宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

OMOIYARI YOSAN

本日(もう昨日)は、気になっている調べ物をしに宜野湾市民図書館へ行った。引っ越してきてはじめてだったが、それなりに書架も充実しているし良い図書館だった。郷土資料は名護市の中央図書館ほどではなかったが、目当ての調べ物は済ますことができた。

2 自宅から嘉数高台経由で歩いて行ったが、そんなに近い距離ではないのと高台への坂道がちょっときつく、運動不足を痛感。嘉数高台で休憩していると、KC-130が二機タッチアンドゴーを繰り返し頭上を過ぎる。思わず携帯電話で撮影(左画像)。

こんな市街地で、こんな訓練を繰り返しているのは、尋常ではない。そのことを解消するのに、同じ沖縄に貴重な自然を破壊して基地を造らなければならないのは、やはり尋常ではない。

尋常ではないことが、沖縄だからまかり通せると思っているんだろうが、辺野古沿岸域の自然度の高さを破壊するコストは高すぎるし、この十年で計画が進行しなかったことの本質をもう一度見つめなおして、日米両政府は違う政策を選択すべきだ。沖縄で、このような計画への信頼と支持を調達することは無理だ。どんなに首長や、自治体議員たちの消極的な支持を調達することはできたとしても。

■新基地建設は必ずや計画倒れになる

米軍にとっては血で勝ち取った島であり、極東アジアにおける譲れない既得権かもしれない。しかし、せまいところに卵を詰め込み過ぎていることの問題は彼らにもわかっている。であるから、SACOを計画し、在日米軍再編を進めたんだろう。SACOにおける普天間基地名護市移設が、なぜ机上の計画で頓挫したのか。米軍再編なら、なぜ拡大した計画にしても実現できると目論んだのか。現在進行中の計画のあり方は、実現できる根拠があまりにも薄弱である。

再編交付金という剥き出しのアメにしたから、実現できるというのか。なぜ名護市長沖縄県知事は、沖合移設などという誰が考えてもナンセンスな主張をし続けなければならないのかを考えれば、再編交付金という制度があれば実現の確度が高いというのは怪しい。

すべてをパッケージと見せかけることで、沖縄側が自発的積極的に支持し協力すると考えているのか。それは恫喝以外のなにものでなく、沖縄側の首長たちはそれに屈従し支持を表明したとたんに少しは残っている民衆からの支持を喪失するだろう。であるから、県知事はパッケージ論ではなく個別に進めることを意見として口に出してみるのである。

まっ、いずれにしても、日米両政府が政策を改めなければならない機会は必ず訪れる。

名護市東海岸で始まった環境アセスの調査に反対する方々の行動は、行政の環境アセス「方法書」確定の進め方がデタラメであった一点で、民衆の支持と共感を得るにたる条件がある。沖縄防衛局は末端の機関だから、決められたスケジュール通りに進めるしかないのだろうが、もうすでに破綻に向かって走っているようなものだ。

こんな問題で沖縄県民を、名護市民を翻弄するのは、いいかげん、はやく終わりにして欲しい。

思いやり予算

国会では、思いやり予算wikipedia)についての審議が始まった。参院で野党が多数という状況があるので、スジを通して問題を精査していければ、日米安保の歪な形をただす動きの端緒が切り開けれるかもしれない。私は少し期待している。 

新聞報道を整理してみる。赤字は私の感想。

思いやり予算審議入り 衆院本会議 参院対応で『空白』も
(東京新聞2008年3月19日)

  • 日本側負担にボウリング場やバーなど娯楽施設従業員の人件費が盛り込まれている
  • 「雇用対策があるにせよ、納税者の理解はとても得られない」(民主党議員)
  • 民主党は、新協定承認は地位協定見直しを前提にすべきだとの意見もある。
  • 日米安保体制にかかわる話だから、早く結論を出していただきたい」(外務省幹部)

地位協定の規定で米軍負担となっているものを、特別協定で日本側が拠出している「思いやり予算」として、娯楽施設従業員等の人件費は妥当なのかということに一切答えることなく、「安保体制にかかわる話だから」云々を通用させてはいけない。逆に安保体制という二国間の条約にかかわる話だから、原理原則を明確にする必要があるだろう。

米軍住宅1万1295戸整備/思いやり予算5459億円
沖縄タイムス2008年3月19日)

  • 1979年度から2007年度にかけて整備した米軍基地内の家族住宅
  • 現在建設中のものも含め、全国で11,295戸に上り、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)約5,459億円が投じられた
  • 米軍機による爆音訴訟で、嘉手納、厚木、横田などすでに確定した8件の訴訟の賠償金の合計が122億円。米国が分担金支払いに応じていない。
  • 賠償金は日本政府が肩代わりして原告住民らに支払っている。
  • 「政府としては米国に賠償金の分担を要請しているが、両国政府の立場が異なっていることから妥結をみていない。このため、米国が負担する金額について現時点で答えるのは困難」(高村外相

米国は格安の東京の大使館用地の土地代も不払いでずっといた(現在でもまだそうなのかは知らない)。賠償金についても日本政府に肩代わりさせ続けている。どこまでも、ふがいない日本国政府。

思いやり予算:審議入り 民主動向で空白期間も
毎日新聞2008年3月19日)

  • 基地内の娯楽施設など「諸機関」について「独立採算制であり、収益に基づいて経営すべきだ」と指摘―(近藤昭一民主党
  • 「米軍人などの福祉士気、能率の維持に寄与する」と正当性を強調―(高村外相
  • 「米側に審議日程の遅れについて伝えてはいるが、期限切れの場合の対処方針は未定」(外務省)
  • 特別協定は条約として衆院の優越規定が適用されるため、衆院が承認すれば30日後に自然成立する。
  • 特別協定は期間が3年間。基地で使う光熱水費(253億円)を08年度は現状維持とし、09、10年度で計8億円削減。基地従業員労務費は据え置く。

米軍住宅建設費、1戸4800万円 30年5459億円
朝日新聞2008年3月19日)

  • 米軍の家族住宅1万1295戸(建設中も含む)を5459億円は、基地内のため土地代は含まれていないが、単純計算すると建設費だけで1戸当たり平均約4800万円。
  • 建設費が特に割高なのは神奈川県逗子市の「池子住宅地区及び海軍補助施設」。
  • 79年~07年に854戸を666億円(予算額)で建設。1戸当たり約7800万円になる。
  • 家族住宅の標準間取りは床面積約137~157平方メートルだという。
  • 日米地位協定の範囲内で米側の希望を聴取するとともに、日米安全保障条約の目的達成との関係、財政負担との関係などを総合的に勘案のうえ、わが国の自主的判断により適切に措置しており、支出は妥当」(高村外相

建設費だけで4800万円というのは「豪華住宅」というんじゃない?
私は住宅購入など検討したこともない身分なのでわからないが、地代込みでそんなものじゃないの。外相の「米側の希望を聴取」という言葉が、なんかすごく情けなく感じてしまう。

本日の新聞報道ではないが、思いやり予算の人件費にかかる報道が、毎日新聞しんぶん赤旗でされていた。

思いやり予算:米軍基地従業員の2割強、娯楽施設など従事
毎日新聞2008年3月14日)

  • 米軍基地従業員約2万5000人のうち2割強が、バーやゴルフ場といった基地内の娯楽施設や飲食サービスなどを提供する職種に従事している
  • 防衛省が13日の民主党外務防衛部門会議に提出した資料によると
  • 06年12月末現在で基地従業員は2万4537人。
  • うち米軍による直接雇用ではなく、米軍が基地内への設置を認めた売店や娯楽施設、福利厚生施設などの「諸機関」に勤める従業員は5568人。
  • 人数が多いのは飲食店で食事の提供や会計処理をするカウンター・アテンダント715人、コック456人など。
  • バーテンダーなどバー関係93人
  • ゴルフコース整備員などゴルフ場関係52人
  • ボウリング場関係29人
  • 娯楽関係の雇用について、民主党の会議では「道路特定財源(の無駄遣い)よりひどい」と反発が噴出。
  • 「(娯楽関係の)人件費は米国がまかなうべきだ」(民主党鉢呂吉雄「次の内閣」外務担当)
  • 民主党は「このままでは賛成できない」(政調幹部)として、経費負担の詳細を精査した上で賛否を判断する構え。
  • 思いやり予算は78年度から、日米地位協定で義務付けられる土地の借地料などと別に従業員労務費の一部などを負担したのが始まり。
  • 87年度から特別協定を結び、その後、光熱水費や訓練移転費も負担するようになった。
  • 08年度予算案には2083億円が計上され、このうち従業員の人件費は1463億円。

基地従業員は日本人であり、その雇用の創出になっているのだから、という話をされる方もいるようだが、あまり意味をなす議論ではない。
米国側が、負担すればいいだけの話であって、「思いやり予算」がなければ、そのような施設はすべて廃止すると米国が主張するのなら、それはそれで構わない。米軍人だって息抜きは必要だろうから基地周辺の民間施設に遊興に出るだろう。民需拡大になる。

日米安保は片務的だから、用心棒代としては安いものだという意見もあるらしい。安保が片務的であるという論が正しいかどうかは、新ガイドライン以降の現実と、日米軍事再編という進行形の事態を考えると、思考が朝鮮戦争や冷戦時で止まっているんじゃないかと思う。片務的ではなく、自衛隊は明らかに米軍作戦の後方支援を担う軍隊として組み込まれ始めている。

日米安保の話を、アンタッチャブルな思考停止エリアにすることなく、まともに議論すべきときはこれまでにも何度もあっただろう。しかし賛否は別にして憲法改正まで視野に入っている現在は、その必要がリアルに迫っている最大のトキだろう。円とドルが、どんどん安くなっていっている現実を直視して、国益のありかたも考えて、舵を切るべきトキを間違わないように議論がされるべきだ。

Saisyutu 左のグラフは、防衛省ウェブサイトから持ってきた歳出ベースでの思いやり予算の推移。近年は少しずつ右肩下がりになっているが、30年前から10年前まで、ものすごい増大の仕方をしてきているのがわかる。

日本国を除く、世界中にある米軍基地受け入れ国が行っている経済的負担のすべてをあわせても、その数倍の負担を日本はしているらしい。

思いやり予算は、英語で“omoiyari yosan”の表記で通用するという。米国には、「こんな気前のいい同盟国はない」といわれている。

あまりにも米軍の権利が優先されすぎる地位協定の改訂を視野に入れて、思いやり予算のあり方を精査する議論が国会でなされることを切に願う。

民主党に多くは期待していないが、沖縄にとって固い壁であり圧し掛かる岩であり突き刺さる刃である日米安保について、少しでもまともな議論がなされる兆しがあるのだとしたら、参議院で自公を少数にできた国民の選択の結果であり成果だ。

私は、沖縄で生まれ、沖縄で生きる人間として、あきらめたりシニカルになったりする余裕がない。少しでも、いまよりましな明日をつかみだすために、いまを生きて考え活動するしかない。

私の個人的思いのバイアスをやたらかけさせてもらえば、思いやり予算など廃止し、それによって米軍に居心地悪くさせ自ら望んで出て行かせて、日本政府がそのような事態の中で、ほんとうにクールになって、近隣国を仮想敵にする政策を改め9条を持つ国家として外交努力を重ね東アジア平和ブロックなどを構築する成果をつかみだせたらと思う。

まっ、はじめから国家などに過度の理想を持っていないので、夢想でしかないとはわかっている。…不断の努力を、私たちは積み重ねていくしかない。

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