宮城康博blog

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「思いやり」衆院通過、まともな審議はこれから参院で

View6080016昨日(三日)、思いやり予算衆院で自民公明の賛成多数で承認された。参院に送られることになるが、参院での審議の深まりに期待したい。

というわけで、深い関心を寄せる“なごなぐ”では、衆院でどんな質疑が行なわれたのかを知ろうと、衆院のホームページで委員会や本会議の映像がみれる「衆院TV」にアクセスしてみた。

まずは4月3日の衆院本会議。賛成討論も少しみたけど、面白くなかったのでスルー。反対討論には、笠井亮(日本共産党)さんと照屋寛徳(社会民主党・市民連合)さんが立っていた。なぜ民主党が反対討論しないのか、あんまりいい気分はしないが、党内事情があるのだろう。ウィングの広い寄り合い所帯はたいへんだ。賛成しなかったという意思決定だけを評価する。

二つの討論とも、ほぼ趣旨は同じ。かいつまんでノートしておく。
あとは、外務委員会での防衛省のトンデモぶりなどを紹介しつつ、思いやり予算道路特定財源のトンデモなつながりなどを遅ればせながら紹介する。


衆院本会議での反対討論

反対討論で両党とも第一の問題としていたのは、「思いやり予算」は日米地位協定24条にも反するということ。

日米地位協定24条は下記の通り。

第24条(経費の負担)
1 日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される。
2 日本国は、第二条及び第三条に定めるすべての施設及び区域並びに路線権(飛行場及び港における施設及び区域のように共同に使用される施設及び区域を含む。)をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供し、かつ、相当の場合には、施設及び区域並びに路線権の所有者及び提供者に補償を行なうことが合意される。
3 この協定に基づいて生ずる資金上の取引に適用すべき経理のため、日本国政府と合衆国政府との間に取極を行なうことが合意される。

要するに、日本政府に義務付けられている施設及び区域の提供は日本政府の負担で、それ以外は米国が負担するということになっている。

この条約規定の例外として1978年に「思いやり予算」(wikipedia)が始まり、1980年には特別協定が結ばれて今日まで来た。30年間で5兆円もの税金が注ぎ込まれた。

政府は、暫定的限定的特例的と、国会では答弁し続けてきたらしい。いくらなんでも、それが30年も右肩上がりで継続されるのはおかしい、国民生活の負担増大政策が続くなか「思いやる相手を間違っている」(共産党)、「憲法法体系が安保法体系で侵食されている」(社民党)という指摘がされる所以である。

日本側の年間6170億円の駐留経費負担の内、1438億円が特別協定(思いやり予算)分である。それらには、娯楽的な施設整備や従業員の給与等も含まれている。

米国領であるグアムでの施設整備も行なう在日米軍再編経費が三兆円と予想されるなかで、その経費詳細も明らかではなく、政府は説明責任を果たしていない。

■国会における政府・防衛省のお粗末さは、市町村議会と同等かそれ以下

衆院における反対討論は、イデオロギー論争ではなく、地位協定という条約をも反故にするなし崩しに対する正当な指摘であり、それに答えきれずに数の論理(小泉・郵政選挙の遺産)だけで押し切る与党という図式である。

だいたい、3月末で期限切れになるのがわかっているのに、3月18日に外務委員会に付託して2回の審議日程だけで採決するのは、衆院のマジョリティである自民党公明党には国会としての責務を果たす気がない。

どんな議論をしているのか、3月26日の外務委員会のビデオ映像をみてみた。6時間26分という長丁場だから、はしょりながらみたのだが、民主党武正公一という議員の方が58分も使って質問している。何事だろうと思って注目してみた。

なんのことはない。

防衛省が、質問に答えきれず、速記が止められ、委員長(自民党)にまで防衛省が叱られている始末である。

米軍が「思いやり予算」に該当する予算執行を立替えていた事例があるようで、5年前以前にも米軍が立替ていた事例はあるのかという質問に対して、文書保存期間が5年だからそれ以前はわかりませんというのが防衛省の答えである。その件については、理事懇談会でも話し合われたらしく、それはおかしいと外務省も言いだし、防衛省は調べることになっていたらしい。そして質問されたら、やはり答えきれない。…やっぱり、防衛省は庁に降格すべきだろうな、とビデオをみながら呆れた。

しかし、そのような事柄について文書保存期間云々で役所から記録がなくなるということは、大問題だろう。電子的な記録にして残したりしていないのだろうか。少しいぶかしい。

続いて、民主党近藤昭一さんが質問していたが、キャンプ・コートニーの教会についての質問があった。宗教施設を思いやり予算でつくることに対する疑義だったが、シュワブにある教会を思い出したので、次に少し記す。

衆院・外務委員会で思いやり予算についての審議が深まったとは到底思えない。参院で審議が深まることに期待したい。民主党さんは、真摯にこの問題に向き合い政府をただしていただきたい。細部には、驚くほどルーズでデタラメな予算執行があるはずだ。

■思いやり過ぎて、おかしくなっている

Courtney01 左の画像は、キャンプ・コートニーの教会。ずいぶん立派な教会だ。外務委員会では教会の宗派なども質問されていたが、だれも答弁できなかった。

Schwab01 キャンプ・シュワブにも、教会がある(右側の画像)。この教会は時間の割り当てで宗派別にシェアしている。キリスト教のみならず、イスラム教もシェアされていたはずだ。

コートニーの教会がどうなのかは知らないが、おそらく同じようにシェアされていると思う。

在日米国海兵隊のホームページ(http://www.kanji.okinawa.usmc.mil/)では、基地別の紹介のページがある。上記の画像は、そこから持ってきたのだが、シュワブの紹介ページで面白いものを発見した。

CotttagesSchwab15 なごなぐ雑記でも以前紹介した、シュワブ内の「高級コテージ」が紹介されていた。そして、いくらなんでもやりすぎだろうと思っていたスケートボードなどで遊ぶための「スケートパーク」も。

これらは「思いやり予算」で米軍基地内に造られる施設だが、基地外居住に対しての高熱水費や家賃等に対する補助の実態がどのようになっているかは不透明な部分が多い。

さらに、なごなぐ雑記へのゴンベイさんのコメントからたどってわかる、佐世保の米軍住宅は思いやり予算ではなく「道路特定財源」28億円を使って、一棟3億5千万円というバカ高いものになっている。

なにかが狂っている。

参院で否決しても、衆院が優先され「思いやり予算」は4月3日から30日を経ると効力を持つことになる。だからといって、もう終わったわけではない。これから参院でどのように問題が明らかになるのかを注視したい。

政府はどんづまりに来ている感じがする。この閉塞感から脱するには、解散総選挙しかない。このままの状態で政権が続くことで失い破壊するものは大きい。

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