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宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

名護市長選挙におもう【追記あり】

 いよいよ今日、名護市長選挙が告示される。一週間は応援に名護に行こうかと思っていたが、仕事のやりくりがうまくいかず名護行きはあきらめなければならない。

 新基地建設に反対する立場からは、稲嶺進新市長の誕生を願うしかない。いろいろ言いたい文句もあるが、市長になったあと議員やいろいろな方に認識を問うてもらうことにして、いまはただただ当選してもらわなければならない。

 新聞紙上でみる限り、稲嶺氏は前市長で故人となった岸本建男氏の後継を自認し、「岸本氏は基地を造らせたくなかった。7条件をクリアしなければ(容認の)白紙撤回を約束している」などと発言している。

 岸本氏と歩んだ長い人生を振り返り、故人を偲びつつ、社会的な不名誉(と稲嶺氏や遺族が思う状況)からサルベージしたい気持ちは痛いほどわかるが、こんな発言を是認するわけにはいかない。

 私は岸本氏が市長であった2期8年間、市会議員として議場で相対してきた。(米軍再編の日米協議が行なわれている真っ最中の)2005年9月の一般質問における岸本氏と私のやりとりを議事録で読み返してみたが、岸本氏は7条件中の軍民共用や15年使用期限などがクリアされない状況下でも白紙撤回する意思はなく、内陸案に反対するあまり浅瀬案なら同意するサイン(シグナル)を日米政府に送っている。これらは新聞報道でも明らかである。

 私が稲嶺氏の発言を是認するわけにいかないのは、このような事実からだけではない。それだけなら、岸本市長が「白紙撤回を約束」していたことは事実だし、白紙撤回が行なわれようと行なわれまいと認識の違いだぐらいに言われてもいい。公式に記録されたものが事実を語る。つまらん言い合いはどうでもいい。

 問題は1999年12月27日に岸本市長が条件付受入れして以降、軍民共用空港の建設に関わる政府の手続きが進み、辺野古現地では厳寒の海で灼熱の海で人々の非暴力不服従の戦いが繰り広げられてきた。この10年余のあいだ、何が起こったのか。自衛隊の「ぶんご」まで出動するという異常な事態まで引き起こしておいて、それは国がしたことです、名護市はいっさい関係ありません、名護市長は基地を造らせたくなかったんですといえるのかということである。現場で右往左往した役人や業者にも戦った民衆にも、あまりにも「配慮」を欠いた傲慢な言葉ではないのか。

 候補者や関係者がそのような発言をするたびに、心がうずく人々がいる。冷たい海の上で死ぬかと思ったことを思い出しながら、それでも稲嶺氏を当選させたいと踏ん張っている人々がいる。そのような人々に対する想像力はないのだろうか。

 かかる岸本建男評価には、名護市の「甘え」があり、「悪の凡庸」さの無自覚な表出がある。

 私はこの問題をたいしたことではないと思っていない。日米両国政府が沖縄を軍事植民地化している現況に対して、沖縄側の民衆が自治体がどのように抵抗し、自らを解放していけるのかという重大な問題が横たわっている。

 岸本建男氏を乗り越えることでしか、岸本建男氏が逆風の中で取り組んだ意思を次ぐことはできない。建男さんは、性急な好意的評価ではなく歴史に耐える評価をこそ喜ぶだろうと私は思う。それが不名誉な断罪であったとしてもである。

 いろいろおもうところはあるが、岸本建男評価と稲嶺進氏の公約は「混ぜるな危険[E:bomb]」である。やりようによっては「条件付受入れ」をしてもらえるかもしれないという政府・民主党へのサインになりかねない。

  稲嶺進氏には当選していただいて、基地問題では比嘉靖氏と話し合い結実した公約を厳守し、「市民の目線でまちづくり」をこそ存分にやっていただきたい。

 いろいろ問題はあっても、名護市有権者は賢明な判断をすると思う。

 これから一週間しかありません。名護市の知り合いに電話するなり、日本政府に県内移設を断念させるためにできる限りの努力をしていきましょう。

[E:impact]

 名護市長選挙については、もう私如きが語る内容もあまりないので、世論調査の結果などが報道されたら紹介するぐらいにしていきたいと思います。この市長選挙を住民投票のごとく煽るメディア等の言説に対しては反論を書くことになると思います。

【追記】12:30

 スケアクロウ」で書いたことを、大事なことだからここでも繰り返しておく。

 1月24日、だれが当選しても、これは市長選挙であり基地建設問題に対する住民投票ではない。

 13年の長きに渡って、争わされ続けている名護市民。日本政府および国民マジョリティは踏み絵を踏ませ、その結果があるからと名護市に基地を押し付ける行為をしてはならない。それは「民主的行為」ではない。辺野古への新基地建設をしてはならない理由は、環境や人権や沖縄の歴史や諸々からもうすでに出尽くしている。それを踏みにじる正当性は市長選の結果からは導き出せない。

[E:end]