宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

ガバンさんと乗松さんからの手紙への返信

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ガバン(Gavan McCormack)さんとカナダの「ピース・フィロソフィー・センター」の乗松聡子さんが、来年、沖縄の事柄について英語で本を出版する準備をしている。

ガバンさんと乗松聡子さんからメールをいただき、いくつかの質問があった。8月1日締め切りでの依頼だったのだが、それを8月31日締め切りと勘違いして、そろそろ返事しなけりゃなと思っていたら乗松さんからメールをいただき締め切りがとうに過ぎていることをしった。あわてて書いたその回答を、ガバンさんと乗松さんの快諾も得たのでここに掲載しておく。

※写真はカナダでガバンさんを招いた場における乗松さんとガバンさん。(ピース・フィロソフィー・センターのサイトから無断転用)

ガバンさんと乗松さんからいただいたメール(抜粋)

沖縄と中央政府の対立は深まり、解決策はまだ見えない状態が続いています。私たちは、「沖縄の運動」はもっと世界に知ってもらわなければいけないと思ってきました(もちろん日本にも)。しかし今のところ、沖縄や日米関係についての最新の状況を一冊の本で世界に発信するような本が存在しません。

そういった問題意識で、私たちは、沖縄を世界に発信するような本を2012年出版に向けて準備しています。その本の中で、沖縄を代表する人たちが今の状況をどう見ているかということも伝えたく、今回連絡させていただいております。

読者が読みたいと思うことは以下のようなことでしょう。この稀なる運動に長い間関わってきた沖縄の人たちが、どのようなきっかけで運動を始めたのか、それぞれのアイデンティティとは何か、沖縄や日本の将来に対して抱くビジョンは何か、今回の「2+2」声明を受けて、今後どのような運動をしていくか、このたたかいはどれぐらい続くことになるか、等。

本のうちの一章を「沖縄の声」というタイトルで書きたいと思っており、沖縄の皆さまのご協力を願っております。

世代、性別、場所などを考慮し、10人ほどの方に、下記の質問へのご回答をお願いしております。普天間問題や辺野古基地計画についての詳細な分析等を求めてはおりません。このお手紙でお尋ねしたいことは、皆さんの個人としての、運動に関わる人としてのご見解です。

[E:pencil]

名護市を離れて久しくアクチュアルな「運動」の現場には関わっていないが、ガバンさんも乗松さんも私のありようについてはよく知っておられるのだから、そのことも考慮した上での依頼なのだろうと回答させていただくことにした。以下は質問と私の回答。

Q1

宮城さんが関わってきた運動(座り込み、署名、集会などのいわゆる「運動」、研究執筆講演活動なども含む)について教えてください。いつ頃から、何がきっかけで始めましたか。公私にわたり、人生にどのような影響を与え、どのような位置を占めてきていますか。運動の目指す目標は何ですか。

A1

名護市への新基地建設の是非を問う市民投票(1997)で住民投票を求める住民側の代表になったのが私の運動経験のはじまりです。市民投票では反対が過半数を占めましたが、法的拘束力が無く名護市長は基地建設受入れを表明し辞任したことで、私は市民投票結果を市政に反映させるために市会議員や市長候補など政治活動をすることになります。選挙で落選するまで10年近くの活動でしたが、私の人生を決定的に変えてしまいました。現在は集団的社会的な運動には参画していませんが、10年余の経験を基に、新基地建設問題を市民の視点から省察しブログ等での発信を続けています。私の目標は、新基地建設をさせないことと同時に少しでも沖縄における自治の一助になることです。

Q2

始めたときに比べその問題は解決に近付いていますか、それとも逆ですか。運動の今後の展望はどうですか。

A2

市民投票以降の10年間は、県民世論調査では基地建設反対が多いが自治体の首長や議員を選ぶ選挙では政府と協調する勢力が多数派になる捩じれた状態が続きました。自民党から民主党への政権交代はその捻れ解消の県民の希望でしたが、それも裏切られました。現段階では、県知事も市長も県内移設に反対していますが、これは政権交代の希望の余波といってもいいと思います。今後、民主党政権は様々な圧力を掛けてくるでしょう、予断を許さない状況が続きます。

Q3

宮城さんご自身をに主に沖縄人として、または日本人として、あるいは他の存在として見ていますか。また、そのようなアイデンティティは運動においてどのような役割を果たしますか。

A3

私は明らかに沖縄人であり、私の思考や存在は沖縄の状況に影響され限界付けられています。運動の過程で、沖縄戦を体験した幾多の先輩たちと出会いました。私(たち)にはこの体験が風化していくことへの危機感があり、基地建設をさせないという意思を強くさせています。

Q4

沖縄問題への日本政府の対応についてのご意見を聞かせてください。沖縄のニーズ、気持ちなどをどれだけわかってきているでしょうか。

A4

沖縄はすべての米軍基地を即時返還せよと言っているわけではない。返還するという名目で新基地建設がされることは、未来永劫基地と共生よという日米両政府のメッセージでしかなく、経済や様々な妥協策で混乱させられた末の「県外移設」を求める沖縄民衆の気持ちの強さを日米両政府は見誤っていると思います。その強さを知っているから、沖縄では保守政治家でも「県外移設」を主張しているのです。

Q5

日本本土に対し沖縄が提示している問題点、メッセージの核心は何ですか。米国に対しては。

A5

沖縄への「差別」を止めることですね。その植民地主義憲法の根幹を腐食し、沖縄のみならず日本という国家の本質を歪めている。米国は、歓迎されない(外国)地域には基地を置かないと言うが、第二次大戦後の沖縄への軍事占領を日本政府を媒介に継続し続けている。やめるべきです。

Q6

沖縄戦の体験や記憶(知識)は、どのように宮城さんの運動に影響を与えてきていますか?

A6

A3で触れましたので割愛。

Q7

日本国憲法は宮城さんにとってどのような意義を持ちますか。また、憲法1−8条(天皇条項)と9条について、一般的に沖縄ではどう考えられているでしょうか。

A7

日本国憲法はとても理想的な憲法だと思いますが、沖縄は成立時にも参加していないし1972年の施政権返還後も沖縄の民衆の意志に反し米軍基地が残り続け日本国憲法は沖縄を適用除外しているようです。憲法天皇条項と9条について一般的な考えについては知りませんが、私は天皇制が国民統合の象徴という形で残ったことは、先の大戦の反省を不明瞭にしたと思います。ですから今でも日本国では沖縄戦等の歴史認識で様々な極右的ナショナリズムの側からの歴史修正的攻撃が惹起し続けているのだと思います。憲法9条については日米安保とセットとしか(現状では)考えられず、沖縄人としての私は光である9条のもたらす闇の日米安保の中に押し込められているようでとても複雑な思いを持っています。

Q8

沖縄問題の正当で妥当な解決策を示唆するような文書、本があるとしたら何を挙げますか。もしくは、宮城さんの座右の書になっているような、または、勇気を与え続けるような文書や本はありますか。

A8

万巻の書物や文書より、沖縄の民衆の歴史・生活・闘争のなかに妥当な解決策があります。日米両政府には、米軍が戦争中に県民から不当に土地を奪って造った普天間基地を代替施設等求めず県民に返還するしか妥当な解決策はありません。

Q9

琉球・沖縄の歴史において、宮城さんにとっての、沖縄の精神の中枢を体現していると思われる人は誰ですか。

A9

ヤンバルの貧しい村から出て名護市に辿り着き、貧しい暮らしの中で私たち兄弟5人を育ててくれた私の両親です。

[E:pencil]

他の回答者がどのような方たちなのか私は尋ねていないので知らないが、ガバンさんと乗松さんがどのように英語で沖縄の現状を発信なさるのか関心を持って待ちたいと思う。

[E:end]