗り上げカヌチャより東側の安部という集落に向きます。1200メートルで前後に300メートルずつのオーバーランを有す1800メートルがV字形でここから伸びます。政府は、陸上部分の飛行を避けるため二つの滑走路を着陸用離陸用と使い分けると説明していましたが、米側は両方とも離着陸で使用するし陸域を飛ぶことになると明言しています。

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「埋立規模」

フロート沿いに辺野古崎を目指して航行していますが、埋立は進行方向のシュワブの先端・辺野古崎と、その先に浮かぶ灯台のある島・長島との間の海峡を閉ざすように大浦湾側へ向かいます。この浅瀬の海の海面が埋め立てられるだけでなく、その高さは10メートルにもなります。シュワブの方をみていただきたいのですが、緑色の芝生の上に二階建てのプレハブが何棟か建っているのがみえます。あれは米軍施設ではなく、沖縄防衛局が建設した防衛局の現場監督・監視用の施設です。防衛大臣が就任するとシュワブで陸上から視察し局員から説明を聞いたなどのニュースが流れますが、その視察している場所がちょうどあの芝生のエリアになります。あの芝生あたりの高さでこの一帯を埋め尽くすことになります。2100万㎥、東京ドームの17杯近くの埋立土量です。その大半、東京ドームの13杯近くを沖縄や九州・瀬戸内周辺から購入して投入する計画のようです。アルゼンチンアリなどの外来種の問題が心配し注目されていますが、日本政府は何らまともな対策も持たないままです。一帯の生態系が壊滅的な打撃を受けることを懸念する専門家や人々の指摘には、まともに応えきれないまま問題が宙づりにされています。

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「シュワブ」

防衛局の施設があるあたりから右側の米軍施設はすべて解体撤去されます。この辺は、思原(ウムイバル)と長崎原(ナガサキバル)という地名で、良好な水田や畑があった場所のようです。沖縄戦の最中に、米軍が駐屯し物資集積所となり、伊江島・本部・今帰仁の方面から集団移動させれた人々の収容所(大浦崎収容所)にもなりました。食料不足やマラリアなどによって死んでしまった人々の遺骨は収集されず、そのままキャンプシュワブとして接収されて米海兵隊基地になっています。シュワブの建設は1956年に始まり、1959年に完成します。日本本土では60年安保闘争が激しく反米闘争から隠されるように、当時日本に駐留していた米海兵隊は沖縄に移駐されます。その受け皿になった基地のひとつがシュワブです。建設が始まった1956年前後は、沖縄でも島ぐるみ闘争で米軍の暴政に抵抗している時期で、銃剣とブルドーザーで強制接収されるか契約するかを迫られた当時の辺野古地域の先輩たちは話し合い契約に応じ有利な条件交渉を行うことに決しました。そのことをもって、シュワブは地元が誘致してできた米軍基地みたいな言い方をする人たちもいますが、事実とは大きく違います。米軍施政権下の沖縄の住民は人権ですら危うい軍事優先政策であったことと、人々がどのようにその現実の中で生きようと努力してきたかを考えるべきだと思います。いわんや、今日のこの状況はですね。

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「長島・平島」

船の進行方向にみえる島、右側の平たい島が「平島」(地元ではピラシマと呼ばれます)で、灯台のある島が「長島」と言います。地元の人々にとっては「もっとも親しんできた無人の島である」と邊野古誌でも記されています。今でこそ、島には緑が茂っていますが、米軍にシュワブが接収された1950年代から海兵隊の使用水域となり水陸両用戦車が上陸し砲火を浴びせ、岩も破壊され地形も変容したそうです。平島の後方は切り立った崖で波や風の浸食で大小様々の洞穴があります。前方には潮流などの自然作用で砂が堆積し美しい白浜のビーチが形成されています。辺野古の人々は、島の周辺でタコや貝類をとってバーベキューをしたりときには一泊キャンプをするようです。旧暦の祭祀にも深く関わる場所で、ここで獲られた海の幸が神前に供えられます。近年は、リゾート(カヌチャベイ)などが観光客のアクティビティのために島を利用してもいたようですが、現在では「臨時制限区域」(平島・長島は区域外ではある)との関わりで使用が控えられているようです。平島の周辺には、立派なサンゴが生育していて、船からも身近にみることができます。高さ3メートル幅4メートルのハマサンゴ。専門家にみていただいたんですが、ここまで生育するのに300年近くは要しているだろうということでした。

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「潮流を遮る・軍港・弾薬装填場」

平島の前面にある白浜のビーチは、辺野古崎と長島の間の潮流との関係でつくりだされていると思われます。今回の新基地建設計画では、私たちがいま目の前にみている辺野古崎と長島間の海峡を突っ切って大浦湾側の深場に至ります。この潮流は遮られ、この辺の地形も、サンゴ礁やリーフ、魚や生き物たちの環境も大きく変わることになるのは必至です。
そして今回の新基地建設は、大浦側の水深の深さを利用した軍港機能があります。アセスに未記載だったホバークラフト型の大型水陸両用車が利用できる斜路や、強襲揚陸艦が接岸できる護岸が200メートルから272メートルに延長されたり、沖縄防衛局は後出しで様々な機能・規模を拡大してきています。いま、目の前にある辺野古崎の浅い岩場の部分には「弾薬搭載エリア」が建設されます。その規模も後出しで拡大されました。現在の普天間基地には、弾薬庫がなく弾薬搭載には嘉手納弾薬庫にいかなければなりません。シュワブの向こう側の小高い陸の部分にゴルフ場のような緑の芝生地帯がみえます。あれが辺野古弾薬庫で大浦湾の奥深くまで広がっています。あの弾薬庫と一体となって、飛行場及び軍港、そして海域と陸域に広大な演習エリア。辺野古新基地建設計画は、普天間代替などではなく日本国民の税金で造る米海兵隊の新しい要塞です。

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だいたいここまでが往路で、Uターンして辺野古漁港に戻ります。復路の案内はまた次の機会(明日・明後日…でなければいつやれるかわからない)にメモります。

 

つづく