みやぎブログ

演劇・戯れ・政治

沖縄で現在進行形の矛盾

石破防衛大臣の辞任は時間の問題だろう。

改革をまっとうするのが責任といわれても、隠蔽に加担している疑いが濃厚な方に、そんな責任をまかせられるはずがない。

自民党国防族には、まともにまかせられる人物などいないのだろうが、ここはひとつ防衛省を解体して、災害救助省に改組しなおすぐらいのつもりでコペルニクス的転回をしてみるのもいい。国際的には米軍の傍若無人な戦争好きのおかげで災難に遭っている民衆も多いのだから、その方々をレスキューする組織として改組しなおすのは憲法9条を持つ国の国際貢献としてふさわしいよ。

などと、ドリーマーといわれるような独り言をつぶやいてみる…

日米のイージス(盾)が、日本国民を当て逃げし政府・防衛省が沈没している間にも、ここ沖縄で日米同盟の矛は深く刺し込まれていく。

あまりにもいろんなことが起りすぎて、ひとつひとつを検証していく余裕すらない。私たちは、めまいを覚えながらも、このひとつひとつを凝視し、どうにか抵抗を創造しなければならない。

沖縄での新基地建設に関する現在の状況と、暴行事件に単を発した諸々の動向等について、ノートしておく。

■新基地建設の現在

名護市東海岸にあるキャンプ・シュワブ(在日米海兵隊基地)沿岸域へ、港湾機能と戦闘機等の弾薬装填場完備の巨大航空基地建設は、地元地方公共団体である名護市の市長が合意しており、現在は環境影響評価の段階に達している。

名護市長は、航空機が陸域を飛ばないことを確信して合意したと表明していたが、防衛省の事務方も米軍当局も米国の役人も、すべてが口をそろえて陸域を飛ぶと明言している、それにも関わらず合意はそのままで建設へのステップが進む。名護市長の頭蓋には何が詰まっているのかわからない。

事業者である防衛省(沖縄防衛局)の出した、環境影響評価「方法書」は、計画内容もアバウトで、何がどう飛ぶのかも、どのような施設が造られるのかもわからない、“子どもの使い”よりタチの悪い「方法書」で、専門家や法令に則り出された「環境の保全の見地からの意見」のほとんどは「方法書」手続きのやりなおしを求めた。

それらを受けて、沖縄県知事は「やりなおし」をトーンダウンさせて「かきなおし」を防衛省に求めた。

そうやって防衛省から出てきたのが、膨大な資料の山だ。

「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書に対する追加・修正資料」の平成20年2月5日付沖縄県へ報告した内容について
(沖縄防衛局2008.0205)

New上記リンク先に飛ぶと、分割された当該PDFファイルのインデックスになっている(あまりにも重いデータなので要注意)。

新たな機能や様々な施設がある程度は明らかになっている。

しかし使用される航空機は、移転予定機を除く普天間飛行場の所属機を記載しているだけだし、どのように飛ぶのか等についても、米軍の運用に関わることなのでわからないと堂々と書いている。どう使われるかもわからない飛行場の、使われたときの環境影響評価をできるなどと本気で思っている人がいるとは私には思えない。

防衛省は、アセス手続きの「やりなおし」ではないこの追加方法書を二週間だけ閲覧に付した。アセス手続きにある「環境の保全の見地からの意見」を受け付けることはせず、沖縄県防衛省の役所間だけでやり過ごそうとしている。これは明らかに、環境影響評価法を無視する行為であり、法治主義を逸脱する行政の暴走である。

昨日28日、沖縄県の環境影響評価審査会が開催されて、この追加方法書への意見をまとめた。審査会の意見が県知事に答申されて後に、県知事が防衛省に意見を言う。

来月にもアセス認可 普天間移設で県(沖縄タイムス2008.0229)

米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書の追加修正資料について、県環境影響評価審査会(会長・津嘉山正光琉大名誉教授)は二十八日、騒音や低周波音を実際の航空機で調査し、近海に生息するジュゴンを複数年調査するよう求める意見をまとめた。県はこれを受け三月初旬に、追加修正資料に対する「県の意見」を沖縄防衛局に送付。防衛局は送付後、方法書を確定して再公表する。県は早ければ三月中にもアセス調査の認可に応じる見通しだ。…

「やり直し」解釈で紛糾/普天間アセス(沖縄タイムス2008.0229)

米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う、県環境影響評価審査会は二十八日、怒号が飛び交う中協議を終えた。追加修正資料で新たに判明した事業内容が、アセス法で規定する方法書のやり直しに相当するかどうかの解釈をめぐって傍聴した市民と、県の主張がかみ合わず紛糾した。昨年十月に方法書の審査が諮問されてから五カ月。県は来月にもアセス調査を認可する見通しで、手続きは新たな段階に入る。…

私は、この新基地建設に反対である。普天間飛行場は、米軍が沖縄戦直後に住民を収容所に閉じ込めている間に、日本本土を攻めるために沖縄人から土地を勝手に取り上げ造った基地である。国際法にも違反する米軍の行為を、看過し続け代替を日本国民の税金で造って差し上げるのは道理に反する。日本国政府には日本国民にはプライドなどミジンコほどもないのかと無性に情けない。

地位協定で米軍の排他独占的管理権が定められている米軍基地の新設に、運用権も何もない日本国政府が環境アセスを行なって供用後の騒音影響などをまともに評価ができるはずはない。このアセスは茶番でしかない。どうしても基地を造り米国様に差し上げたいなら、地位協定の改訂を視野に入れた見直しを進め、日本国政府が責任を持てる主体となって然る後に環境アセスを行なうべきだ。

せめてものこのような筋道の立て方を、反対派の論理だと一蹴するのは、闇雲に権力に追随する賛成派の論理でしかない。

今後、自公政権が沖縄にカネをばら撒き作り出した沖縄県政は、事業者である防衛省環境アセス手続きを進めさせていくだろう。しかし、こんな道理の欠片もない事業は早くやめるべきだと私は確信している。

■暴行事件以降

20080227000167002 米国のライス国務長官が27日に来日し、「遺憾の意」を述べたりなんかしていったらしい。
北朝鮮問題でも明らかにハシゴを外された格好の日本国政府は、米国の属国でしかないことを内外に曝け出している。

米国は沖縄で何をしているか。米軍人の犯罪の多発だけでなく、米軍基地の警備に雇われている日本人従業員に、海兵隊は銃の携帯を命じて基地外を移動させたりしている。

海兵隊はさらに口止めまでしているというから悪質極まりない。

「強奪不安あった」 憲兵隊対応に批判琉球新報2/27 10:25

在沖海兵隊憲兵の日本人警備隊員延べ59人が、憲兵隊司令官の指示で拳銃を携行したまま民間地の“移動”を強いられていた ことが26日、分かった。基地労働者や平和団体関係者らは憲兵隊の対応を「これが米軍の県民に対する綱紀か」などと批判した。警備隊関係者らは「命令に背 くと処分されてしまう」と弱い立場にありながらも、「上司が責任を取ってもらいたい」と憲兵隊上層部の責任を追及。隊員の一部は「拳銃を施設外で携行した ことを外部に漏らさないように」と司令官名で指示されたとし、米軍上層部の隠ぺい工作ともとれる行為を明らかにした。… 

県「廃止すべきだ」 防衛局、米軍に中止要請琉球新報2/27 16:01)

沖縄防衛局によると、2月8日に在沖米軍日米支援管理事務所から同防衛局に対し拳銃携行が可能か照会があった。同防衛局の労務対策官がその場で、中止するよう司令官に申し入れてほしいと要請。12日になって同事務所から沖縄防衛局に対し、「在沖米海兵隊外交政策部に防衛局から申し入れてほしい」と連絡があった。12日は米軍側の担当部長が不在のため、13日、文書で正式に中止を要請した。…

ライスだかスシだか知らないが、なにが「遺憾の意」だ。ソファーでふんぞり返り投げ出された長い足を蹴り上げてやりたい。米国は在日米軍、とりわけて在沖米海兵隊をコントロールできていない。一部の海兵隊員の犯罪と言うより、司令官のこのような傍若無人振りをみると、海兵隊そのものの体質に問題があるとしかいえない。

さらに、中止を要請したら「未実施」だというウソまで堂々と述べる。軍隊の隠蔽と社会をなめきる体質は日米変わらず普遍の法則なのか。

中止要求に「未実施」 日本人警備隊民間地銃携行琉球新報2/29 9:49)

在沖米海兵隊憲兵隊司令官の指示で11、12の両日、日本人警備隊員が実弾入り拳銃を携行したまま民間地を移動した問題で、事後の13日に沖縄防衛局労務管理官が指示撤回を求め在沖米海兵隊外交政策部(G5)を訪れた際、G5次長は「現時点では行われていない」と述べ、既に実施した事実を伝えず、虚偽ともとれる報告をしていたことが28日分かった。国内法に抵触する可能性を理由に同局は事前の8日に中止を求めたが、米軍側はそれを受け入れずに強行したことも明らかになっている。

そんなこんなの状況が、現在進行形で推移している。
ここは沖縄。オキナワだから、こんなこともあるんだろうな。そういうふうに思っているたくさんの日本国民がいる。岩国市では新市長が受入表明をしたらしい。先に受入ありきの条件闘争など交渉でもなんでもない。岩国と沖縄、在日米海兵隊に捧げられた地域だから特別だと思っているたくさんの日本国民がいる。

犯罪を犯したのは米海兵隊員だが、加害者は米海兵隊リクルートされた米海兵隊員だけではない。

沖縄では、すべての地方公共団体の議会が暴行事件に対して全会一致で抗議決議を可決した。沖縄の同調圧力全体主義化しているとしたり顔でおっしゃる方もいるだろう。言い古された言葉で辛いが、0.6%の狭隘な場所に75%近くもの米軍専用施設を押し込められている限り、基地被害に対しては小異を残しながら大同で向かっていくしかないことを沖縄は経験的に知っている。であるから、日米安保マンセーの自公政治屋でも抗議には同意する。それほどまでに、状況は酷いということぐらいは、マジョリティの日本国民にも知っていてほしい。

県内全議会が抗議決議/米兵暴行事件(沖縄タイムス2008.0229)

今月十日に起こった米兵による暴行事件を受け、南大東村議会(新垣湧司議長)が二十八日、抗議決議案を全会一致で可決、県議会と県内全四十一市町村議会の抗議決議が出そろった。すべて全会一致だった。意見書は今帰仁村を除く四十市町村で可決され、南風原町以外の三十九議会で全会一致だった。… 県子ども会育成連絡協議会や県婦人連合会などは三月二十三日に北谷町内で超党派の県民大会を開く予定。

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