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宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

沖縄県知事選挙におもふ【追記あり】

第11回沖縄県知事選挙は、2010年11月11日告示・28日投開票(11に縁のある選挙だこと^^)。現職で自・公の仲井真氏、社民・社大(沖縄ローカルパーティ)・共産が推す宜野湾市長の伊波洋一氏の一騎打ちの様相である。

1996年のSACO以来、普天間返還=新基地建設が問われ続けた沖縄県知事選挙は、98年の稲嶺恵一氏当選(2期8年&仲井真氏(1期4年))から12年間保守県政が続いた。

革新陣営にとっては、この数年で堰を切って顕現化した基地建設に反対する民意など追い風ではあるが、民主党政権の「変節」ぶりにあてられ県民の「政治」への不信否応無く増し、有権者の判断がどうでるかは不透明である。

告示1ヶ月前の11日、少し、私なりに整理メモを記しておく。


■新基地建設問題

日本政府は、鳩山首相が県外を模索する動きをみせたが、結局「抑止力」という言葉で辺野古への新基地建設推進に舞い戻る。菅政権も、日米合意履行という方針を堅持し続けている。

米国政府は、グアム海兵隊基地計画の財源措置などに狂いが生じ、計画の遅延を余儀なくされている。在沖米軍基地に関しては、SACO以来、沖縄中南部の人口集中都市部から北部などの過疎地への移転等により既得権益を維持し続ける方針に変わりはない。

沖縄県民の大多数は、先の衆院選の結果にも現れているように、名護市辺野古への新基地建設反対という意思を明らかにしている。それらの動向を受けて、仲井真県知事も、辺野古推進が現実的としていたことから軌道修正し「県外を求める」という立場をとっている。

日本政府沖縄のあいだには、大きな障碍がある。これらを取り除くことができるのは誰なのか。沖縄県知事はいかなる役割を担うことができるのか。

沖縄振興問題

1972年に沖縄の施政権が日本に返還されて以来、3次に渡る振興開発計画でインフラストラクチャの整備などがなされてきた。

沖縄戦終了後、米軍占領のまま「忘れられた島」になっていた沖縄の復興のために、それらの振興開発計画がなした役割は大きく、成果もまた(功罪の罪あろうとも)大きい。

2002年以降は、沖縄振興特別措置法に基づく沖縄振興計画(開発の文字は消えた)が10年の期限で続けられてきたが、それらは2011年度末に切れる。

つまり、今般の県知事選挙で当選した知事は、即座にこの「ポスト沖振計」という未来に向き合わなければならない。

■沖縄21世紀ビジョン

沖縄県はポスト沖振計を前提に基本構想「沖縄21世紀ビジョン」をまとめている。行政の総合計画は概ね総花的で画餅としか思えないものが多いが、「沖縄21世紀ビジョン」はポスト沖振計という「制度」をどうしていくかという重要な問題を抱えており、県民的議論を起こしていかなければならない。([E:one])

基本構想ができているのだから、誰が県知事になってもその構想実現のため行政の仕事を粛々と進めていけば同じというわけにはいかない。

沖縄振興「開発」体制は、数十年の積み重ねを経ている。インフラストラクチャの整備の積み残しもあるだろうが、その体制の根幹に「沖縄の基地維持」という政策的問題が横たわっていなかったか、その歪が、沖縄の現在の「ザル経済」や貧富格差増大や低賃金でなおかつ生活物価なども割高であるという状況をつくりだしていないのか。市民目線、庶民目線で点検していかなければならない諸問題も山積して放置されている状況である。県民的議論が求められる所以である。([E:two])

■県知事に求められるリーダーシップ

沖縄県知事は、日米両政府と過重な基地負担・被害の是正を求める立場からの交渉と同時に、沖縄の経済社会全般にわたる制度について交渉し枠組みをつくらなければならない。

過去12年間の沖縄県政は、政府と交渉しながら「現実的」にそれを成そうと努力してきた。しかしそれらが功を奏した現在とはいえない。原理原則であるべき根本のところに、なし崩しとしかいえない妥協をはらんでいては、「交渉」は成立しない。稲嶺恵一元県知事には甚だ失礼だが、新設される米海兵隊基地を「県民の財産」(98年)と呼んだときに、今日の状況は予見されていた。([E:three])

この10年余のあいだ、沖縄だけでなく全国の自治体は「三位一体改革」や様々な国の地方行政に関わる施策に翻弄され、散々な思いを味わっているし、それは現在進行形である。民主党政権のいう「地方主権」が、地方自治の根幹を腐食しシビルミニマムを破壊する新自由主義的改革の延長ではないと信じるのはあまりにもナイーブである。

このような状況の中で、新しい沖縄県知事には、沖縄への米軍の新基地建設という差別的な日米合意の国策に毅然と向き合いながら、県民を守り未来をつくりだしていくリーダーシップが求められる。([E:four])

■選挙のゆくえ

基地建設反対で盛り上がる反面、県民の「政治」への不信は増大しているのは否めない。不信に歯止めをするなどというおこがましい気持ちからではなく、不信の先へ突き抜けて、この先のステージをみずからつくりだす気持ちで、選挙戦が戦われることが重要である。

民主党沖縄県連は、この期に及んでまだ独自候補などを模索しているようだが、せんなきことであり、伊波氏支持を明確にして沖縄対中央政府のステージで戦う陣形をつくりだすべきだろう。そうすることでしか、政府民主党が日米合意に固執している状況下で民主党沖縄県連が稀代の票泥棒の汚名を晴らすことはできない。

鳩山政権下での右往左往、そして舞い戻った新基地建設という現状は、民主党に投票した沖縄県民の主権者としての一票を剽窃/詐取した泥棒行為である。

民主党沖縄県連には、個人的にも知っている県議も代議士もいる。彼ら彼女らの信条を疑うものではないが、結果としてそうでしかないということである。政治は結果責任を大きく問われるのは自明である。

今般の県知事選挙は、保革の戦いなどではない。沖縄対日米両政府の戦いである。そういう選挙戦になったときに、新しい沖縄の未来は拓かれるだろう。

[E:end]


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[E:one] 「沖縄ビジョン」については、県民的議論が尽くされているとは言い難い。県庁担当者たちの努力を否定するつもりはないが、県民からの多様な意見集約はされておらず、今後の展開に工夫が求められる。一読した私的な感想としては、大前提になるべき「自治」の思想が弱く、それゆえに基本構想が総花にしかなっていない。ビジョンそのものの存在理由を根幹から問い直す迫力がほしい。それほどまでには沖縄をとりまく内外の状況は厳しいはずだ。

[E:two] 沖縄で日常を生きていると、沖縄振興特別措置の恩恵などわからず、一部の企業や業界の方々が制度上優遇措置等を受けているんだろうぐらいにしか思えないが、それらは多岐にわたり連関し沖縄の社会をつくりだしており、人々の日々の暮らしに深く関わっている。関係機関や専門家、メディア等は、そこいらへんの問題を、もう少しわかりやすく丁寧にインフォメーションすべき。

[E:three] 稲嶺氏後継である仲井真氏の現在の普天間移設についての主張は「県外を求める」だけであり、そのような主張は、県内移設方針の政府と交渉テーブルに着く前に消尽する。伊波氏は「県内反対」 を明確にしており、日米両政府は県内方針を変更するか、沖縄の同意なき強行かの二者択一を迫られる。伊波氏当選だけが、この問題を先に進めるだろう。

[E:four] 私は伊波氏の行政手腕と基地問題に関する調査能力と判断力、行動力を高く評価するが、地方自治体のありかたをどう作り出していくかという観点からは、「小さな政府」を目指す政府の新自由主義的動向に対して、人々の暮らしを守るためにどのように対峙していくのかという政策理念が重要である。それらの見解や政策的主張を確認したい。

【追記】10.19/10:30

昨日、民主党県連に関する報道があった。山内末子民主党県連副幹事長が17日の県連拡大役員会で伊波氏支持を表明し離反したという。

混迷する民主県連 危機募るも分裂含み琉球新報10.18)

私は報道に接してすぐ、ツイッターで山内県議支持をツイートした。

→山内末子県議の判断・行為を支持する。それにしても「男」共のていたらくよ。「旧来の保革」という旧来の枠組みに魅入られ外部が見えず溶けていくナメクジみたい。 (nagonagu on Twitter

山内県議に続く他の民主党県議や国会議員の動きはまだみられないが、なんらかの動きがあるだろうし、なければ民主党県連は沈むだけだろう。もうすでに沈んでいるのが浮上できないだろうと言い換えてもいい。

ヤンバルの地に民主党の旗を立てるべく、なんの基盤もない中で動き出していた頃の山内さんのバイタリティを私は快く思っていた。あの頃の山内さんの基地問題に関するまっすぐな物言いを私は信じたし今でも信じている。

民主党県連は、民主党中央と政府との狭間でスジを通せば自らの存在理由・根拠そのものが溶解すると恐れているようだが、政府や中央からパージされても、沖縄の民意に根ざしていけば存在理由・根拠が溶解するはずがない。逆に、現在は塩をかけられたナメクジのような状態であることを認識し、動き出さなければ浮上できないことを思い知るべきだ。政府・民主党は「沖縄」のことだから、政策転換や公約違反をいわれても厚顔さで押し通していくつもりだ、「沖縄」から選出された民主党県連・国会議員がその政府・民主党と同じように歩んでいけるわけがない。山内県議のいう「タイミング」(QABインタビュー)とはそのことだ。ぐずぐずしているこの先に民主の道はない。

民主党県連の動向に、県民はあきれている。無理が通れば道理が引っ込むというが、引っ込められない道理があることを民主党県連は政府・民主党に決断と行動をもって示すべきだ。

[E:end]