みやぎブログ

演劇・戯れ・政治

岩国市長選挙について5(追記あり)

岩国市長選挙について、新聞記事等で状況を概括してみたい。

  1. 前哨戦の状況(1月30日の西日本新聞の記事から)
  2. 岩国の夕張化という自民党の恫喝のウソ(実際に岩国で使われているチラシ等から)

そんな事柄を報告します。

京都の実家に帰省している相方が久しぶりにあった友人に、「なごなぐ雑記は《続きを読む》前までで“いっぱいいっぱい”で…」(笑)というありがたい感想をいただいた。今日はできるだけ簡潔にテキパキと必要な情報だけ伝えるようにがんばってみますので、どうか、騙されたと思ってどちらさまも《続きを読む》以降もクリックして読んでくださいね。

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■前哨戦の状況

下記はYahooの当該ニュース記事にリンクしている。コメントをはさみつつ全文を転載します。

岩国出直し市長選 2月3日告示 前哨戦熱く 移転是非街を2分
1月30日10時8分配信 西日本新聞

山口県岩国市の米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転を最大の争点に2月3日告示される出直し岩国市長選で、移転反対、容認両派の陣営が激しい前哨戦を繰り広げている。移転反対を貫き昨年末に市長を辞職した前職の井原勝介氏(57)と、自民党衆院議員(山口2区)を辞して臨む容認派の新人福田良彦氏(37)の一騎打ちとなるのが確実で、28、29日には当落の鍵を握る女性の集会を相次いで開催し、火花を散らした。

「国と戦争しているわけではないが、一方的に補助金カットを押しつけられ、市民生活を思うと納得できない」

29日午後、同市民会館であった井原氏の女性後援会主催の集会には、過去三度の市長選で同氏を支えた熱烈な支援者ら約300人が参加。井原氏は、アメとムチを使い分ける国に反発しつつ、「当選したら総理に移転問題の判断を求めたい」と述べ、トップ交渉も辞さない構えを見せた。

自治体の選挙で安全保障問題を争点にするのはおかしいという意見もあるし、ある種の傾向の人たちには、酷く不遜な態度のようにも思えるらしい。しかし、地方公共団体と相談すると約束し反故にして日米協議で合意したことを押し付けることだけに汲々としているのが国であり、それに唯々諾々と従うのが「地方自治」ではない。
憲法に位置付けられた「地方自治の本旨」のもとで、日本国の統治のための行政権力は国家政府から法の範囲内で自律した地方政府があり、両者は上下ではない。岩国は国の僕として地方自治が溶解するかどうかの瀬戸際に立っている。

市長を辞職、先に名乗りを上げた井原氏は市内20カ所以上で集会を開催。各会場で目を引くのが女性の多さだ。

有権者数(昨年12月2日現在、12万3131人)は女性が53%と多い。前回市長選(2006年4月)では女性の投票率が66、41%で、男性の63、59%を上回った。「女性票の取り込みが勝敗を決する」。そんな見方が支配的だ。

基地被害を直接的に大きく被るのは、お年寄りや若年者、そして女性たちである。こういう類型化をするとジェンダー的に怒られるかもしれないが、男共は仕事と称して外を動き回っていることで感じないことも、家にいて生活のあれこれをしている人間にとっては大変なことである。米軍人が増えることでの犯罪の増加なども含めて、女性たちが敏感に反応し危機感を持つのは健全な反応だと思う。

福田陣営も負けていない。前日の28日夜、同じ市民会館で女性の「決起集会」を開き、主催者発表で約1200人を集めた。

大阪府知事選挙の橋本氏圧勝をもたらしたのは大阪のおばちゃんだという話もあるらしい。女性たちの動向をどのように掴むかは、両陣営とも躍起だろう。

福田氏は、与党政治家として国との対話による基地問題の解決を強調し、「身近な暮らしを守るのが大事だ。基地問題でもう対立はいらない。米軍機の騒音問題、訓練の時間短縮について、国としっかり交渉したい」などと述べた。

「身近な暮らしを守る」というのは、新聞からは読めないが、地域で生きて選挙活動を目の当たりすると間違いなく財政破綻などを煽る恫喝とセットになっているはずだ。「対立はいらない」とか技術論で交渉云々するのは、争いごとを忌避したい大方の人々にはある程度功を奏すのかもしれない。対立の種を持ち込んだのは、国でしかないのだが…

福田陣営は2月1日に、井原陣営も2日に同会館で「総決起集会」を開き、3日の告示へとなだれ込む。

岩国基地問題
1996年、普天間飛行場の空中給油機の岩国移転
が決定。岩国市は見返りとして市庁舎建て替え補助金49億円を国に「約束」させた。2005年10月、米軍再編で厚木基地の空母艦載機59機の移転も決定。06年の住民投票と市長選で反対派が勝つと、国は同年12月に07年度の庁舎補助金35億円を凍結。再編交付金の対象からも岩国市を外した。移転容認派が多数となった市議会は、合併特例債を充てた「穴埋め予算案」を4度否決した末、昨年12月、井原氏の辞職と引き換えの形で一部修正のうえ可決した。

=2008/01/30付 西日本新聞朝刊=

■岩国の夕張化という自民党の恫喝のウソ

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左の画像は、以前も紹介した自公陣営が岩国市内で大量配布しているビラです。

とにかく徹底して、岩国市の夕張化という不安を煽り立てる手法を使っているのがよくわかります。

確かに愛宕山造成地の問題や、市庁舎建設によって生じた借金の問題もあります。しかし、冷静に考えれば、そんなことで倒産することはありえません。

夕張の場合は、開発行政の破綻を隠蔽するため隠れ借金を無尽蔵に膨らましたことで生じた問題です。

岩国市が抱えている問題は、法令に則り、計画的に財政健全化政策を進めていけば多少の苦労は伴うでしょうが解決できる問題です。

しかし、このビラの品性の欠片もないこと。不安を煽り立てるだけの扇動ビラです。これが自公政権地方自治体に対して行なっている政治のありかたです。これは恫喝といってもいいでしょう。福田首相の力のない柔らかそうな物言いに騙されてはいけませんね。

岩国市民を孤立させてはならないと思います。

20080130_502502もうひとつ紹介します。Hitoming♪日々さんのところにあったチラシです。

市会議員有志の方がつくったもののようです。

ここで書かれていることは明瞭です。借金の市民一人当たり総額で72万円というのは、他の自治体と比して決して大きな数字ではありません。

国税五税を基にした地方交付税は、国により一方的に削られ続けているのが現状です。小泉前首相が三位一体改革などと大声で叫んでいた「カイカク」は、結局のところ国の財政再建のための地方切捨てでしかなかったことを、地方行政の現場で財政に携わっている職員や首長たちはひしひしと感じているはずです。

地域で生きる生活者を守るために、私たちの生活を守るためにも、このような国の言いなりにならない「地方自治の本旨」を守り抜く必要があります。

岩国市長選挙は、基地問題で国とゴチャゴチャしているお気の毒な自治体の選挙ではなく、「地方自治の本旨」という私たちが手放してはならない民主主義の砦を守る市長選挙なんですね、きっと。

とりあえず、今日はここまで。

でも、また長ったらしいエントリーになってしまった。すみませんでした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

あっ、ごめんなさい最後にひとつだけ岩国の近くにお住まいの方に集会のお知らせを。
詳しくは、「薔薇、または陽だまりの猫」の記事を読んでください。

民主主義と地方自治を守るために 「岩国はまけない!」市民集
  岩国のこれからをきめるのは、私たち!

  ■とき :2月2日(土)14時~15時30分
  ■ところ:岩国市民会館大ホール
  ■ゲスト:天木直人(元レバノン大使)
     森田 実(政治評論家)
     佐高 信(「週刊金曜日」編集委員)
     井原勝介(前岩国市長)
  ■主 催:民主主義と自治を守る議員有志の会
  ■連絡先:有志の会代表 重岡邦昭(090-1332-3313)

【追記】(10:40)

トラックバックいただいた、山口県の戸倉たかこさんの「とくらBlog」より、気になるところを紹介。

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 昨日、岩国の人とも話したのですが、どうしても、追い上げる福田さん陣営の方が勢いがあるし、そのバックには自公、政府、アメリカがついているんだか ら、従来の井原さんの市長選挙の時のように、まったく特定の団体や政党には応援してもらわない、というような姿勢でいいのか、という話になりました。当 然、井原さん陣営もがんばっておられるのでしょうが、最近の選挙は、やはり勝ちそうな方にどっとなだれ込む、というのが現実です。その現象を作るのはメ ディアです。井原さんは孤立しているわけではない、民主党社民党共産党もみんな応援しているし、もちろん、連合さんも応援しているし、と岩国市民に伝 わるように、まわりが力強く騒ぐ(応援する)べきなんじゃないでしょうか?メディアの使い方は、やはり自公政権がうまいと思えます。

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おそらく、岩国現地での自公陣営の追い上げは、私(たち)が想像している以上に凄いものがあるんだろうと思う。恫喝と騙しも、政府自民党がバックについているというだけに単なる恫喝と騙しではなく、地域で生きる生活者としての選挙民にはリアリティをもって迫ってくる。

とくらさんが指摘しているように、岩国市民に、井原氏は孤立していない、岩国市民の生殺与奪権を政府が握っているかのような物言いに怒っている市民は大勢いる。全国の心ある市民が注目している応援しているということをどのように伝えることができるのか、考え行動しなければならない。

速やかにリアクションしなければならない宿題だ。

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