みやぎブログ

演劇・戯れ・政治

普天間移設の行方

民主党政策集「インデックス2009」というのが、公表されたらしい。そのなかで、普天間「県外移設」の文言が入っていないということでニュースになっていた。

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米と信頼構築後 検討 普天間移設先/民主・岡田氏 具体策は言及せず
沖縄タイムス2009年07月25日(魚拓)

民主岡田氏、普天間県外移設「変わらず」
琉球新報2009年7月25日(魚拓)

民主党岡田幹事長の言い分は、政権を取ったら「日米首脳間の信頼関係をつくり、それに基づき、懸案事項について順番をつけて議論していく」というものである。

6月25日に岡田幹事長は、米国のフロノイ国防次官と激論を交わしているらしい。その激論が少なからず、公表された政策集作成に影響を与えたのだろう。

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米軍再編巡り激論 民主・岡田幹事長と米国防次官
日経新聞(6月25日16:17)(魚拓)

会談は米側が申し入れた。同飛行場の沖縄県外移転など民主党の主張を念頭にフロノイ氏が「米軍再編を進めることは日米両国 の合意だ」とクギを刺すと、岡田氏は「日米関係は64年前の過去を引きずっている」と反論。日米地位協定を巡っても「公平ではない。日米関係を長期的に安定させるために改善しなければいけない」と譲らなかった。

ひきずっている「64年前の過去」とはなにか。民主党普天間の県内移設に、その過去をみている。1996年のSACO合意で普天間返還は動き出したが、移設の条件付であり、それを日本政府は頑なに沖縄内移設に固執してきた。米国政府も日本政府のそのような限界を現状として認め、付き合ってきた。米国にとっては、1945年以来資本も労力も人的資源も投入し造り上げた「軍事植民地・沖縄」である。1972年の施政権返還とて、その基地の維持・自由使用と施政権返還は両立するという国防総省国務省の「琉球特別作業班」の調査レポート(1967)が出てはじめて動き出したのが事実だ。日米両政府が、地位協定改定をどこまでも避け続けるのは、米軍基地の自由使用にタガをはめられるのを避けるためである。
住民投票の結果が、政府の「アメとムチ」により蔑ろにされるこの10年余を振り返っても、沖縄の現状は、自公政権がどんなに言を弄しても「軍事植民地」であることはまちがいない。

確かに「64年前の過去」をひきずって今日がある。民主党は脳内にお花畑をみて、県外移設を主張しているのではない。「日米関係を長期的に安定させる」という岡田幹事長の発言は政治的には重要な主張である。ことは沖縄・宜野湾・名護だけの問題でなくなって久しい。

いずれにしても、自公政権とはいえ、日米両政府で合意したプランを覆そうというのだから、それなりの手順を踏んで進めていかなければならない。現行の計画の終焉を望む立場から、政策集「インデックス2009」に入っていなかったといって、民主党に不信感を表明してもせんなきことだろう。私は、現行計画終焉以降の、「日米関係を長期的に安定させる」ためのドラスティックな方向性が気になる。

[E:japanesetea]

あまり気にしてなかったが、下記のようなニュースもあったようだ。サンケイだからなぁ、と思いはするが、念のため押さえておく。岡田幹事長は7.25報道の記者会見で否定している。

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【09衆院選】民主、普天間移転で九州2基地を検討
産経新聞2009.7.23 22:08(魚拓)

在日米軍再編に伴う米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設問題で、民主党が、県外移転先の候補地として宮崎県内の航空自衛隊新田原(にゅうたばる)基地と、福岡県の航空自衛隊築城(ついき)基地を検討していることが明らかになった。

[E:eyeglass]

衆院選、沖縄は四つの選挙区がある。

普天間飛行場のある宜野湾市を含む二区は、社民党の照屋議員が現職でいて優勢だろう。もちろん普天間の県内移設には反対の立場である。
移設先にされ続けている名護市を含む三区には、自民党の嘉数議員が現職でいるが、自民党は割れて保守分裂選挙になっている。基地建設に反対する側も、民主と社民が双方出ている。民主の玉城デニーが優勢だという情報もあるが、予断を許さない。
四区は先島地方を含む本島南部だが、自民党の現職議員の評判が悪く、民主党の候補が伸びているらしい。
一区では、民主党なども推薦する国民新党の下地議員が現職でいる。辺野古への県内移設には反対している。他に自民党共産党の候補者がいる。

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「普天間」で対立/沖縄1区 立候補予定者座談会
沖縄タイムス2009年07月25日(魚拓)

沖縄は選挙における「自公協力」発祥の地である。一区をはじめ、保守地盤である三区、四区でどのような選挙結果が出るかが注目される。「自公」は沖縄ではじまり、沖縄で費えるかもしれない。

[E:riceball]

衆院選挙の結果しだいで、流動する政治的な問題だけに、「普天間」の行方は予断を許さない。でもこれだけは、本土の人々に知っておいてもらいたい。

沖縄県民の負担軽減」というのは、まやかしである。グアム移転だけなら引き算なので、そうもいえるだろう。民主党も問題にしている「県内移設」は、沖縄への新たな負担でしかなく、それは64年前の過去から永遠ひきずり背負わされつづけている重荷を、沖縄の次代に背負わせることでしかない。県民はそれを望んでいない。であるから、日米両政府の合意は、10年余も実現できずにここまで来ている。

ここらで終らせて、次のステップへと移ろう。そのステップとて、どれほどの艱難辛苦かわかりはしないが。

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