宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

名護市への「ふるさと納税」に対する私見

米軍再編交付金がらみで名護市への「ふるさと納税」が話題になっている。17日には学者・文化人らによる呼び掛けもなされたらしい。(⇒新報1月18日

少し異論というか懸念があるので、私見をここに書いておく。

先に紹介した記事に関してブクマしツイートした。

土俵の設定/戦い方が間違ってないか?悪しき交付金制度を糾弾し改廃させる言論を構築すべき人々が、対抗としてふるさと納税呼びかける。実際、名護市はそんなに困ってるのか?政治的には逆効果にもなりえないか? / 名護へふるさと納税を 交付金カッ… http://htn.to/kS4yKD 1月18日

ブクマコメントだけでは、字数が足りないので続けてツイート。

未交付の交付金に見合う十数億ものふるさと納税が集まるはずはないし、逆に名護市の保守層はこの行為を市の財政危機を喧伝する材料に使える。学校建設まで再編交付金に頼ろうとしていた市政が問題なのであって、その本質を問わず外部から応援合戦することは明らかに「自治」に悪影響を与える。(続く) 1月18日

承前)再編交付金カットは、再編事業(基地建設)を前提とした制度だから反対すれば自明。名護市には他自治体に比して有利なシュワブ軍用地料をはじめ使途自由な収入が数十億ある。知恵と工夫でやれる。実態を知らず外部が騒ぎ、不安だけが醸成されるのは政治的にもマイナスでしかない。 1月18日

それでも言い足りないので、思いつきをまたツイート。

政府・防衛省、そして起死回生を狙う名護市の保守陣営は、再編交付金で騒いでくれるのはうれしいだろう。名護市では、直近の県知事選挙でも仲井真氏がしっかり勝ってる。つまらん動きは彼らを利するだけである。憮然 1月18日

そうこうしているうちに、最初のツイートにumimogurerなる方から私宛に下記意見がツイートされていた。

米軍再編交付金に変わったことに、私達は糾弾以外に何が出来るというのでしょうか?かりに焼石に水かもしれないが、ふるさと納税という知恵を使うことが、間違いとは私には思えない。水が必要なくなる施策を提起出来ればとは思います。 @nagonagu 1月18日

上記返信に対して、一応下記返信をツイートした。

@umimogurer 私は貧乏なのでできないが、ふるさと納税できる人がすることをなんとも思いません。これを学者文化人が大きく呼びかけることで、実態以上に名護市が窮しているとのイメージが膨らみ有権者の不安を醸成することになれば、基地建設を進める側に利すると懸念しているんです。 1月18日

それに対して、同じ方から下記ツイートがあった。

ふるさと納税 その扱われようによって名護市民への不安材料になると懸念されてると@nagonagu。今は投票率にみられた失望・思考停止にかわる希望が必要なのだと思いますし、市政運営がそうなれればと @ryukyushimpo [琉球新報] 再編交付金事業中止 名護市、支給凍結受け 1月18日

それに対する私の返信は下記。

@umimogurer 私は名護市民が思考停止しているとは思いませんが?つまらん財源を当てにしていた事業が中止され、自らの知恵と工夫で身の丈にあった事業を成すのが原理原則。名護市はその端緒についたんではないですかね。弾けたバブルを、他のバブルであてがってもねと思います。 1月18日

以上でやりとりは終了

[E:sign01]

ツイッターの140字制限の中で書けることは多くない。しかしブログで記事を上げるほど、私にはゆっくり考える時間がなく、最近はツイッターでのつぶやきばかり。それでしばらく自己満足しておくしかない。

この件については、私は人々が名護市へ「ふるさと納税」することをやめるべきだとか、そんなことしても無駄だとか揶揄する気はない。カネはカネである。それを生かすも殺すも、名護市という自治体がしっかりやってくれるかどうかだけである。個々人の判断で「ふるさと納税」することを、私ごときがどうこういう筋合いの問題ではない。

件の学者・文化人の呼び掛けは、新聞記事によると「辺野古への普天間飛行場代替施設建設を拒否する名護市の姿勢を後押しするとともに、基地問題で差別的な対応をする政府へ意思表示してもらうことが狙い。」ということらしい。明らかに政治的な意図を持ってする運動である。

自治体への納税を、そのような政治的運動として成すことは「あたり」だろうか?

名護市への新基地建設は、今でこそ新市長のもとで名護市も市議会も反対に転じているが、私の知っている名護市は「条件付賛成」で新基地を推進する勢力が首長も議会多数も占めていた。現在反対している市長は当時の「条件付賛成」をしていた市長の下で市幹部を勤めた人物であり、市議会議長は議員として新基地建設推進を積極的に推し進めていた人物である。それらが「変わった」ことは、私は歓迎すべきことだと思うが、それらは「なかった」ことにはならない。名護市への「ふるさと納税」は現在の反対する名護市への納税ということだが、名護市が賛成へ転ずる可能性は皆無ではない。その際に税を戻せという運動でもするんだろうか。名護市への無償の思いからではないなら「ふるさと納税」などではなく、反対を堅持するための基金でも造成してそこに喜捨したほうがいいのではないだろうか。カネに紐をつけるなら、きちんとつけるべきである。

ことほどさように、問題は「政治」である。現在でも名護市には、新基地建設を推進したい勢力はいる。政府は諦めていないどころか、シュワブ内では建設が進んでいる状態だろう。このような状況下で、十数億円もの再編交付金がらみの事業費が止められる事態になっているのだが、これに対して「ふるさと納税」は心意気はどうあろうと金額的に対抗できるようなものになるはずがない。

再編交付金がらみで外野が大騒ぎすればするほど、名護市の新基地建設を推進したい勢力は、市の財政破綻をことさらに懸念してみせて、市民の不安を煽り立てるだろう。そこに対して政府・防衛省が梃入れすることは想像に難くない。辺野古への防衛事務所設置も、反対派や反対の心情に染まった人にはとんでもない暴挙の如くしかみえないが、そうでない人々には未来へつなげる大きな援軍であり政府の篤い支持・後ろ盾だとさえ思えるのではないだろうか。

再編交付金問題で、大切なのは二点。-

  1. 再編交付金制度の問題点の深さを、学者・文化人は総力をあげて明らかにして、このような国と地方のありかたを問答無用の上下関係に固定する制度を廃棄させること。
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  2. 名護市は再編交付金制度などに頼ろうとしたことを反省し、その問題点を明確にした上で市民に対して事業進捗等について今後のあり方の説明責任を果たす。

それだけのことであり、それをやらずして、「ふるさと納税」でどうこうしようなどというのは、再編交付金と同じ土俵で戦う姿勢を示すことでしかない。そしてそれは明らかに敗北である。

私は納税できるほどの収入のある方々が、どのようにしようと知ったこっちゃないが、それが「免罪符」のように機能し、現在のシュワブ陸上部で基地建設そのものが進行しているだろう状態や、これから来るであろう様々な政府の懐柔策およびそれに呼応しようと名護市で進行している保守派の巻き返し動向などが、ぜんぜん見えなくなることはいただけない。

「免罪符」などではなく、逆に「ふるさと納税」運動を通して、人々の問題意識を喚起し政府に新基地建設を断念させる行為につなげるんだということもあるかもしれない。私には到底そうなるとは思えないが、そうなるならそれはそれでいいことである。

私はこの運動が逆に、名護市の新基地建設推進を目論む保守派に利することを懸念している。別の回路で考えれば、基地などない沖縄の他の自治体からは名護市や北部のこの十数年余=特別な財源から振興策が湯水の如く繰り出される様=は、バブルでしかないとわかっていてもうらやましいものであったろう。それが弾けたら、今度は「ふるさと納税」というカタチで特別な収入が続く…名護市はどこまで甘やかされるのだろうというのもあるのではないだろうか。保守派はそのようなリアルな心情に棹差して、リアルな未来をみつめている。いずれにしても、「再編交付金」vs「ふるさと納税」…そのようなことが「自治」力をあげることなどあろうはずはない。どちらも外部からカネで自治をコントロールしようとする。

[E:sign02]

名護市が本気で新基地建設に反対するなら、現在進行形で進捗しているであろうシュワブ内での工事等に対してどのように対処していくのかのマニフェストぐらい出すべきだし、政府が政府の権能で進めることについては無抵抗で進めさせるしかないが、私ども(名護市)は反対だというだけでは、新基地建設そのものは止めることなどできないのではないかと危惧する。

新基地建設に係る工事関係には市有地や市道を利用させないとか、究極はシュワブにおける市有地の契約更改を拒否するとか、名護市がやれることはたくさんある。

ふるさと納税」で得られるカネは名護市にとっては得がたい収入である。名護市はそれに感謝し、再編交付金などに頼らないまちづくりを進めていけるだろうか。それは振興策バブルをどのように自己批判できるかに掛っている気がしてならない。

時間切れ。
今日はここまで。
しばらくまた黙ります。
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