宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

浜下り外伝(digest3/2)

始原(1854)の人物は、ウィリアムボード事件と1855年に琉球那覇を訪れたハーバーシャムが著書に書き記したエピソードと挿絵*1にインスパイアされた女と、琉球処分へと至る日本の近代の始まりを生きる若き薩摩藩士の男である。

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『浜下り外伝』の舞台写真より;始原の女(町田聡子)

 

永劫(1997)は、イノーというコモンズが沖縄からのディアスポラの心象に深く横たわるという研究者の成果を手がかりに書き始めたが、途中で女が取材者である男に私が想定もしていなかったことを語り出し苦労した。沖縄戦を生き残り非業の生を生きる人々について書かれた書物や、戦争トラウマに関する研究者の言や様々な語りを貪るように読み漁り参考にした。それが浜下り外伝の重要な基調を成す。

創生(2017)は、辺野古新基地建設に反対するカヌーの女と相対する海上保安官。できるだけ海保の男に主張を展開させるよう試みた。2016年に脱稿した後に、うるま市での事件があり、そのことを受けて女のセリフの改訂を試み一年以上なにもできず諦めていたが、アンサンブルが稽古に入る直前に蝶に関するエピソードを書き加えた。それが劇の最終シーンになった。

(digestの3につづく)

 


浜下り外伝digest3/2

 

*1:“MY LAST CRUISE”Herbersham, A.W.1857

They are alarmed at our approach.われわれが市場に入ると大混乱。ほとんどの者は品物を残し逃げた。豚を担ぎ上げ逃げる男もいた。ただひとり、背の高い、均整のとれた女性だけが、平然と威厳を保ち立ち去った。画像参照