宮城康博blog

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辺野古新基地建設のための埋立申請への意見書

下記の意見書を書くには、 http://shinkichihantai.tumblr.com/ ←このページを参照した。埋立申請書へのリンクや諸々が充実している。

私は長い間関わってきたせいで意見したいことが山ほどありすぎて、冗漫で長くなってしまったが、箇条書きで短い意見書であってもなんの問題もない(むしろ短く簡潔で的を得ているほうがいい)ので、それぞれの立場からの意見をぜひ沖縄県に寄せてほしい。辺野古への新基地建設に関して、公式に市民が意見をいえる最後のステージです。締め切りは今月17日まで。

 

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公有水面埋立承認申請書(名護市辺野古)に係る利害関係人の意見書

20137 3 

沖縄県知事 仲井眞 弘多 あて

提出者

 所:

 名:宮城康博

電 話:

E-mail

 

■利害関係の内容

 私は名護市で生まれ育ったウチナーンチュとして、埋立計画されている当該事業で造られる米軍施設の是非に関する住民投票を行った1997年当時の名護市民のひとりとして、沖縄戦後現在まで連綿と続く過重な基地負担及び基地被害に憤る沖縄県民のひとりとして、子孫へ良好な自然環境と社会環境を渡さなければならない責任ある人間のひとりとして、被差別に忍従することなく指摘し是正させる責任を持つ社会の一員として、本埋立事業に関して利害関係を有す利害関係人です。

■意見

 本埋立事業を「沖縄県知事は不承認とすべきである」と意見します。

 以下、その理由を記述します。

1)本事業の経緯は政府のウソとごまかしの歴史である。

1996年のSACO最終報告で日米両政府が移設条件付きで普天間返還を合意して以来、長きに渡り政府と関係自治体の協議や政府による調査などが行われてきました。移設先が現今の提供施設・区域内(キャンプ・シュワブ水域内および陸域)であったとしても、県内での新たな基地建設であるという認識が存在することは否めなく、沖縄においては重大な政治的争点であり続けました。政府の態度には、ウソとごまかしが存在し続けてきたことも周知の事実です。このようなウソとごまかしの結果、辿り着いた埋立申請を承認することは、政府のウソとごまかしを是認することであり、断じて認めていいことではありません。

①「適地選定のための予備的調査」

政府は1997年に名護市に対して、「適地選定のための予備的調査」として、選定候補たる他の地域での調査などは一切ない中で、反対する住民を押し切って辺野古地先沿岸域でのボーリング調査等や諸々を行ないました。名護市及び沖縄県(当時の県知事は大田昌秀)は政府の説明通りの「適地選定のための予備的調査」と理解していると調査を是認しましたが、最初から辺野古(シュワブ)ありきの立地であったことが現在では冷静にみてとれます。今般の埋立申請は、沖縄側行政に対してウソとごまかしで開始された事業の総仕上げだといえます。

②「軍民共用空港」の事業主体

沖縄県1999年に普天間代替基地建設を軍民共用空港とすることを条件に受け入れたのは、米軍基地との共生を未来永劫続けるわけにはいかないという判断からだったと思量します。故に15年の(軍事基地としての)使用期限だったわけです。これら沖縄側の条件はすべて反故にされ、現在があるわけですが、政府は軍民共用空港について「法的に民間部分の事業主体には及べない」(山中防衛施設庁長官.2003)としていたものを、内閣法制局による法解釈で防衛庁設置法第5条(当時、現在は防衛省設置法第4条)第19項の末尾「(駐留軍提供施設区域の使用条件の変更及び返還に)関すること」に基づき事業主体になれるとしました。このような事例から明らかなことは、本事業に関することは、法令解釈も含めて政府は相当な無理を押し通してくるということです。沖縄県が県民の生命と財産を守る立場から毅然と臨むことが強く求められます。

③現行計画の閣議決定前の事前協議の約束は果たされてない

米軍再編時に計画は大きく変更されました。その際に、名護市宜野座村は政府(防衛大臣)と基本合意書を交わしましたが、沖縄県は基本確認書に留めています。取り交わされた文書には、米軍再編合意事項の実施に係る閣議決定をする際には、政府は沖縄県及び名護市、関係地方公共団体と事前に協議することになっていましたが、事前協議はなく閣議決定はなされました。そのことは埋立申請に添付された「埋立必要理由書」の「(2) 普天間飛行場移設計画の経緯」(2ページ以降)でも確認できます。政府と沖縄県及び市町村が取り交わす公式な文書が、このような形で反故にされてきた経緯が歴然としてある中で、沖縄県は本事業に対してどのように臨むべきでしょうか。ウソとでたらめを、それと知りつつまかり通らせ続けることは、ウソとでたらめに加担し補完する行為に他なりません。

環境アセスにおける後出しの杜撰さ

環境影響評価手続きにおいて事業者である政府防衛省(沖縄防衛局)が示した方法書は、環境影響要因である事業内容が不明確で沖縄県環境影響評価審査会が「当該事業に係る方法書手続きは、事業内容がある程度決定した上で、再度実施するべき」と県知事に答申(200712)したほどでした。基本的な環境影響の諸元も規模も不明確のまま続けられ、「後出し」で使用機種や埋立規模等を出してくるというのは事業アセスとしてはでたらめ極まりないものでした。最終的な環境影響評価書に対しても県知事が「評価書で示された環境保全措置等では、事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全を図ることは、不可能」と断じざる得ないものでした。

このような杜撰で科学的な透明性・公平性を欠く手続きを進めてきた事業者が、埋立申請において辺野古への移設しかないことを強調しつつなんら理由も示さず「移設先の自然・生活環境に最大限配慮できる」(添付図書1埋立必要理由書2ページ)とする言葉を、まともな言説として受け取ることはできません。

埋立申請されている沿岸域は沖縄県の自然環境保全指針で「評価ランク. Ⅰ・自然環境の厳正な保護を図る区域」となっています。埋立という破壊をして、自然環境に最大限配慮できる場所でないことは自明です。なぜ、このようなことが行なわれるのか、それは政府に最初から「辺野古ありき」「シュワブありき」という考えしかないからです。1997年の「適地選定のための予備的調査」から一貫して、そうでしかなかったからです。このようなウソとでたらめに終止符を打ちましょう。

⑤「犯す前に犯すというか」

県知事が埋立申請をどのように判断するかと思量する際に、直接的に関わることではないと思いますが、重要なウソとでたらめの露呈として、沖縄防衛局の田中聡局長の発言があります。環境影響評価書の提出時期に関して「犯す前に、犯しますよと言うか」というのは、明らかに本埋立事業に関する政府の本音の露呈であります。政府はこれを不適切発言として、田中聡局長を更迭しましたが、それは政府側の行為であり、沖縄としては更迭で済む問題ではなく「犯す」と表現された政府行為を政府が止めるのか止めないのか、沖縄が止めさせきれるかの問題です。思えば、「適地選定のための予備的調査」というウソとごまかしで始まった行為そのものの、ウソとごまかしそのものが「犯す」行為でしかなく、その最終段階としての埋立申請であるといえます。沖縄県が、これまでの経緯を含め冷静に判断し、毅然と拒否することこそが重要です。


2)安全保障政策の問題と沖縄

沖縄県は、これまで再三再四に渡り、日米地位協定の見直しと改定を求めてきましたが、政府は一貫して「運用の見直し」で応じ、改定の必要性を考慮していません。

事業の環境影響評価にも自ずと地位協定が有する問題は露呈しており、事業主体である政府防衛省(沖縄防衛局)は事業で造られる基地の運用と管理に関する権利を有していません(地位協定3条)。ですから、環境影響の諸元を詳細に把握することもできず、想定したとしても責任を持てる立場でもありません。米軍が沖縄防衛局の想定通りに運用し管理することを強制できる権利を日本政府は持ち合わせていません。埋立で基地を造ってしまって提供して後の運用に日本政府が責任を持とうと思っているなら、日米地位協定の「運用の見直し」ばかりを言ってるはずがありません。

今般の埋立申請に添付された「埋立必要理由書」における記述からは、政府が沖縄県への米軍基地の過重な在り方やその問題の根深さについて真摯に対応し考慮しようという意思は欠片も読み取れません。それどころか、安全保障上の観点からの政府の主張を押し付けてくるだけで、この理由を受け入れてしまっては、沖縄は日米安全保障条約体制の犠牲となることを自ら是認することにつながります。

政府は、「埋立の動機並びに必要性」として、沖縄は日本国の「安全保障上極めて重要な位置」にあり、なおかつ周辺国(中国を想定していることは明らか)からも「戦略的に重要な位置にある」として、「沖縄に米海兵隊をはじめとする米軍が駐留していることは、日本国のみならずアジア太平洋地域の平和と安定に寄与」とし、「普天間飛行場は、海兵隊の航空輸送の拠点、米海兵隊の運用上、極めて大きな役割を果たしている」ので辺野古への埋立で移設するしかないんだとしています。

私たち沖縄県民は、これまでの経緯を報道を通して知っています。1998年の日米の非公式協議で当時のキャンベル国防次官補は次のように述べています。少し長いですが、新聞記事(琉球新報20091115日)を引用します。

米軍普天間飛行場移設をめぐり、大田昌秀知事(当時)が代替施設を拒否した後の1998年3月、日米の非公式協議でカート・キャンベル米国防次官補代理(現国務次官補)が日本政府の決定次第では、北九州など県外への移設が可能だとすることを、日本側に伝えていたことが琉球新報が14日までに入手した政府内文書で分かった。県外移設が不可能な理由について日本側が挙げた「沖縄の戦略的位置」を打ち消し、地元の反対など政治的に移設先を準備できないためだと指摘した。
 文書は98年3月13日付。非公式協議は神奈川県内のホテルで開かれ、日本側から防衛庁審議官と外務省北米局審議官らが出席、米側はキャンベル氏のほか在日米大使館公使らが参加した。協議で日本側は、県内移設の理由を国民に説明するため、米側に認識の調整を申し出た。

日本側は県内移設の理由として「沖縄の戦略的位置」を挙げ、さらに「沖縄に海兵隊を支えるためのインフラがあることそのものが、在沖海兵隊の県外移駐を困難なものとしている」と説明した。
 これに対し、キャンベル氏は「違うのではないか。事実は、日本政府が沖縄以外に海兵隊のプレゼンス(存在)を支える基盤提供が政治的に不可能だということだろう」と指摘し、米側の運用を理由にすることをけん制した。北九州や四国への移設は可能かとする日本側の問いにキャンベル氏は「当然だ」と答えた。

(以下略)

1998年の時点でキャンベル氏に否定されている、「沖縄の戦略的位置」「沖縄に海兵隊を支えるためのインフラがあることそのものが、在沖海兵隊の県外移駐を困難なものとしている」という主張を、今般の埋立申請においても日本政府は繰り返している。「埋立必要理由書」の2ページ【国外、県外への移設が適切でないことについて】で事業者は次のように記述しています。

海兵隊は、司令部、陸上・航空・後方支援部隊を組み合わせて一体的に運用する組織構造を有し、平素から日常的に各構成要素が一体となり訓練を行うことで優れた機動力・即応性を保ち、武力紛争から人道支援、自然災害対処に至るまで幅広い任務に迅速に対応する特性を有しており、こうした特性や機能を低下させないようにすることが必要であること。例えば、普天間飛行場に所属する海兵隊ヘリ部隊を、沖縄所在の他の海兵隊部隊から切り離し、国外、県外に移設すれば、海兵隊の持つこうした機動性・即応性といった特性・機能を損なう懸念があること

これは1998年当時にキャンベル氏に否定されている「沖縄に海兵隊を支えるためのインフラがあることそのものが、在沖海兵隊の県外移駐を困難なものとしている」そのものです。

米国の担当者にすら違うだろうと否定された主張を、日本側は沖縄に対して(のみならず日本国内のすべての利害関係者に)15年以上もやり続けています。真摯に国家安全保障政策を考えているなら、沖縄の犠牲に甘えず、日本国は政策の根幹から考え直すべきだと、沖縄側が埋立申請を不承認する形で突き返すことは、安全保障の在り方を国民全体の議論とし政府が安定的な政策を立案講じていける契機にもなるはずです。沖縄県知事の毅然とした判断を求めます。

3)火を見るより明らかなこと

 事業者の「埋立必要理由書」等を読んでも、触れられておらず、なおかつ私たち沖縄県民が知らなくてはならない事実に鑑みても、今般の埋立申請を沖縄県が承認してはならない理由があります。沖縄では火を見るより明らかなことですが、日本国政府の方針及び全国的マスコミの報道の偏りで理解がなされていない状況です。

普天間飛行場沖縄戦の最中に米軍が正当な地権者が収容所等に隔離されている中で、正当な地権者の承認を求めることもせず米軍が土地を奪い造った基地です。終戦後は速やかに所定の手続きを経て返還されるべきであったものが、サンフランシスコ講和条約で米軍が施政権を得ることで自身が発する一方的な布告・布令に基づき利用し続けてきた基地であります。

 本来なら、1972年の日本国への施政権返還時に処理すべき事案であったものを、そのまま日米安全保障条約(地位協定)に基づく提供施設・区域とされたのが普天間飛行場です。

 閉鎖/返還に際して、これを「県内移設」とすることは、沖縄の沖縄戦及び沖縄戦以降の苦難の戦後史から、これを認めることはできないと民衆が考えるのは理の当然です。沖縄県が本埋立事業を認めてしまえば、混乱は未曽有の事態になることは火を見るより明らかです。

日米安全保障条約の賛否について、沖縄県民には様々な意見があります。しかし現在の沖縄の米軍基地の過重な状況は、あまりにも不公平であり戦後の日本国内における在日米軍基地の変遷を考えても差別的でさえあると認識している人々が大多数であるのは自明です。それ故に、普天間飛行場へのオスプレイ配備に反対し普天間飛行場全ゲートが民衆により封鎖される事件が起こり(201292930日)、沖縄の全自治体の首長及び議会等の連名で「米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念すること」と建白書が総理大臣に手渡されました(2013128日)。

かかる状況の中で、普天間飛行場を返還させるための代替施設建設を沖縄県知事が認めてしまえば、沖縄は日米安全保障条約体制における「米軍基地の島」であることを、基地との共生を認めてしまうことになります。そのようなことを唯々諾々と認めることはできず、反対せざる得ない民衆は大多数にのぼり、混乱は未曽有の事態になることは火を見るより明らかです。

埋立申請されている事業で完成される施設は普天間代替施設となっていますが、港湾施設や当初計画よりなし崩しで拡大していく経緯等を考えれば、本埋立事業で造られる施設は「普天間代替」ではなく「新基地」としかいえないことを多くの県民は知っています。県議会においても「新基地建設反対」の決議が行われていることに鑑みても、沖縄の在日米軍基地の過重負担にさらに過重を加える事業であることは明らかであり、沖縄県民がこれを是認することはできないと考えるべきです。

このような理由から、本事業1997年以来、長きにわたって沖縄における重要な政治的争点であり行政的社会的課題であり続けました。これをいたずらに先延ばしし続けることは、危険な普天間飛行場の固定化にもつながり、沖縄としては容認できる政策ではありません。本埋立事業に対して、明確に沖縄県が不承認とすることで、日米両政府に厳しく再考を促すべきです。

4)結論

 沖縄県が本事業に係る環境影響評価で、厳しい意見を出したように、本埋立事業による「自然・生活環境に最大限配慮」が功を奏すこと不可能です。沖縄県の「自然環境の厳正な保護を図る」という指針に鑑みても、本埋立事業沖縄県民の将来世代に渡さなければならない貴重な自然環境を破壊するものであり認められものではありません。

 また、危険な普天間飛行場の返還のための移設のための埋立であると政府は主張していますが、移設先を沖縄県外でまともに検討した形跡もなく、反対の声を挙げ続けた沖縄の主張を無視する政府の行為を是認することがあってはならない、そのことを強く意見とします。

 個人的な意見としては、普天間飛行場沖縄戦時(その後の米軍支配)に土地を強奪され造られた基地であり、日米両政府は無条件で閉鎖・返還すべきだと考えております。このような問題で、政治的に沖縄が分断されることなく、現在の軍事植民地的状況を変革し自立自治を目指す方向で、活発な議論と政策的思考及び実践が展開されていくことを望みます。そのためにも、沖縄県知事の埋立申請への対応が大事だと思量しております。

以上

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