宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

名護市長選挙についてのメモ(4)

名護在住の知人が言うには、市長選に第四の立候補者の噂があるらしい。その方は県議になりたがったりいろいろしてきた方なので、毎度のことだから実際には動かないだろうと言っておいた。保革左右を問わず、権威主義権力志向の俗物はいる。

三つ巴になって、これでは反対派は負けるという声も聞こえてくるので、勝ち負けを忖度する前に今年に入ってからのここに至る経緯だけでもおさらいしておく。といっても、新聞報道等でみえる程度のことしか私にもソースはないので、沖縄で少し注意深く状況をみていたら誰でもがわかることである。

来年の年明け早々に名護市長選挙があるのは誰もが知っていた。現職に対する対立候補がどうなるのか、私はずっと気にしていたが、一年前になってもなんら動きはみえなかった。

[E:pencil]

今年の三月に前教育長の稲嶺進氏の出馬動向が報道された。

[E:soon]来年2月の名護市長選に現職の対抗候補(なごなぐ雑記・3月10日)
稲嶺氏は、基地建設問題に関して、その時点で態度を明確にしていないが、「市民の目の高さでまちづくりに取り組みたい」ということばは、彼の偽らざる心境であり決意だろうと思ったし、現在でも私はそう思っている。それほどまでに、現在の名護市は基地建設問題をのぞいても、ワンマン行政で様々な細部に支障が出ている。

今年の五月に沖縄の新聞社によって行なわれた世論調査では、傾向に変化が表れていた。

[E:soon]県内移設反対の民意変わらず。(なごなぐ雑記・5月22日)
比較的保守的傾向の強い北部地域だが、新基地建設への「反対」は名護市を含む本島北部で76%と、地域別で最も高くなるという結果が出ている。

そのころ、名護市長選挙に関する取材を受けて、私は所感メモを作成した。

[E:soon]名護市長選挙について(メモ)(なごなぐ雑記・6月22日)
総選挙を前にして現職と稲嶺氏の支持系統は錯綜しているが、保守分裂選挙の様相であることは否めない。おそらく稲嶺氏は、現職のやったV字案合意は批判するが、故岸本市長の条件付受入を後継する立場であり、新基地建設を明確に反対し得ない。というのが私の読みであった。

8月上旬には、総選挙絡みで、名護市の政治動向を推し量れるニュースがあった。

[E:soon]総選挙と来年早々の名護(新基地)・沖縄(泡瀬干潟)の市長選(なごなぐ雑記・8月6日)
キャンプシュワブと地域の汚水処理を合体して行なう下水道整備計画がもちあがっている。当初は唐突と批判した市議会も、調査費等を認める。自民から分裂した候補と民主党公認を支持する市会議員が稲嶺氏の支持勢力であるらしい。基地に反対してきた「革新」は寝たフリをするのか、この時点でもなんら動きはみえない。

総選挙の結果で、沖縄からは自公の国会議員が消滅した。新基地建設は終焉への道を踏み出した。しかし、ことは単純・簡単ではない。

[E:soon]沖縄から自公退場の総選挙結果を受けて思う(なごなぐ雑記・9月3日)
「しかし、これでジ・エンドになるほど問題は単純ではない。来年の名護市長選挙・沖縄県知事選挙で、新基地建設を明確に拒否する首長を誕生させる必要がある。
」と私は書いたが、鳩山政権はブレにブレており、どこに転ぶかもわからない状況の現在を考えれば、私が手放しで喜べなかったのは基地建設を断念させたい立場の人間としてはまっとうな感覚だろう。

私は、名護市長選挙についてどう考えるべきか整理するため、二つのメモを書いた。

[E:soon]名護市長選挙についてのメモ(1)(なごなぐ雑記・9月16日)
まずは国政の動向をざっと眺め

[E:soon]名護市長選挙についてのメモ(2)(なごなぐ雑記・9月18日)
名護市の政治状況を眺め、新基地建設をめぐっては市長選の構図がみえない。

10月になってとうとう、市長選挙の候補者選定における革新系の方々の動きが報じられる。

[E:soon]名護市長選挙についてのメモ(3)(なごなぐ雑記・10月22日)
革新統一候補」の擁立断念である。

…なんという、テイタラク。関係者の努力には敬意を表するが、しかし、なんというテイタラク…、嗚呼

[E:rain]

いつごろからそうなったのか、報道を追いかけているだけではなかなかわかりづらいが、稲嶺氏は、「県外移設」を主張する候補者になっていた。
私の観察で見落としがなければ、その件で最初に出た報道は下記二つである。

[E:clip]
稲嶺氏「県外」主張へ 名護市長選/革新系支持拡大見通し沖縄タイムス10月16日)

普天間の県外移設を主張 名護市長選出馬表明の稲嶺進氏琉球新報10月16日)

報道によると、稲嶺氏はこれまで

「V字案の見直しを求め、新政府の動向も踏まえ、市民の声に耳を傾ける」[E:one]

としていた。それが

辺野古合意案を見直し、県外移設を求めていく」[E:two]

という方針になったとのことである。

上の琉球新報の記事中の稲嶺氏の発言に注意してもらいたいが、稲嶺氏は

「V字案への合意形成の過程に問題があると従来から主張しており、見直しを求めていた。V字案を見直すことは結果として、県外移設を求めることにつながる」[E:three]

と自身の県外移設の主張は論理的な帰結であるかのごとく発言している。

[E:one]が[E:two]になっていく過程でなにがあったのか。民主党連立政権が樹立したことは大きな要因だろう。しかし[E:three]で開陳している如く、従来からの主張の枠は出ないという認識である。「県外移設を求めていく」([E:two])は、その時点での「新政府の動向も踏まえ」([E:one])た結果であり、なんら主体的な主張ではない。

民主党連立政権の「県外移設」はブレにブレている。嘉手納統合まで出てきて、ほんとうに政権担当者たちはなにも知らなかったんだなと、驚愕してしまうほどのブレかたである。このままでは、早晩、やはり名護市・キャンプシュワブしかないという話に帰結してもおかしくない。

稲嶺氏の発言の推移をみる限り、そのときに基地建設は認めず県外移設を主張できるとは到底思えない。論理的には、県外移設を断念した「政府の動向も踏まえ」 ([E:one])つつ県外移設を求め」([E:two])たが、辺野古合意案を見直し」([E:two])て、リーフと浅瀬を埋め立てる「浅瀬案」で合意してもおかしくない。

ジュゴンのいる海、地元住民が大切にしてきた平島やリーフを守るなどと、稲嶺氏から一言も出ていない。ましてや1997年の市民投票に関しての評価は…

私は保守だ革新だの話をしているわけではない。

長くなったので、ここで、このメモをつくりはじめた最初に戻って、中途半端だが中断する。

「三つ巴になって、これでは反対派は負ける」というが、現職と稲嶺氏の保守分裂選挙では、反対派は市長選に参戦すらしていない。

社民・社大・民主という各政党の動向はみえないが、イチ地方公共団体首長選挙に保守だ革新だ、我が党が、などと叫ぶ必要はないだろう。問題は住民投票の結果を誰がどこが尊重してそれに従うのかだ。1997年が大昔で民意は変わっているというのであれば、もういちど住民投票を行なえばいい。住民投票の結果を軽くみるようなヤカラを私は支持しない。