みやぎブログ

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沖縄に日本の法律は適用されないのか!(追記あり)

Bugokun4

新基地建設に係る環境影響評価(環境アセス)で、スコブルでたらめなことが進行中である。

(左の画像は昨年五月の自衛隊掃海母艦出動の際の怒りの落書き)

沖縄防衛局(防衛省)は、事業の内容がアバウトすぎて、どのように環境影響について考えたらいいかわからない「方法書」を提出していた。

しかし、その「方法書」の公告縦覧も終了し、誰でもが「環境の保全の見地からする意見」を言うことができる期限も過ぎて、関係する地方公共団体の長(沖縄県知事=市町村の意見は県知事に集約される)の意見が出される段階に来ている。

沖縄県知事に答申を諮問された環境影響評価審査会は、事業者である沖縄防衛局(防衛省)に事業内容について説明を求めた。

ずるずる出し渋っていただろう資料やデータが出てきて、これでは最初の「方法書」はなんだったんだという状況になっている。

沖縄県の環境影響評価審査会は、あまりにも酷い「方法書」なので、出しなおさせるべきだという意見を知事に答申した。

それを受けて、県知事が沖縄防衛局(防衛省)にどのような意見を出すかというのが現段階である。

下記の順で《続き》から、現状について紹介する。

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1月19日の琉球新報の報道(防衛局が方法書再提出?)
1月22日の沖縄タイムスの報道(県知事意見は事実上の書き直し要求?)
1月22日の琉球朝日放送のニュース(県知事手続きやり直しは求めず)

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沖縄県の環境影響評価審査会は、あまりにものデタラメさに、沖縄防衛局(防衛省)に対して「方法書」の書き直しを求めるよう県知事への答申にまとめた。それらを受けての防衛局の方針が19日に報道された。

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1.アセス法が方法書に反映させるために定めているのは、【住民】意見ではない、【環境の保全の見地からの意見を有する者】の意見である。

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防衛局、方法書再提出へ 普天間アセス琉球新報0119)

沖縄防衛局は18日までに、米軍普天間飛行場代替施設建設の環境影響評価(アセスメント)で21日の知事意見を踏まえた上で、県に方法書を再提出する方針を固めた。1月中にも再送する見込み。県は改訂版をあらためて県環境影響評価審査会に諮る予定だが、審査会が指摘していた事業計画内容の不備などについて、どこまで情報開示されるかは不透明で、今後記載内容と併せて新たな方法書に対する住民意見の募集をどう確保するかが焦点となる。

この記事の記述は間違っている。
方法書に対する《住民(意見)》ではなく、環境影響評価法の定め(第八条)では《環境の保全の見地からの意見を有する者(の意見)》である。

(中略)
改訂版について、住民意見を募る縦覧手続きの在り方は不明。本来の住民意見は、公開された方法書を誰でも閲覧でき、意見を述べることができる。同課は、今後の審査会で傍聴人の意見を聞くことで対応できるのではないかとの考えで、今後の審査会での議論が注目される。
(後略)

住民意見》などという法にも位置付けられていないでたらめを言っているから、どんどん問題が矮小化されていく。環境影響評価法の逐条解説から当該部分を引用しておく。

環境の保全の見地からの意見を有する者」

対象事業に係る環境情報は地域住民に限らず、環境の保全に関する調査研究を行なっている専門家等の広い範囲にわたって所有されているため、意見提出者の地域的範囲を限定することは、有益な環境情報を収集するという本法において意見提出手続きを設ける目的に合致しない。このため、環境の保全の見地からの意見を有する者であれば、その者がどこに住んでいるかにかかわらず、意見が提出できることとした。
(中略)
なお、意思を提出できる者には、自然人、法人のほか、権利能力のない団体も含まれる。
(『逐条解説 環境影響評価法環境庁環境影響評価研究会著/ぎょうせい刊 103頁)

明らかに、《住民意見》とするのは間違いで、審査会における傍聴人の意見参照で済ませられる問題ではない。こいつら自分らが何を言っているのかわかっているのか、もうプンプン!

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2.アセス法は事業の内容を修正するときは、「方法書」の作成手続きからやり直すことを規定している。

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アセス総括説明要求 「普天間」移設 事実上の「書き直し」沖縄タイムス0122夕刊)

仲井真弘多知事は二十一日午後、米軍普天間飛行場名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見を沖縄防衛局に提出する。知事意見は、沖縄防衛局が県環境影響評価審査会に対し、これまで実施した追加説明分と、今後明らかになる事業や調査手法などを総括して報告し、同審査会で審議、公表するよう事実上の「書き直し」を求める。一方で、方法書のアセス法上の有効性は否定せず、同法で規定されている「差し戻し」などは求めない沖縄防衛局はアセス調査前に、審査会への説明には応じる方向で県と調整するとみられる
(後略)

環境影響評価法第二十八条は次の通り

第二十八条  事業者は、第七条の規定による公告を行ってから前条の規定による公告を行うまでの間に第五条第一項第二号に掲げる事項を修正しようとする場合(第二十一 条第一項又は第二十五条第一項の規定の適用を受ける場合を除く。)において、当該修正後の事業が対象事業に該当するときは、当該修正後の事業について、第 五条から前条までの規定による環境影響評価その他の手続を経なければならないただし、当該事項の修正が事業規模の縮小、政令で定める軽微な修正その他の 政令で定める修正に該当する場合は、この限りでない。

第五条は「方法書の作成」を規定している。第一項第二号とは《対象事業の目的及び内容》のこと。150ページも追加説明書が出たり、「方法書」の事業内容には書かれてもいなかった施設配備やその他がボロボロ後出しで出て来る状況で、内容の修正ではないと言い張ることはできない。

沖縄県も沖縄防衛局(政府防衛省)と一緒になって、白昼堂々とこのような誤った行政を執行しようとしている。法治国家ではないのか日本は。沖縄には憲法も法も適用されないのか。もう、プンプンギャーギャーキーキー!………すみません、取り乱して(涙)。

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3.事業内容を修正し「改定方法書」を提出するのに、国と県というお役所だけで済ますのは、アセス法違反じゃないっすか。

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県知事は、沖縄防衛局(政府米防衛省)に知事意見を提出した後、記者会見等を行なったらしい。QABではしばらくは映像がみれるはずですから、ぜひリンク先へ行ってみてやってください。恥辱にまみれる沖縄の姿を。
少し長いですけど、QABのニューステキストは全文転載します。

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方法書に県 手続きやり直しではない(QAB琉球朝日放送0122)

辺野古への基地建設に伴う国の環境アセスの方法書に対し、仲井真知事は21日、知事意見を提出しました。方法書の書き直しを求めていますが、アセスの手続き自体は着実に進めたい考えです。

1県は21日、沖縄防衛局を訪れ、国の環境アセスの方法書に対する知事意見を提出しました。知事意見では、県の環境影響評価審査会の答申を踏まえ、事業内容や具体的建設位置、環境アセスの手法、またウミガメやジュゴンの生態系の調査などを詳細に調査し、報告するよう求めています。そしてこれらの項目について、改めて書き直す必要があるとしています。

2 知事意見提出後に県が開いた記者会見で、知念建次文化環境部長は「審査会の答申を勘案すると、書き直しという表現を入れるほうが妥当だ」と説明しました。しかし、「法律の用件は満たしているという(こと)なので、手続きのやり直しをさせるということは出来ないと考えている」と述べ、今後、国からの追加提出を受けてアセスの手続きを進める考えを示しました。

沖縄防衛局では追加提出を済ませた後、来月の2月にも環境アセスの方法書に基づく辺野古での調査に入ると見られます。

岸本記者です。まず、どういった知事意見の内容だったんでしょうか

3 岸本記者「きょう提出した知事意見の中では、まず審査会が指摘したように、方法書の内容が十分でないので、知事意見も出しにくいということ、だから書き直しをして下さいとはっきりと要求しました。そして今回は基地建設のために使う作業現場のことや埋め立て用の土砂の調達方法も具体的に示しなさいと要求しています」

でも知事は方法書の書き直しは求めるけど、「一からのやり直し」は要求しないんですよね。

岸本記者「そうです。審査会は方法書のやり直しを明確に求めましたが、知事は『はっきりしない内容をもっと詳しく追加説明してから、調査に入りなさい』という立場で、つまり防衛省が進めてきた手続きに待ったをかけるものではないんです」

4 知事はきょう、その追加説明さえあれば来月の調査開始を認める発言もしています。

仲井真知事「(方法書の)書き直しが早いと2月にも間に合うんじゃないでしょうか。まだきょうは1月21日でしょ。早く、審査会の先生方がいっておられるのに近い内容に(方法書を)きちっと整理整頓して書き直しして」

では膨大な方法書の追加が文章で出ても、一般の人から意見を聞く公告縦覧はもうやらないということなのでしょうか。

5 岸本記者「手続きを一からやり直すのであれば、当然公告縦覧も法の趣旨からして当然やり直すべきですが、仲井真知事はあと2、3回審査会を開いて、調査に対する県の意見をしっかりと伝えて防衛省が調査に入ればよいと言っています。それは環境影響評価法の『大きな事業の変更があった場合には、方法書の前の手続きに戻らなくてはならない』という部分には当たらないと言う防衛局の立場に近い判断をしたためで、審査会への追加説明という形で決着しようとしている訳です」

それでは今後はその追加説明と2、3回の審査さえ済めば、来月にも本調査が始まるんでしょうか?

岸本記者「仲井真知事も辺野古への基地建設を認める立場ですから、きょうのインタビューでも方法書の問題をクリアして早く調査に入ってほしいという気持ちさえ感じられました。来月7日には東京で普天間移設協議会が開かれますけども、そこで正式に審査会から本調査へという流れを容認する姿勢を政府に伝えることになると思います」

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【追記】12:15

新聞報道等へのリンクを。魚拓とるほどのこともなし。

Seb200801210016 普天間移設、アセス2月開始へ 知事、方法書修正で容認

朝日新聞2008年01月22日10時12分)

米軍普天間飛行場沖縄県名護市への移設問題で、仲井真弘多知事は21日、防衛省の環境影響評価(アセスメント)方法書の埋め立てにかかわる部分について 「書き直しをする必要がある」との意見を同省に提出する一方で、方法書が書き直されればアセスの実施を容認する意向を表明した。政府は追加資料の提出など によって事実上の書き直しに応じる方針で、同省の計画通り2月にアセスが始まる方向となった。(後略)

さすが名護市長さん、しっかり仕事なされていた(笑)。

<北部振興策>名護市長ら今年度分100億円の執行求める

1月21日19時29分配信 毎日新聞

沖縄県の米軍普天間飛行場宜野湾市)移設受け入れに伴う北部振興策について、移設先の名護市の島袋吉和市長らが21日、町村信孝官房長官岸田文雄沖縄 担当相を訪れ、今年度分100億円の執行の確約を求めた。政府が先月表明した執行凍結解除が遅れているための要請。町村、岸田両氏は「近いうちに執行す る」と答えた。(後略)

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環境アセスの「改定方法書」が出るのはほぼ確実。

これを、行政及び沖縄県の環境影響評価審査会(&審議傍聴者)のみが
その内容を知り、意見をいうことでことたれりとするのはおかしい。

ジュゴンの専門家。サンゴ、海草、魚、貝、生態系、様々な専門家がいる。それらの方々が情報にアクセスし、意見をいえる適切な回路を確保すべきである。

「改定方法書」が出たら、公告縦覧から手続きをやりなおさせるしかない。

(追記ココマデ)

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こんなにデタラメなことが行なわれている。

この国が法治国家であるならば、我々が法の前での平等を大切に思うなら、「方法書」を出しなおして、公告縦覧の手続きからやり直させるしかない。

それ以外の道は、憲法に反する。

憲法12条は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」と定めている。
国家権力は必ずや今日のようなことをするということを憲法は冷徹に想定しているから、主権者である国民の努力規定をしたのだろう。
不断の努力をやめたとき、国家権力は国民に牙を剥く。

あらためて、この問題については落ち着いてゆっくり報告したいと思っています。

私は怒り過ぎているんだろうか。違うと思う、私たちは怒りが足りないんだ。

(To be continued)

関連エントリー

沖縄の海岸から白い砂が消える(0118)

※お時間が許すならば、左サイドバーのカテゴリーで「新基地建設」をクリックして、この問題に対する過去のエントリーをごらんください。


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