みやぎブログ

演劇・戯れ・政治

岩国市長辞職!(追記あり)

朝日新聞が報じている。(中国新聞東京新聞も報じていた)
記事を貼り付けておきます。《続き》に時間ができたらコメントを書きます。

岩国市長が辞職へ「クビと引き換えに予算通して」(2007年12月26日13時32分)

在日米軍再編に伴う岩国基地への空母艦載機移転に反対し、国から市庁舎建設補助金約35億円の交付を見送られている山口県岩国市の井原勝介市長は 26日、28日付の市長辞職届を市議会議長に提出した。年明けに出直し市長選に踏み切り、移転をめぐる民意を問う。これに先だって井原市長は開会中の市議 会に、補助金分の大半を合併特例債に置き換える予算案を市議会に提出。同様の予算案の提出はこれで5度目で、「私のクビと引き換えに予算案を通してほし い」と述べ、辞職と引き換えに可決するよう求めた。否決された場合も「職にとどまらない」と、辞職する考えを示した。

 同市では移転に反対する市長と、容認派が多数を占める市議会の対立が続いており、今年3月以降、同趣旨の予算案が4度否決されている。7階建ての新市庁舎はほぼ完成しているが、補助金分約35億円の財源のめどはいまだにたっていない。

 この日の市議会本会議で、井原市長は「このまま補助金なし、特例債なしでは、岩国市は大変な事態になる」と指摘。そのうえで「今回が最後の機会だ。端的に申し上げる」と切り出し、「私のクビと引き換えに大切な予算案を市民のためぜひとも通していただきたい」と述べた。

 続いて開かれた総務委員会で、議員から予算案が否決された場合の対応を問われると、「なおさらということで理解いただきたい。のうのうと 職にとどまっていることができるような状態にならない」と答えた。この後議会は休憩に入り、井原市長は議長室に高田和博議長を訪ね、辞職届を出した。

 予算案は午後に採決される見通し。移転容認派は「移転を受け入れて国から補助金を受けるべきだ」として今回の予算案自体に反発していた。各会派は市長発言を受けて対応を協議している。

 地方自治法公職選挙法の規定では、市長は自ら辞職する場合、市議会議長に辞職届を出す。議長はこれを5日以内に選挙管理委員会に通知し、市選管は通知を受理した翌日から50日以内に市長選を実施しなければならない。

 井原市長は周辺7町村との合併前の旧岩国市時代の06年2月、艦載機移転の賛否を問う住民投票を発議。翌3月の住民投票では反対が87. 4%と圧倒的多数を占めた。4月の新市長選ではこの結果を追い風に移転計画の「撤回」を前面に押し出し、受け入れに前向きだった新顔らを破り、新市の初代 市長に就任した。

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Pn2007122601000259ci0003 【追記】(20:07)

井原市長が自らのクビと引き換えに成立を望んだ補正予算は否決された。市長選挙は来年2月初旬になる。
岩国市民は、住民投票・前回の市長選挙に引き続き三度重要な選択を迫られる。

下記は議会終了後の井原市長の記者会見を伝える中国新聞の記事。

「民意問う必要」辞職めぐり説明 岩国市長が会見中国新聞

米軍再編に絡む空母艦載機移転に反対し議会と対立、辞職を表明した山口県岩国市の井原勝介市長は二十六日の市議会終了後、記者会見し自らの考えを説明。市長は既に移転の是非について「民意を問う必要がある」と出直し選挙出馬に意欲を見せており、再び艦載機移転を最大の争点とした市長選が実施される。

移転推進派が多数を占める市議会は同日、総務常任委員会で、市庁舎建設補助金約三十五億円の穴埋めに合併特例債を充てるとした市長提出の補正予算案を否決した。同様の予算案提出は五度目。国は昨年十二月、市長の移転反対を理由に補助金をカットしていた。

出直し市長選は、市議会での辞職承認後、市選挙管理委員会に通知があった翌日から五十日以内に実施。井原市長が再選された場合、任期は残りの二○一○年四月まで。

井原市長は合併前の岩国市で昨年三月、移転の是非を問う住民投票を実施し、約九割が反対。同年四月の市長選では「移転案の撤回」を公約に推進派候補らに大差をつけて当選した。

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自公政府は全体重をかけてこの選挙に臨んでくるだろう。
地方自治の本旨》を問う選挙になる。国民の《不断の努力》が試される。

がんばってほしい岩国。

市庁舎建設費の問題も大きいが、自治体財政運営の見地からは愛宕山開発の処理も大きく圧し掛かってくる。政府は、艦載機移駐容認勢力は、それらの 問題で不安を煽りたて、政府権力の持つ大きな力、カネを動かす力を見せ付けてくるだろう。それは国民の税金であって政府の勝手な資金ではない。そんな事柄 も遠吠えにしか聴こえないほど、カレラはあこぎな在り方を見せ付けるだろう。

がんばれ岩国。なにができるか、なにかしなければ。私たちは傍観者であってはならない。

【さらに追記】(22:05)

トラックバックいただいた、“A PLACE IN THE SUN”のポチさんの記事で、補正予算が修正可決されたことを知った。下記は、当該記事からその部分の転載。

 今日、午後のその補正予算案を付託された総務常任委員会は反対多数で、これを否決しました。
 その後、委員会での結論をうけて再開された本会議で審議されたわけですが、艦載機移転容認派の議員が、突然、修正案を出してきました。
 修正案の内容は、現時点で国からもらえる庁舎建設補助金の約5億円を国からの補助金で計上し、その分を合併特例債から減額するというものです。
 採決の結果、原案(市長が提案した補正予算案)は否決され、修正案が可決されました。

この修正可決は艦載機移駐を受け入れることで政府から得られる再編交付金(=現時点で5億円らしい)を根拠にした修正であり、市長選挙を意識した「容認派議員は市民生活=市の財政破綻等を省みない無責任議員」だという批判を避けるためのレトリックでしかない。いずれにしても岩国市議会は、捕捉できる状況にない国庫補助金を歳入として放置する失態は回避し、市民負担を最小化すべく合併特例債という有利な市債を得る回路は残した(私は合併特例債が得られる要件に合致するか仔細はわかっていない)。その意味では、ポチさんが

 この結果をどうみればいいのか、詳細にはよく検討してみなければならないと思いますが、予算に関しては、井原市長と岩国市民の勝利だと確信しています。
 これまで、合併特例債を活用するということにまったく拒否していた容認派が、約5億円を減額したとはいえ認めたのですから。

というのはまったくもって同感。あとは艦載機移駐容認を大前提にする勢力との選挙での闘い。たいへんな選挙になる。