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宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

チーズはどこに消える

仕事が少しだけ一段落した。
ほんとうなら一週間ほどで終えなければならない作業を、ずっと引き摺ってしまって、あまりもの能率の悪さに自己嫌悪さえしてくる。…でも根っからのオプティミストなので、これもリハビリと思って笑い話にする。

過日(なんと15日だ、一昨日ぐらいのつもりだったのに…なんか時間の感覚が狂っている)、高校時代の友人からメールが来た。

…本日の新報の朝刊記事に、再編交付金が下り、名護市に”9億5千万円”この金の行き先はどこになるのかとても知りたいのですが、私も地元に越して6年目になります。
しかし、地元は年々全体的に活気は????です。
忙しい所すみませんが、時間の空く時にでも、交付金とやらの行き先等を教えて下さい。

それに答えるために、少し時間と精神的な余裕ができたので、久しぶりに“なごなぐ”を更新する。

本日の沖縄タイムス朝刊に、市議会についてこんな記事が出ていた。(タイムスwebには掲載されていないので画像参照)

0528 北部振興事業の工事請負契約を否決したニュース。

それぞれ4億円の工事を同一のJV(共同企業体)が落札しており、いくらなんでもそれは市が定める選定基準に照らしてもおかしいと疑義が出て、「与党」議員の一部も反対に回り否決されたらしい。

二つの事業は、一件が「情報通信金特区」絡みの企業誘致のためのハコモノづくり。もう一件が名桜大学という名護市にある公設民営の私立大学の看護学科のためのハコモノづくり。

これは北部振興事業だが、再編交付金で入ってくるお金の消え所も似たようなものである。

名護市は極端な「土建市政」である。「振興策」などの名で入ってくる事業は、ハコモノづくりで土建事業者に仕事が回るように投入される。ハコモノといっても、通常の行政でそんなにハコモノばかり造る需要はない。そこで名護市は需要を造りだしている。

それらが上記二件の事業である。

  1. 情報通信金特区
  2. 名桜大学

[E:one]は、名護市に雇用の場を創りだす名目で始められている。振興策予算(税金)でビルを造り廉価で賃貸し、税制上の優遇措置(特区)、さらに安価な若年労働力があるということをインセンティブに企業誘致を図っている。ほとんどの入居企業の業務はコールセンターである。
名護市は、70年代前半までは農業等の第一次産業を基幹産業としていたが、復帰後、農産物の輸入自由化など国家政策のドラスティックな変化の中で、農業が衰退の一途を辿るなかで、替わりの産業を育てることができずにきた。80年代にはリゾート開発ブームに乗って、名護湾をリゾート開発するなど「絵」だけで数億円を使ったが、すべてがダメになった。
前市長の故・岸本建男氏が目をつけたのが、復帰後の企業誘致は島嶼の不利性でダメになったが情報通信インフラが整備されれば、不利性を極小化して誘致できる業種があるということで始めた新たな企業誘致政策。それが「情報通信金特区事業である。
当初は、国家的事業などと鳴り物入りで始めたが、国も県も後退し、名護市だけが懸命に事業を推進しようとしている。名護市にそれらの条件整備のための原資があるわけはなく、国からの補助事業を大きくそれらに投入することでインフラ整備を図っている。
…というわけで、金はインフラ整備のための土建事業に消える。

[E:two]は、80年代にリゾート開発の失敗でミソをつけた前の前の市長・比嘉鉄也氏が、実現させた唯一といっていい事業(その他には、市民投票後の基地受入表明&辞任という「偉業」がある)。この大学を創設するために名護市は相当大きな借金を背負った。しかし、その借金はほとんど返し終えており、大学創設による市内への様々な波及効果を考えるとプラスの方が大きい。しかし、問題は大学がまともに経営的に立ち行くかということである。現在は理事長に、創設当時の市長であった比嘉鉄也氏が鎮座ましましているが、現在の名桜大学は体力以上の拡大路線を走っているように思えてならない。比嘉鉄也氏は現在でも十分名護市への影響力を持っており、市が事業主体となって行なう「振興事業」は数十億数百億円と名桜大学の施設整備に注ぎ込まれてきている。(医師会病院のずさんな経営と相まって、振興策等に寄生する名桜の在りかたはクラッシュする可能性があり、社会的影響・混乱は大きく不安)
…というわけで、金はインフラ整備のための土建事業に消える。

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土建事業に消えても、それが産業連関して、経済的に波及する効果がみられたら、まだ市民としては納得できるところもある。しかし、大きな事業は本土のゼネコンに還流し、地元の業者は孫受け曾孫受けで劣悪な条件で参入する。これほどの予算が注入されているのに、名護市内で大手の土建業者が倒産するような事態が生じているのは、構造的にそうとうおかしい問題を抱えている。

その一端が、「談合」などに表れているが、公共工事が主たる産業のような地方の田舎では「談合」はユイマール的側面もあって、必要悪のところがある。これらが一部の権力者に握られており、そのボスたちは多くの市民の生殺与奪権を握っているといっても過言ではない。名護市の腐った部分は、思っている以上に根が深い。

以上が、私に見えていること。
ちなみに、「振興」事業に係る予算は、市民の福祉や行政サービスにまわることはなく、そういう意味では、名護市土建屋が潤うようになっているが、市民の暮らしやすさは日増しに悪くなっていっている。公共工事をこれほど行なっても、税収は下がる傾向で、これは、金融特区名桜大学などの施策が、現実の雇用対策等に功を奏しておらずミスマッチをおこしている証左といえる。中心市街地の陥没も、あれほど対策を講じると声高にして、空き店舗率が悪くなり続けている。
基地問題を離れても、市の政策全般を根源のところから見直していかなければ、現状は悪くなっても良くなることはないだろうと思う。

以上です。
長々と書いたが、まだまだ書き足らないぐらい。またメールをください。
名護市を離れて、金を得るための仕事を探し行いながら、日々に忙殺されていると、なかなかどうして政策的な問題点に集中して考える機会がないものだから、私にとっても、いい頭の体操になります。

ありがとう。変わらぬ友情を。
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私が議員時代に書いたレポートも参考になるかもしれない。お暇なときにどうぞ。

名護市の土建市政ぶりについては(グラフで見る行財政)_2005年
http://www5.ocn.ne.jp/~miyagi/report/0502zaisei.pdf

「振興策」等については(島田懇談会批判)_2000年
http://www5.ocn.ne.jp/~miyagi/report/canarysong.pdf

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【追記】5.29に少し修正加筆