宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

構造改革と沖縄(2)

沖縄の平均所得が全国一低いことはよく知られている。
それでもユイマール(相互扶助)精神が地域社会の中に生きているので、ひとびとの暮らしやすさや生活水準は、所得だけではわからないともいわれる。
本当のところはどうなんだろう。
私は識者の言説や、書かれたり話されたりしているモノゴトではみえない、暮らしにくさや、地域社会の破壊が、深いところで進行している感じを払拭できないでいる。

Img46b1328412227所得からみた物価全国一 首都圏上回る琉球新報=2007.8.2)という統計データがある。

物価そのものは全国最下位の水準だが、県民所得からみる物価水準(生活体感物価倍率)は全国最高位である。

生活体感物価倍率の左図をみると、沖縄(1.43倍)に次いで高いのは、北海道と九州(1.20倍)、東北と四国(1.17倍)と続く。関東が一番低い(0.89倍)。

地方の暮らしにくさは統計データからもみてとれる。アベ自民党が錦の御旗のごとく掲げる「改革」がつくり出した現実であり、それへの生活者のノーが参院選の結果だったのだろう。

世帯の所得格差、過去最大に…厚労省調査の05年ジニ係数
(読売新聞=2007.8.25)

世帯ごとの所得格差の大きさを表すジニ係数も、2005年には0・5263で、過去最大になったという厚生労働省の統計結果が新聞で報じられている。

ジニ係数は0~1の間の数字で表され、格差が大きいほど1に近づくという。
全体の25%の世帯が所得総額の75%を占めた場合などに、ジニ係数は0・5となる。

明らかに格差社会化は全国的にドラスティックに進行している。

総務省統計局による2005年の県民所得の統計結果は下記の通り。
(勤労者世帯一世帯あたり一ヶ月間・単位千円)

全    国    522.6

北 海 道    455.1

青 森 県    414.8
岩 手 県    485.9
宮 城 県    464.3

秋 田 県    580.9

山 形 県    504.0
福 島 県    590.7
茨 城 県    542.5
栃 木 県    610.0
群 馬 県    523.0

埼 玉 県    625.2
千 葉 県    465.1
東 京 都    547.1
神奈川県   590.7
新 潟 県    528.4

富 山 県    652.4
石 川 県    756.7
福 井 県    558.1
山 梨 県    474.3
長 野 県    545.4

岐 阜 県    528.4
静 岡 県    596.2

愛 知 県    514.4
三 重 県    518.1
滋 賀 県    466.3

京 都 府    569.2
大 阪 府    452.1
兵 庫 県    487.5

奈 良 県    598.7

和歌山県   484.5
            
鳥 取 県    433.3

島 根 県    598.8

岡 山 県    504.3
広 島 県    529.7
山 口 県    569.5

徳 島 県    632.1
香 川 県    567.0

愛 媛 県    497.9
高 知 県    498.1
福 岡 県    482.0
            
佐 賀 県    474.8
長 崎 県    362.9

熊 本 県    525.5
大 分 県    546.3
宮 崎 県    536.1

鹿児島県    566.8
沖 縄 県    367.6

沖縄は全国平均の52万2千600円を大きく下回り36万7千600円と全国最下位である。

冒頭に書いたように、それでもユイマール精神が地域社会の中で生きているので、暮らしやすさや生活水準は所得と比例しないともいわれる。
しかし物価水準を考えても、生き辛いのは統計的にみえてくる。
さらに、沖縄域内の所得格差はどうだろう。

7357 左図は、「社会実情データ図録」より引用するが、「都道府県内所得格差」をあらわした図録である。

域内の所得格差が大きいのは徳島県と沖縄である。

沖縄は県民所得が最も低く、失業率と生活体感物価倍率では最も悪く、域内の所得格差も大きい。

ここからみえてくるのは、ユイマール社会だからうんぬんという沖縄ではなく、所得格差も激しい、それでいて所得水準も低く、相対的に物価も割高で生き辛い沖縄の姿である。

前回の「構造改革と沖縄」のエントリーへのコメントでゴンベイさんに教えてもらった、大和総研のチーフエコノミストである原田泰氏の

給食費不払いはモラルの低下を意味するのか」(2007/03/08)

Harada57 という記事で紹介・考察されている、給食費不払いの現状は、沖縄が最も「未納率」が高い。同時に、失業率はダントツに高く県民所得は低い。

統計結果でみえてくるのは、払えるけど払わない、人々の「モラルハザード」とはいえない現状である。払いたくても払えないのである。給食費がさほど高額でないことを考えると、人々の状況の厳しさがわかる。

こういう状況でありながら、県内の所得格差も高く、いわゆる「高額預金者」も多いという状況(統計データを持っていたが探したがみつからない残念ながら紹介できない)がある。このような社会状況を放置する/ないしは推進する社会政策こそモラルハザードである。

沖縄社会全体としては、「格差社会」が著しく進行している。一部の富める者と、大多数の貧しき者。その格差は拡大こそすれ、縮まることはない。
沖縄の多数派は、新自由主義ネオリベラリズム)がもたらす「格差社会」にあえぎながら、その新自由主義を推し進める政権を投票行動で支持する。
しかし、その投票行動に今般の参院選では変化があった。これは重要な変化である。
保革の戦いで革新側が前進したとかなんとか、我田引水のイデオロギッシュな状況総括をすることなく、真摯に有権者の投票行動を分析し、真摯にひとびとのための政策を模索提案することだ。

自民党公明党選挙協力は、沖縄から始まった。
名護市民が市民投票をしていた1997年は、公明党は野党勢力であった。
自公選挙協力の始まりは、沖縄からであったが、その自公政権に終止符を打つことも沖縄からなのかもしれない。