宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

「地方自治」についてのメモ

日本国憲法は第八章において地方自治を規定する。第八章は第92条から第95条までの四つの条文で成る。

第92条
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。

第93条
1)地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2)地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

第94条
地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有志、法律の範囲内で条例を制定することができる。

第95条
一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

憲法は「地方自治の本旨」とはなにかについて説明していない。
一般的には地方自治の本来のあり方とされ、「団体自治」と「住民自治」の二つが要素であるとされる。「新版・逐条地方自治法第一次改訂版」(学陽書房刊)から当該解説を孫引きする。

「国のもとに、地方公共団体の「団体自治」及び「人民自治」の二つの意味における地方自治を確立すること、いい換えれば、地方に関する行政は、原則として、国の官庁がこれに関与することなく、国から独立した団体である地方公共団体に委譲すること(団体自治)、及びこれら行政を地方の住民自らの責任と負担において処理すべきこと(人民自治)を意味する」とされる(田中二郎『要説行政法(新版)』(弘文堂)74頁)。なお、ここで「人民自治」とは、「住民自治」とされることが多い。

2000年4月に施行された「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(地方分権一括法)により、地方自治法をはじめ475本の自治に係る法律が改正された。それによりこれまでの機関委任事務が廃止され、地方公共団体の事務は自治事務と法廷受託事務に再編された。

機関委任事務とは、法律/法令によって国から地方公共団体の執行機関(知事や市町村長)に委任された事務で、地方公共団体は相当量の機関委任事務を担っていた。国から特定の機関(知事や市町村長)に委任された事務であり、当該団体の議会も関与できなかった。また、1991年までは従わない知事に対しての内閣総理大臣の(市町村長に対しての都道府県知事の)罷免権が定められていた(地方自治法第146条_現在は削除)。

---

これは、議論のあるところだろうが、1997年に国会が圧倒的多数で可決した駐留軍用地特別措置法は、憲法95条に明らかに抵触している私は思う。この特措法を適用して、私有地を召し上げ在日米軍に軍用地として提供しなければならないところは沖縄でしかない。沖縄以外の都道府県における軍用地はほとんどが戦前の大日本帝国軍基地であり国有地である。法律が沖縄にのみ適用と書いていないからといって、《一の地方公共団体のみに適用される特別法》ではないとはいえない。

NHK週刊子どもニュース:駐留軍用地特別措置法改正とは?'97/04/06 放送

--

2006(平成18)年、11月17日に岩国市民会館小ホールで岩国市が主催する講演会が行われている。

「(仮称)岩国市自治憲章」に関する講演会であり、講演タイトルは地方分権下の地方自治と自治憲章条例」である。講師は、大阪学院大学大学院教授の南川諦弘氏。井原市長も冒頭に自治憲章づくりの意義等にふれるあいさつをしている。
講演会については、岩国市のホームページの当該ページ(政策推進担当)で知ることができた。

講演録をダウンロード。→講演録(Microsoft Word:70KB)

講演録から短く引用させてもらう。 

戦前の地方自治制度を一言で表すと中央集権主義が採られ、府県・市町村は国の行政機構の一環であった。要するに大日本帝国という「国家」と「国」は同じものだという考え方に立っている。

現在の日本は、日本という「国家」の中に統治団体としての「国」「都道府県」「市町村」がある。

※「府県ノ行政ハ内務大臣コレヲ監督ス」(明治23年法律第35号 府県制第81条)、戦前はすなわち、国家=国であり、府県・市町村は、統治団体ではなく、事業団体・費用負担団体と考えられていた。

戦後は日本国憲法のもとで、地方自治が規定され、官選であった知事が公選になるなど大きく変わったが、先に見たように「機関委任事務」として、戦前の形は生き残った。国の総理大臣が、有権者が選んだ知事を罷免できるという権限も1991年までは残存し続けていた。

南川教授は、日本という「国家」の中に統治団体としての「国」「都道府県」「市町村」がある》と指摘する。
統治団体としてのそれら(国・都道府県・市町村)は上下・主従関係ではない。しかし、
それらはまだ、市町村の上に都道府県その上に政府(お上)があるという、意識/無意識として人々(われわれ)の中に根深くある。

岩国市はいま、そこにむかって民主主義の理念を掲げ堂々と闘いを挑んでいる。これを対岸の火事とすることで私たちが失うものはあまりにも大きい。

日本国憲法
第12条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを乱用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

う~ん、この項つづく…

--