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宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

辺野古新基地建設をめぐる国と県の「和解」について

翁長県知事による辺野古新基地建設に伴う埋立工事の承認取り消しに対し、日本政府は裁判を通じて争うべく訴訟を起こした。沖縄県も承認取り消しを取り消すなどの政府行為に対して訴訟を起こし、国と県による訴訟合戦に発展していた。

 訴えを受けた裁判所は、国と県に対し「和解勧告」をしていたが、その内容は裁判所からの条件として一般に公開されることなく国と県は、それぞれ県民国民に内容を知らせることなく和解について検討していた。 国は和解に関して否定的で工事強行の発言を繰り返し、沖縄県は工事が中断するならと一定程度和解に前向きというのがメディアから得られる印象であった。それが、急転直下、3月4日に国が和解勧告を受け入れ、国と沖縄県の和解が成立し、工事は中断し、和解に沿った手続きが開始されることになった。

その時点で始めて明らかになった成立した「和解条項」は、国と県がそれぞれ訴訟を取り下げ、国は埋立工事を直ちに中止し、沖縄県の埋立承認取り消しに関しては地方自治法に規定された手続きに基づき国地方係争処理委員会で審理し、その結果に不服があれば裁判で争うべきだという「和解」内容であった。

その後の報道(日本経済新聞2016/3/12)で明らかになった事柄だが、日本政府は和解受け入れに関して事前に国家安全保障局長が訪米しホワイトハウスでライス大統領補佐官(国家安全保障担当)に説明し尊重の感触を得ている。菅官房長官法務省幹部らと協議も重ねている。工事続行を主張していた日本政府が急転直下「和解」を受け入れたのは、最高裁判決による決着まで1年近くを要しても勝てるという判断があったのだろう。

成立した和解条項9には「原告・国及び利害関係人・沖縄防衛局長と被告・沖縄県は、是正の指示の取消訴訟判決確定後は、直ちに、同判決に従い、同主文及びそれを導く理由の趣旨に沿った手続きを実施するとともに、その後も同趣旨に従って互いに協力して誠実に対応することを相互に確約する。」とある。「その後」に安倍政権は「不可逆性」を読み取り、裁判で勝利し沖縄県の抵抗の手段を奪うことができると判断したのだろうと思われる。

沖縄県は、今回の「和解」は埋立承認取り消しに関する訴訟の和解であり、たとえ想定される裁判で敗訴しても、今後の設計変更などに関する知事権限は行使できるとしている。

日米両政府は沖縄県民の願いを真っ向から無視して「普天間飛行場キャンプ・シュワブへの早期移設及び沖縄の基地の統合は,長期的に持続可能な米軍のプレゼンスを確かなものとする」と2014年4月25日に共同声明を発している。長期的に沖縄を基地の島として確保しようとする日米両政府の思惑は、沖縄県民の非暴力直接行動の粘り強い戦いの前で足踏みしている。

ゲート前でも海上でも、新基地建設を阻止しようと行動する人々は誰一人現状および今後を楽観視していない。だが、悲観もしていない。「戦争」を絶対拒否する県民の意思は、地獄の沖縄戦から地続きで沖縄が今日あることを思い起こさせる。
宮城康博
2016/3/18