みやぎブログ

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歓迎!「思いやり予算」初の空白

地位協定で米軍負担と決めている米軍駐留経費を、日本政府が肩代わりする特別協定「思いやり予算」が期限切れになり、初めて空白になることが確定した。4月2日に衆院では採決するらしいが、参院できちんと審議することで問題点をどんどん明らかにしてほしい。参院で自公を惨敗させることで、国民が手に入れたものは大きい。

読売新聞によると、高村外相は28日、記者団に「アメリカの(日本への)信頼が減ることは間違いない。日米同盟の(安全保障上の)抑止力が弱まることを心配している」との懸念を示していたらしい。

「思いやり予算」初の空白、協定期限切れ…(2008年3月28日23時19分  読売新聞)

日本国民の日本政府への、在日米軍への信頼が激減していることへの懸念はないのであろうか。在日米兵による事件・事故のことのみを言っているのではない、米軍への貢ぎともいえる莫大な思いやり予算の不透明な在り方、グアムへの移転経費の負担、構造改革の痛みで死んでいく国民がいるのに、対米予算だけは改革されない聖域であることが許されるはずがない。

■そんなにアメリカがこわいのか

昨日の赤旗のウェブ版の記事によれば、25日の衆院外務員会の理事懇談会で、与党側は面白いことをのたまっていたらしい。

米軍「思いやり予算」初の空白(2008年3月30日(日)「しんぶん赤旗」)

“だれが特別協定の承認を遅らせているのか、米国に直接見てもらう必要がある。外務委員長から委員会 の質疑を傍聴してもらうよう米大使館に要請すべきだ”

思いやり予算」の承認を遅らせたのは、自民党公明党ではない。わるいのは野党であり、それを選んだ国民だというわけだ。そのことをアメリカ様に理解していただくために、国会をアメリカ様にみていただこうと要請する。…どこまでアメリカ様が怖いのか。自民党公明党の政権では、国民ではなくアメリカのために国政が執り行われている。

特別協定は条約扱いで、自公が多数の衆院で採択されると参院でどんなに審議が長引こうと衆院優先で30日以内で効力を発揮する。4月2日に衆院で与党多数で採択されると、5月上旬には確定する。それまでのあいだに、参院でどれほど審議が深まるか、そのことによって、在るべき姿を変えていくための端緒を切り拓くことができるか。注目していきたい。

■追求すべきは米軍への放漫支出

琉球新報では、さすがにこの「空白」によって、従業員給与への影響を懸念する記事が出ている。

思いやり予算の「空白」 従業員給与への影響懸念(2008年3月30日琉球新報

…ただ従業員の給与は31日が過ぎても、すぐに影響は出ない。新協定による給与は4月分からで、支払いは5月上旬。4月上旬支払われる3月分は旧協定で確保されている。

従業員に不利益が出ることはあってはならない。日本政府の責任で、給与の遅延などがおきないようにしなければならない(現段階では日本駐留に金をかけたくない米国が立替を留保しているぐらいで、大問題にはなりそうもない)が、そのために審議が中途半端になったりするのはスジが違うのはいうまでもない。

また、遊興的な事柄に従事する従業員への給与支払いが問題になっていたりすることで、駐留軍雇用員のすべてをそのように考えるのは間違い。当然ながら軍雇用員には、職種に応じて労務契約や基本給表の差異があり、それぞれに専門的な技術を要するものもあれば多種多様である。

軍雇用員には国家公務員並などと羨望と揶揄と嫉妬が交錯する向きもあるが、使用者=米軍で雇用者=日本国という立場は、労働法令も勤務条件も米軍の合意なしには適用されないという複雑な環境であることも理解しなければならない。

Local01

いずれにしても、予算等を問題にするときに、いちばん最初に問題にされるのは人件費であるのはいつでもどこでも一緒だが、あまり短絡に過ぎる議論にならないように、しっかりとスジを通して国会(参院)での審議が深まることを願う。あまりにも過度な遊興的な事柄に対しては、米軍が米国の予算で執行すべきは当然だろう。…沖縄の米海兵隊の基地内にはリゾート施設まで整備されている。それが有償で営業されている。水光熱費及び施設整備費はもちろん思いやり予算だろう、その施設からの収入はどうなっているのか。日本国に入っているわけはないだろう。[E:annoy]

あまりにも無駄遣いを許しすぎた。あまりにも米軍に便宜を図りすぎた。政府は、2001年以降は基地外居住の水光熱費を拠出していないとしているが、2005年の琉球新報の記事では、おきぎん経済研究所による調査結果が下記のように出ている。

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軍人の場合、階級によって毎月約17万―28万円の住宅手当と、使用量に関係なく光熱費約5万円が支給される。公務員や技術者などの軍属も約30万円支給される。これらは日本政府の思いやり予算から捻出(ねんしゅつ)されているという。

家賃高額でも稼働9割 「外人住宅」4500戸(2005年10月1日琉球新報・web魚拓)

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[E:flair]おきぎん経済研究所の調査結果が間違っているのか、政府がウソを言っているのか。このような事柄がたくさんあるのではないか。少し知れば、たくさんの疑問や疑念が出てくる。念のために書いておくが、これはイデオロギーの問題ではない。単純な事実に関する問題だ。

なにはともあれ、「思いやり予算」初の空白という事態を歓迎する。がんばれ野党![E:punch]
地方自治では、岩国市も名護市も、政府・自公に揺さぶられ民主主義の足元が液状化しているが、国政では参院で野党がヘゲモニーを握ることで民主主義が実践されようとしている。そんな気すらしてくる。

【参考】

自ブログ言及ですみませんが、下記二つのエントリーを紹介します。

名護市にある海兵隊の基地のリゾートぶりについて調べたことを書いています。下記エントリー以降も調査を進めて新たな情報も得て、素晴らしいリゾートぶりにますますウンザリしていますが、下記でおおかたは理解してもらえると思えます。

キャンプ・シュワブについて(2007年11月 4日 (日))

思いやり予算の歳出ベースでの経年変化や、いま問題になっている娯楽的な事柄への拠出について書いた最近のエントリーです。

OMOIYARI YOSAN(2008年3月20日 (木))

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本エントリーとはあまり関係ないが、“nagonaguの日記”に、「集団自決」訴訟判決(要旨)を掲載しています。あわせて読んでください。沖縄戦における「強制集団死」に日本軍は関与していない命令していないと、当該のかつての軍人及びその家族の方が書籍の筆者及び出版社を相手に名誉毀損を問うた裁判で敗訴した。文科省はこのような訴訟/異論を根拠に歴史教科書に対して行なった“政治的な”検定意見を撤回すべきである。 

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