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宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

仲井真県知事は「県内移設」を承認した

12月27日に、知事公舎で行なわれた県知事の辺野古埋め立て「承認」表明のコメントを読む。

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去る3月22日に沖縄防衛局から提出のあった公有水面埋立承認申請については、所要の審査を行った結果、現段階で取り得ると考えられる環境保全措置等が講じられており、基準に適合していると判断し、承認することといたしました。

埋立承認に関する説明はこれだけである。環境影響評価書では「不可能」と断じていた環境保全措置が、ここでは「基準に適合」となっている。名護市長意見やパブリックコメントの類いもどのように読まれ反映されたかの説明も皆無。まさしく行政手続きとしては問答無用である。

さて次に、私は、沖縄県知事として7年間、沖縄振興と基地負担の軽減に取り組んでまいりました。

公有水面埋立法に基づく県知事判断に関する公式表明にも関わらず、この後長々と続くのは「沖縄振興と基地負担軽減」の話である。これでは「カネ=沖縄振興」で「基地負担(新基地建設)に同意」しましたと表明しているのも同じである。そうではない私(仲井真)は「基地負担軽減に同意」したのだとしなければならないので、長々とレトリックを駆使することになる。

このような中、今般、政府から示された沖縄振興策については県の要望に沿った内容が盛り込まれており、安倍内閣の沖縄に対する思いが、かつてのどの内閣にも増して強いと感じたところでございます。

また、基地負担軽減策においては、安倍総理は、沖縄の4項目の要望をすべて受け止め、米国と交渉をまとめていかれるという強い姿勢を示されました。

沖縄政策協議会で出された県の要望は唐突に出てきた。沖縄のマスコミも含めて、県内移設受入の「条件闘争」かといぶかしんだが、沖縄県はなんら応答せず、知事は東京でそのまま入院して、政権幹部と折衝を続けた(ということが後から取材報道で判明している)。

とりわけ、5年以内の普天間飛行場の運用停止、すなわち危険性除去は最大の課題であり、安倍総理からは、「認識を共有している」との表明がありました。

普天間飛行場の5年以内の運用停止に政府として取り組むとのことであります。

仲井真県知事は5年以内の普天間飛行場の運用停止には「県外移設」が不可欠だから、自身の「県外移設」という公約は堅持されていると強引に主張している。埋立承認は辺野古移設の承認・同意であるのは自明であり、あまりにも矛盾は大きくデタラメとしかいえない。そのことを記者会見で突かれると、逆ギレとしかいえない興奮ぶりであった。この「公約違反」ではないという主張の根幹には「5年以内の運用停止に政府として取り組む」という認識が欠かせない。ここで知事が自ら言っているように安倍総理からは「移設されるまでの間の普天間飛行場の危険性除去が極めて重要な課題であるという認識は知事とまさに共有しているところであります」という発言しかなく、「5年以内の運用停止に政府として取り組む」との発言はない。

そして、地位協定の改定の実行は画期的な事であり、オスプレイの分散移転の実現も喫緊の課題であります。

私は就任以来、普天間飛行場の危険性除去のため、現実的な方策を訴えてきたところであります。

今、安倍総理の強いリーダーシップにより、5年以内の運用停止の道筋が見えつつあり、また岩国市長さんがKC130の移転を受け入れていただくなど、全国で沖縄の基地負担を分かち合う動きも出始めていると思います。このような動きは、まさしく私の公約に合致しているものと考えてます。

政府は、このような流れを加速させるよう全力を尽くすべきだと考えます。

仲井真知事は「地位協定の改定の実行」と言うが、政府はそんなこと一言も言っていないし、むしろ「地位協定の改定」を行なわないことについて米国政府は明言し、日本政府が求めたかどうかもわからないというのが現実である。今回政府から言われているのは、「地位協定を補完する新たな協定」の話し合いのテーブルである。オスプレイについても、沖縄の主張はオスプレイ配備撤回であったものがいつのまにか分散移転に力点が移っている。しかしこれが、仲井真知事の言う「現実的な方策」なんだと一定程度理解したとしても、安倍総理が一言も具体的に取り組むと発言していない「5年以内の運用停止」が「道筋が見えつつある」になるに至っては理解できない。

沖縄振興予算の確保は、与党、市町村、県そして政府の多くの方々が汗を流して確保したものであり、今般政府から示された計画期間内の3千億円台の確保、那覇空港滑走路建設費の枠外確保などは、今後の沖縄の発展のために不可欠なものであります。

那覇空港滑走路建設費については、現行の自衛隊との共用を止めれば滑走路の利用率等を考えても問題はなく、むしろ増設は自衛隊の増強のためではないかと危惧されている。「今後の沖縄の発展のため」どころか、今後とも沖縄が基地の島として維持され続けることにつながる問題である。

一方で国際情勢は県民の意思に関係なく緊張していると認識しており、沖縄は一定の役割を果たさなければなりません。

しかしながら過重な基地負担は不公平であり、全国の問題として軽減されるべきものと考えております。

いずれも重要な政策課題であり、いかに県民の利益を考え実行するかであります。

今回の政府の措置はその意味でバランスが取れており、かつてない内容と申し上げました。

現在、政府が示している辺野古移設計画は、約10年の期間を要し、その間、普天間飛行場が現状維持の状態となるような事態は絶対に避けなければなりません。

「過重な基地負担は不公平であり」であるから県内への新基地建設である辺野古移設は認めないというのが、県民の最大公約数ともいうべき認識である。18年間も建設計画が具体的には進捗しなかったというのはそれ故である。ここで「県内移設」を是認してしまえば、耐用年数100年以上もの新基地で沖縄の未来は基地との頸城を逃れられない。

仲井真県知事の「県外移設」堅持という詭弁ともいえる主張は、「県内移設」に沖縄として承認を与えたことをごまかすことはできない。

そのため、県外の既に飛行場のある場所へ移設する方が最も早いという私の考えは変わらず、辺野古移設を実行するにあたっても、暫定的であったとしても、考え得る県外移設案を全て検討し、5年以内の運用停止を図る必要があります。

従って、政府は、普天間飛行場の危険性の除去を図るため、5年以内の運用停止の実現に向け、今後も県外移設を検討する必要があることは、言うまでもありません。

「県内移設」を是認したという意思決定を、可能な限り過小評価したいがために、その工事期間の長さに着目し短縮されるべきであることと「5年以内の運用停止」を最大限既成事実の如く言い募り、それを「県外移設」と名づける。仲井真県知事のレトリックは「県内移設」是認をカモフラージュするために駆使されている。

以上をもって、私の説明といたします。

県民の皆さまのご理解を、お願い申し上げます。

県民には様々な受け止め方があるだろう。ただこれだけは確実なこととして言える。今般の埋立承認は、県知事がなんと言おうと、辺野古新基地建設が進む最大のメルクマールであり、仲井真県知事は「県内移設」を承認したということである。

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後日談だが、沖縄県は「5年内停止へ再要請」することを決定したという。「5年以内の運用停止」が「道筋が見えつつある」わけではないらしい。

県知事の埋立「承認」は、様々なレベルで批判にさらされていて、年末年始を挟んで人々を混乱に陥れている。リコールがあるのか県議会で不信任されるのか、予断を許さないが、このまま粛々とすべてが進んでいくというのが一番最悪のシナリオである。名護市長選挙もある。そちらにウェイトが大きくかかる中で、県知事が不問に付されることになれば、それはそれで政府や新基地を推進する側のシナリオ通りでもあるのだろう。

まだ先は見通せない。

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【参考】

辺野古埋め立て承認:知事コメント全文沖縄タイムス12.28)

仲井眞沖縄県知事との面談首相官邸12.25)

「5年内停止」再要請へ 県、政府に来月以降琉球新報12.29)