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【資料】タイムス掲載(7.27)のシーラ・スミス インタビュー記事

1998年には琉大客員研究員で沖縄にいて、ハワイ東西センターに行ったシーラ・スミスさんは、現在はアメリカのシンクタンクの上級研究員らしい。彼女のインタビュー記事がタイムスに掲載されていた。普天間/新基地建設問題のこれからを考えるのに有意義な発言であり、ウェブでは見当たらなかったので、資料としてここにタイプしておいておく。
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090727_11240001沖縄タイムス2009.7.27朝刊二面)

オバマ政権の対日政策や政権選択選挙を控えた日本の状況は米側からどうみえるのか。米シンクタンク外交問題評議会(CFR、ワシントン)の上級研究員で、日米関係やアジア安保、沖縄問題に詳しいシーラ・スミスさんに聞いた。
(屋良朝博・論説兼編集委員)

 

INTERVEW/論点/このひと

シーラ・スミス(米CFR上級研究員)

―新政権の対日布陣は。

オバマのアジアチームは米国にとって日本の存在がこの地域に重要であると強く認識している。キャンベル国務次官補、グレグソン国防次官補は日本の地域事情にも精通。国家安全保障会議(NSC)のジェフ・ベーダーアジア上級部長は日米関係をグローバルレベルの同盟へと深めるべきだと考えている」

オバマ政権の新たな対日政策は。
オバマ政権は明確な問題を設定した。①経済危機への対応②北朝鮮問題③アフガニスタンの安定④気候変動や省エネ対策⑤中国の環境問題―などで、日本の創造的な協力や問題解決に向けたアプローチを期待している」
「これらは地域的にまた世界規模で日米関係に作用する。どれも前向きな取り組みが期待できるのは、日本がグローバルガバナンスに対する専門知識とエネルギーを提供し、ダイナミックで持続可能なパートナーシップを構築することを大統領が望んでいるからだ」

オバマ大統領の非核宣言は日本の外交防衛専門家を揺るがしている。
「(非核宣言は)新たな日米関係にどのように未来を共有するかを考える格好の例示である。日米は2国間だけでなく、理想な世界を築く自信と大いなる決断を持って未来を見据えなければならない。米国から安全保障をどう引き出すかという内向きな発想は時代遅れだ。選挙を意識した単なる批判合戦の材料として安保政策を語るのではなく、誠実で率直な議論が起こることに期待する」

普天間飛行場の代替施設建設は名護市辺野古を予定地とする現行方針で行くのか、見直すのか。
「今後の推移を見るしかない。基地整理統合に米側は強い関心があるが、進展しないことにいら立ちがある。普天間閉鎖は日米の義務であり、多くが早期解決を望んでいる。日米合意が地元の要求を満たしているのか、総選挙後の政権がどう対応するのか―などが不透明な状況だ」

―日本で民主党政権が誕生した場合、日米関係にどう影響すると思うか。
「これも予測が難しい。二大政党制が日本にとって有益と考えるが、否定的な見方もある。民主は基地問題に関心があり、最近は北東アジアを視野に入れた外交政策や米国の核抑止に疑問を投げかける発言が党幹部からある。日本の外交政策の前提を再構築する変化は、日米のみならず周辺諸国との外交をリセットする努力を含め、強力なリーダーシップが求められる」

民主党は沖縄での新基地建設に反対している。
「県外移設は普天間問題で何度も議論されたが、本土での基地確保は政治的に難しすぎる。別の選択肢は海兵隊に国外移転を求めることだが、これまで日本政府は要求しなかった。民主党が(政権を取った場合)どの政策を選択するか分らない」

海兵隊のグアム移転は実現すると思うか。
「米議会は国防予算審議でグアムの土木作業員の労務費引き上げを要望した。これら予算の問題がスケジュールを変更する最大の要因になるだろう」
普天間は何年も前に閉鎖すべきだったが、日米両政府と地元自治体は政策を成し得なかった。容易ではないだろうが、その目的は放棄してはならない」

(質問・回答は電子メールでやりとりした)

シーラ・スミス(Sheila A.Smith)
ボストン大学教授、琉球大学客員研究員(1998)、ハワイ東西センター教授などを経て2007年から現職。専門は国際政治、日米関係、安全保障。

※赤字強調は管理人

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