宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

総選挙と来年早々の名護(新基地)・沖縄(泡瀬干潟)の市長選

二つのニュースについて、メモを残しておく。(私のメモは、「続きを読む」以降にあります)

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久辺3区の下水道整備 名護市方針/シュワブ汚水も処理/普天間代替と一体化
沖縄タイムス2009.0802

【名護】名護市が米軍普天間飛行場の移設先キャンプ・シュワブ辺野古、豊原、久志3区の汚水などをまとめて処理する下水道整備計画の策定方針を固めたこ とが1日、分かった。シュワブ内の汚水処理施設は廃止され、豊原区の区有地に新施設を建設する。処理能力は移設後のシュワブの兵士や家族約6000人を含 む9000人規模となる見通し。8月に開催予定の市議会臨時会に再編交付金で調査費を計上、本年度中の策定を目指す。「生活環境が向上する」と地元3区は 歓迎する一方、代替施設建設と一体化した計画は基地の固定化・強化につながる危険性をはらんでいる。(知念清張)

[E:clip]
衆院選と連動 基盤固め/来年の県内選挙 擁立めぐり思惑交錯
沖縄タイムス2009.0803

「政権選択」をかけた30日投開票の衆院選挙は、来年1月に予定される名護市長選や来年夏の参院選、同11月の知事選など、主要選挙がめじろ押しの県内 の政治情勢に大きな影響を与える。首長や各候補予定者は、衆院選の候補予定者とセット戦術で運動を展開するなど基盤固めに奔走する。来年までに選挙を迎え る主な首長の動きや今後の展望をまとめた。

[E:one]新基地と地域の一体的汚水処理の下水道整備計画の記事を読んで

総選挙において、民主党マニフェストにこそ書き記していないが、普天間代替については「県外移設」を主張し続けている。沖縄県民の世論調査においても、この十年余のあいだに一貫して辺野古移設反対が多数を占めている。名護市民の調査結果についても同様である。

そういうなかで、名護市は基地建設を前提として、軍事基地と一体化した下水道処理施設を計画している。

基地建設計画の実現性そのものも大きく揺らぐなかで、名護市はそのような事態はないかのごとく、粛々と自らの欲望に基づく計画の絵を描いている。

首長は「下水道整備は地元の強い要望。市財政の負担が少ない形で実施したい。」というが、「地元要望」&「財政負担の最小化」ということさえ唱えれば、正当性が得られるという思考劣化の戯言である。

広い名護市域における各地域ごとに公共下水道整備をすることは、費用対効果を考えればなんら合理的ではなく、将来の負担増大を考えれば、明らかに誤った公共政策である。集落ごとの合併浄化槽や様々なきめの細かい施策を検討し講じた方がいい。「地元要望」は生活環境を良くしたいということに趣旨がある。公共下水道整備による一律負担増大より、集落単位でよく協議し理解を深めつつ、将来世代の負担をも考慮し、生活環境改善につながる施策をつくりだしていくことのほうが重要である。

名護市では、「地元要望」という言葉が、ダメな公共政策を実施することの言い訳にされている。このような公共政策のありかたの愚劣さは、地元民も自ら要望し選択した政策の如くされてしまうことにある。「財政負担の最小化」にしろ、汚水処理の仕方ひとつとっても、沖大の教授であった故宇井純氏が提唱していた安価な経費でなおかつ農業等にも資する方策を、行政側は一顧だにせず、やたら経費のかかる汚水処理システムを全国一律で採用するだけである。これには国の補助金システムの悪しきありかたもあり、地方公共団体だけを責めるのは酷だが、いずれにしても「自治」の観点からは、いくらでも改善の余地はある。現在の名護市のような自治体では、持続可能な地域創造と将来の住民のためにそのような創意工夫を行なおうという発想は期待できない。

新基地と地域の汚水処理を一体的に行なおうなどという考えは、1973年策定の第一次名護市総合計画・基本構想からは考えられないどころか、あの基本構想に具体的に言葉として刻まれた精神とは真逆のところにある。

「基地が存在することによる現実的諸条件(問題)は、決して将来の計画条件とはなり得ない。反対に、その条件をはっきりと否定し、未来に向かって新しい条件を設定すること(価値の展開といってもよい)が、まず第一に求められる手続きであろう」(第一次名護市総合計画・基本構想「1 計画の前提」より)

1997年の市民投票以来、基地建設問題に翻弄され続けながら、市民投票で示された「住民自治」を置き去りに、基地建設を政府と共に進める「団体自治」を行なってきたことの歪は、病の如く名護市という地域のありかたの根幹を腐食している。

政権交代がなされ、日米両政府の協議結果で県内移設が費えたとき、名護市にはなにが残るのだろうか。人々は地域をどのようにつくりだしていけるのか。あまりにも痛ましい。

[E:two]選挙に関する動向の記事を読んで

来年一月か二月の上旬に行なわれる名護市長選との兼ね合いで、総選挙の動向が書かれているが、現職の島袋吉和市長=自民前職の嘉数知賢氏という図式と、市長選に出馬表明をしている前市教育長の稲嶺進氏の陣営には、自民党から分裂した候補者を推す市議と民主党玉城デニー氏を支持する市議がいるらしい。

総選挙の結果で民主党玉城デニー氏が当選したら(その可能性は高いらしい)、稲嶺進氏は新基地建設問題にどのように向き合うのだろうか。報道で知る限りでは、稲嶺氏はこれまでの経緯を踏まえ条件付で賛成しているとしか思えず、現職との違いは確かではない。

名護市の市長選挙については、革新系が基地建設反対の立場を固持する候補者擁立を進めているという噂も聞くが、この段階で具体的な人物がみえてこないということは、あまりにも選挙期間が短すぎるのではないか。前回、我こそが唯一の革新候補だと立候補した市議や、その市議を押し立てて市長選挙を戦った方々はどのように動くのだろうか。

外側からみている限りは、現職と稲嶺氏の一騎打ちの保守分裂選挙で、革新側が寝ているという印象しかない。新基地建設問題があまりにも大きく圧し掛かり、有権者も同問題に対する戦いに食傷気味になっているところもあるのかもしれないが、ここを避けて「まちづくり」のビジョンなどありえるはずはない。

そういったことは、現市長のもとで最近策定された「第四次名護市総合計画」からもうかがえる。構想策定に当たって、市民参加をうたいながら、基地問題については一切触れられていない。まるで名護市には、新基地建設問題などないかの如くである。政治的な賛否や異論は多々あったとしても、それらを包含しつつ、市民が自由闊達に意見を交換し合い「まちづくり」のビジョンをつくりだしていくのが市民参加の「自治」ではないのか。

新基地建設問題は自治を腐食する病として、名護市を犯し続けて今日ある。

総選挙の結果は、名護市長選挙のみならず、同じ三区内である沖縄市長選挙の動向をも左右する。沖縄市には「泡瀬干潟」問題がある。地域内の利害が錯綜し、傍から見てるほど簡単には解せない状況になっているが、元々大型港湾のための浚渫工事の土砂捨て場から始まった泡瀬干潟埋め立て計画は、大型港湾化の是非も含めて見直されるべきであり、地域内の狭い利害関係で判断しては大いに選択を見誤る。
民主党さんが、どのように考えているか気になるところだが、私はつまらないからやめて、旧市街地の活性化や様々な方策をあらためて見直していくべきだろうと思う。

大型開発で経済活性化を望むような時代は、とうに終ったのではないか。沖縄は、次代に渡すべき財産を食い潰す愚行をやめるべきだろう。