宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

いとこ同志

070723_12180001沖縄市の“あしびなー”で、坂手洋二さんに招待されて久しぶりに芝居を観た。
覚書を残しておく。

「いとこ同志」
坂手洋二=作・演出
7月21日(土)19時開演・沖縄市民小劇場あしびなー

舞台は、ボックス席が並ぶ夜行列車の車内。

「いとこ同志」という連作小説の作家の女(渡辺美佐子)。小説の登場人物でもある従兄弟の男(佐野史郎)。

誰も乗っていない夜行列車で二人が出会う場面から芝居は始まる。物語はすべて作家の女の妄想なのかもしれない。

従兄弟と会うごとに彼の話を聴き、作家は小説を書いてきたという。従兄弟は、ある党派に属していたり秘密機関に属しており、追われているらしい。おまけに記憶喪失である。

作家と従兄弟の男は、それぞれの人生を歩み、時々夜行列車で密会してきた。

作家の息子(向井孝成)と、そのいとこ(宮本裕子)は結婚を考えており、その報告のために夜行列車で作家の別荘に向かう。

作家の別荘に舞台は移る。

夜行列車をそのまま利用した作家の別荘。

息子は、実在しないと思っていた母のいとこ、小説の登場人物が、そこにいることに驚かされる。作家といとこの男、息子といとこの女。四人の奇妙なやりとり。

作家は、連作小説の「最終回」を書きあげる。
男は、我が身を太陽の日差しに溶かして消える。

坂手は、この芝居のために「恋と冒険は、似ている」というキャッチコピーをおいた。
どちらも夢中になり最中に終わりを考えることはできない。しかし、どちらにも終わりは来る。

芝居は、「最終回」のあとに、「始まりの夏」を描く。
連作小説「いとこ同志」に書かれなかった始まりのエピソードには、いとこ同志の「恋」があった。
恋する二人は約束を交わす。
「生きていることを楽しんでいないように見えたら、もうつきあわないって」
二人はいとこ《同士》ではなく、いとこ《同志》である。

そして「終着駅」に近づく。
「このままずっと乗っていたい。でも来てしまうの、終点が。」という女に、「その考え方は感心できない」と男はいう。
「終着駅っていうのは、折り返すためにあるんだ。」

そうやって、坂手版ラブストーリー「いとこ同志」は、永劫の旅に出る。

「恋と冒険は、似ている」

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休憩なしの二時間弱の芝居だったが、長くは感じなかった。ストーリーや様々なものに謎が多いが、あまり謎に付き合いすぎず、すなおにセリフや役者たちのつくりだす世界を楽しんだほうがいい。
幕間劇のような「テレビ・ショー」や、虫=通風?のような、仕掛けもあり退屈させない。
坂手は社会派に分類されるらしい。「だるまさんがころんだ」のようなメッセージを受け取ると、どうしてもそのようにカテゴライズしたくなる。しかし、そんな分類で収まらない良質なストーリーテラーで同時代の演劇人である。
芝居も捨てたもんじゃないね。

沖縄での上演は二日間で終了
後は東京で下記の上演があるらしい

7月27日(金)~8月5日(日)
東京劇術劇場小ホール
主催=財団法人東京都歴史文化財東京芸術劇場