みやぎブログ

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岩国についてのメモ(2)

自民党政権担当能力がないことは明らかになって久しい。薬害肝炎問題についての福田首相の対応で改めてウンザリと痛感する。岩国メモの二回目。沖縄はどんよりとした天気だが、半そで半ズボンで過ごしている。暖冬というより異常かな少し。

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Iwakuniokiai 岩国の新庁舎は2006年3月の時点で、入札減等もあり本体工事予算は79億円となり、2005年度で全体出来高の約7%の基礎工事等が順調に進捗していた。

2006年度に建物本体の工事に着手し主に地下と一階部分を予定し全体の約23%完了。
2007年度に2階から7階部分と全体の70%を予定し、本体工事を完了する。
2008年度には駐車場や広場、周辺整備及び現庁舎の解体工事で完了する。

2005年度は約3億円の補助を受け5.3億円の工事を実施し、2006年度は約18億円の予算に対して防衛庁から約11億円の補助を受けた。

(画像は岩国基地の沖合移設の計画図、左側に現行滑走路延長線上のコンビナート工場群がわかる)

■沖合移設と愛宕山艦載機移転

米軍基地問題について積極的に行動することの少なかった岩国市民のようだが、米軍再編「中間報告」(厚木の空母艦載機の移駐計画)を受けて反対の意志を示す行動が始まった。
当時の新聞報道等にあるらしい(未確認)、愛媛大学の本田博利教授の次の指摘は注目すべき論点である。

「沖合移設の目的は元来、地域住民の悲願であった航空機の工場群への墜落の危険回避と、市街地への騒音の軽減であった。そのため、国が不十分ながら示したアセスメントのデータなどを基に、公有水面埋め立ての免許権者である山口県知事は1996年に貴重な瀬戸内海をつぶしてまで埋め立ての承認を与えたのである。であれば、米軍機が倍の120機にもなる今回の艦載機移転は「重大な事情の変化」であり、当初の埋め立ての目的を著しく逸脱していると言わざるを得ない」

岩国基地は滑走路の延長線上にコンビナート群があるなど現在でも危険度は高い。岩国基地滑走路の沖合移設事業は、1973年に調査費800万円が計上され19年を経て1992年に事業として正式決定、1995年には山口県知事への公有水面埋立承認申請から事実上のスタートを切った。

埋立に必要な2240万立方メートルの土砂のために市内の「愛宕山」を切り崩していく。愛宕山は鎮守の森であったが、森一つが丸々削り取られた。そうして出来上がった土地の開発事業を巡り、米軍住宅を建設する話が沸き起こっている。愛宕山開発は住宅に困窮する国民のための住宅地供給を目的とした事業であり、これもまた大きな目的の逸脱である。開発事業費の負債を抱えたくない山口県は政府に土地を売ることを目論んでいるが、どうなるか注目していく必要がある。…先ほど知ったが、財務省は来年度予算に米軍住宅に関する予算を付けた。岩国・愛宕山が有力視されている。

事態を正しく知るには、それらの一連の動向と同時に、米軍の意向というか思惑を勘案する必要がある。米軍は1993年にコンサルタント会社に委託し岩国基地にAICUZを当てはめ調査している。92年の日本政府による沖合移設事業決定と翌年の米軍によるAICUZの調査。そして米軍再編における厚木基地の艦載機移転。これらがなんの脈略も因果関係もないとはいえない(要調査)。

住民投票と市長選挙

市町村合併を8日後に控えた3月12日、岩国市では空母艦載機受け入れの是非を問う住民投票が行なわれた。岩国市住民投票条例には成立要件が定められ(第12条)ており、一部(といっても多数だが)の市議会議員や商工会などによるボイコット運動もあり、投票率が50%を超え成立するかということも注目された。

以下、住民投票の結果を報じる共同通信の記事。

海兵隊岩国基地の地元・山口県岩国市で12日、米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機受け入れの是非を問う住民投票が行われ、反対4万3433票、賛成5369票で反対が圧倒的多数を占めた。
反対票は有効投票の89%に上り、有権者の過半数に達した。投票率は58・68%で、市条例が定める50%以上の要件を満たし、成立した。
投票は賛成、反対の二者択一。法的拘束力はないが、条例は「市民、市議会、市長は結果を尊重する」と規定している。
今回の在日米軍再編で関係自治体の住民投票が成立したのは初めて。政府は日米両政府間の合意を優先し、3月中にも最終報告を取りまとめる意向。井原勝介市長は同日夜、「国や米国も、基地の安定的運用には地元の理解が必要だと言っている」と述べ、週内にも国に移転撤回を求める方針を示した。

艦載機反対の投票は有効投票の90%近くに上り、全有権者数でも過半数を超えている。岩国市民の艦載機移転反対の民意は明確に示された。

同年4月23日に行なわれた合併後初の市長選挙では、艦載機移転撤回を求める井原勝介(旧岩国市長)が艦載機移転を前提に国と交渉すべきとした自民党推薦候補を大差で破り当選した。

当  井原 勝介(55) 54,144 無新[1]
   味村 太郎(38) 23,264 無新
   田中 清行(49) 1,480 無新

■米軍再編に従わずば「地方自治体」に非ず

合併した新制・岩国市は新市庁舎の財源問題で揺れ続ける。当初の予定を大幅に下回り、補助額が49億円と“試算”され、減額された30億円近く穴埋めに市当局は合併特例債などを充てることを提起するが、旧町村の議員等からは約束が違うと異論が差し挟まれていた。
2006年度の11億円の補助金も北原巌男防衛施設庁長官の決済で一時保留するなど、艦載機移転に反対する岩国市への内外の圧力は強まっていった。

同年5月には、在日米軍再編の「ロードマップ」が日米合意され、ロードマップを「的確かつ迅速に実施する」と明記した実施方針を日本政府は閣議決定する。

「SACO関連経費での対応」であった岩国新市庁舎建設事業への補助を、政府防衛省は米軍再編で合意した空母艦載機移駐を容認しなければ難しいと露骨に発言しはじめ、同年12月20日に内示された2007年度予算の財務省原案では岩国市への補助金はゼロとされ、24日に政府案として閣議決定された。

■議会の隷従振り

そのような動向を受け、岩国市議会では12月定例会最終日の26日に「井原勝介岩国市長の責任を問う決議」が提起される。以下、議事録より引用。

◎30番(桑原敏幸君)  議員提出議案第10号 井原勝介岩国市長の責任を問う決議。
 上記議案を岩国市議会会議規則第14条の規定により、次のとおり提出いたします。
 それでは、案文の朗読をもって提案理由にかえさせていただきます。

 井原勝介岩国市長の責任を問う決議
 12月24日に閣議決定された来年度予算政府案は、現在建設中であり、しかも市民の安心・安全を守る本市の防災拠点として位置づけをしている新庁舎建設に対する補助金及び重要プロジェクトの一つである民間空港再開関連予算がいずれも計上されていないという、本市にとっては非常に厳しい内容となっている。
 このことにより、今岩国市民の間には動揺が広がり、本市の将来に大きな不安を感じ始めており、こうした結果を招いた一因は、市長の政治姿勢にあると受けとめている市民も少なくないという現状がある。
 我々議会としても、来年度の政府予算における本市の関連予算については、これまでの市長の発言や行動から予算を獲得できるかどうか危惧し、市長として一刻も早く問題解決の糸口を見出すために、早急に国に対して現実的な対応策を示し、協議を行うよう提言してきたが、何も示されないまま今日に至ったわけである。
 その結果として、新庁舎の建設補助金や民間空港再開関連予算が見送られるという事態を招いたことに対する市長としての行政責任は重いものがある。
 このことから、我々議会としては、井原勝介岩国市長に対して責任を問うとともに反省を促し、みずからが国・県との信頼関係を早急に再構築し、現実的な対応をすることにより、本市の将来に禍根を残さないよう、補助金獲得に向けて最善の努力をするよう求めるものである。
 以上、決議する。
  平成18年12月26日
  岩 国 市 議 会

 以上、全会一致で御賛同いただきますようよろしくお願い申し上げます。

この提案に対する質疑応答は次の通り。

◆26番(大西明子君)提案者にお尋ねをいたします。
この決議案の文章中に2カ所にわたって、「現実的な対応」を言われております。「現実的な対応策を示し、協議を行うよう提言してきたが」ともう一点、「現実的な対応することにより、本市の将来に禍根を残さないよう、補助金獲得に向けて最善の努力をするよう求めるものである」というふうに言われております。
お尋ねしたいのは、「現実的な対応」、この対策を提案者はどのように思っていらっしゃるのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。二井県知事に至っては、記者会見でも「現実的な対応」と盛んに言われております。私は、この記者会見で二井知事の発言から受け取るのは、「艦載機受け入れ容認に移りなさい」と、こういうふうに受け取っているわけですが、今提案された決議案の中身の「現実的な対応」というのは具体的にどういう中身か、お尋ねをいたします

◎30番(桑原敏幸君)それでは、大西議員もわかっとってんか、わかっていないんか、問題でしょうが、「現実的な対応」について、私なりの解釈を説明したいと思います。
私は、国がすべて100%いいとは思っておりません。ただ、民間空港の場合は、早い時点は、厚木の問題と民間空港は別次元の問題であるということを確かに国も明言してきました。しかし、ここに至って、既に厚木と民間空港はもうセットであるということをはっきりもう国も明言しています。ということは、「現実的な対応」というのは、民間空港だけお願いしますと、厚木は嫌ですというわけにはいかないというのが、現実的な対応をしてほしいという意味であります。
以上です。

◆26番(大西明子君)多分そういう答弁だというふうに私も予想しておりました。しかしながら、この決議案に賛成をされる議員諸君の中には、市会議員選挙に当たって「受け入れ反対」の公約を掲げて当選した議員もいらっしゃいます。その議員にお尋ねをしたところ、「この決議案は艦載機受け入れの決議案ではないから賛成する」と、こういうふうに言われておりますので、改めてお尋ねをしたところであります。しっかりと市民の皆さんに、この決議案の中身が、「現実的対応」というのは受け入れ容認をするという意味だということを確認いたしました。

◆27番(藤本博司君)今、大西さんの方から「現実的対応」という点についてお尋ねしたんですが、その前に、「みずからが国・県との信頼関係を早急に再構築し」というふうに書いてあります。「みずからが」っていうのは、井原市長さんのことだと思うんですが「国・県との信頼関係」ということは、私の解釈では、国が信頼関係を壊した。県との関係についても、住民投票という市民の意思を無視して、県知事が勝手に現実的な対応をしろ、現実的な対応をしろと言っておるわけですね。
それで、国に対しても、そもそもKC-130が岩国に移転するという、このSACOの合意を根拠にして庁舎建設事業が始まっているわけですね。それは、その始まっているこのことを途中で打ち切るということは、これこそやはり信頼関係を崩しているのは国だというふうに思うんですけれどもね。国や県だというふうに思うんです。(発言する者あり)
その点で、どういう意味なのか。その「国・県との信頼関係」という、その意味についてお尋ねをしたいと思います。

◎30番(桑原敏幸君)これは、私、一般質問の中で言いましたように、井原市長はいまだに「撤回」ということをもう前提にされていますので、私が言うように、やはり話をするんなら、一応「撤回」ということは撤回して、一から協議をしてほしいということですよ。ですから、もう「撤回」がありきなら、なかなか国との本音の話はできない。これはもう人間として当たり前のことですよ。
以上です。(発言する者多数あり)

◆27番(藤本博司君)この庁舎建設事業がずっと進んでいるのを途中で壊すということは、この信頼関係を壊すということになりませんか。いかがですか。

◎30番(桑原敏幸君)いや、ですから、私も申し上げたように、100%国が正しいとは言っておりません。
以上です。(発言する者あり)

このような質疑応答が行なわれ、議会は討論に入る。(賛成は赤・反対は青字で色分けした)

◎10番(野口進君)市民クラブを代表いたしまして、ただいま提案されました井原勝介岩国市長の責任を問う決議について、反対の立場から討論を行います。
今回示されました平成19年度政府予算に庁舎建てかえに対する補助金が計上されていなかったことに関しては、行政、議会だけでなく、市民の多くも大変ショックを受けております。提案された今回の決議には、井原市長の政治姿勢について言及されていますが、今回見送られたこの予算については、これまで米軍再編とは切り離して個別に協議されてきた内容の予算であります。
特に、建てかえ中の庁舎は、決議案の中にも示されておりますように、市民の安全を守る防災の拠点としての役割を担うとても重要なものであります。国民である岩国市民の安全・安心を確保できずに、どうして国防や世界の安全保障について論じることができるでしょうか。
我が市民クラブといたしましては、井原市長は、ことしの3月、旧市で行われました住民投票や4月の市長選で示された民意に沿って市政運営を行っているだけで、問責に足るような事実はないと考えております。
多くの難問が待ち受けている今こそ、行政と議会が一体となって市民の信頼を得て、合併後の新しい岩国をつくり上げなければならない重要な時期であります。市長の責任を問うよりも、あくまでも市民の目線で、難局を迎えている市政への運営に適切な助言とチェックを行うよう、議会としての役割がより一層求められているときであります。
今後も、国や県との信頼関係をより強いものにし、補助金獲得に向けての努力を続けていただくよう要望いたしまして、井原勝介岩国市長の責任を問う決議の反対討論といたします。

◎24番(山田泰之君)日本共産党市議団の山田泰之です。私は、井原勝介岩国市長の責任を問う決議に反対の立場で討論を行います。
まず最初に、新庁舎建設に至る経過をこの場から述べさせていただきます。
新庁舎建設に対する補助金については、沖縄に所在する米軍施設・区域にかかわる諸課題に関し協議することを目的として、平成7年に日米両国政府によってなされたもので、SACOが取りまとめた最終報告の中に普天間飛行場に配備されている12機のKC-130航空機(空中給油機)を、適切な施設が提供された後、岩国飛行場に移駐する旨の措置が盛り込まれたものです。
岩国市は、沖縄普天間基地所属のKC-130空中給油機の岩国基地への移駐要請について、平成9年4月22日、国に対して、受け入れを容認することの報告及び地元住民等の間にKC-130空中給油機の岩国基地への移駐に当たって諸種の不安・懸念があることから、その対策として4項目にわたる要請を行いました。
その中の一つに、「岩国市及び周辺町における防音対策工事及び民生安定施設に対する助成措置の拡充を図るとともに、地域振興のための諸施策への積極的な支援をされたい」との要望項目があります。
平成12月10月、鳥取西地震発生、岩国市において震度4を記録し、現庁舎に被害が生じました。平成13年3月、芸予地震発生、岩国市において震度5強を記録し、現庁舎に甚大な被害が発生し、その後実施した耐震診断の結果、耐震性能の著しい低下が判明したことは、議員諸君も御存じのとおりであります。これらの地震の被害を受け、新庁舎の早期建設が緊急の課題になったことも、議員諸君も御存じのとおりであります。
しかしながら、基金の積立状況、厳しい財政状況を考え、岩国市単独での事業が困難であり、防衛施設庁に支援を要請した結果、防衛施設庁において、岩国市の実情を勘案の上、平成9年4月のKC-130空中給油機の受入容認時の要請にこたえ、平成15年度にはSACO関係経費から新庁舎の基本設計に5,926万円、平成16年度には実施設計に9,857万7,000円、平成17年度には新庁舎本体工事並びに体育館解体工事等に2億9,568万8,000円、平成18年度には新庁舎本体工事等基礎部分に11億3,000万円の交付が行われております。合計14億円の補助金が交付されております。このように、現在に至るまで、SACO関連の補助事業として、出来高事業量に応じて助成が行われおります。
また、岩国基地滑走路軍民共用化計画、いわゆる民間空港再開の事業も、本年の2月に山口県と岩国市で構成する岩国基地民間空港再開事業推進協議会──会長綿屋副知事、での中間報告によりますと、予算規模134億円を山口県と岩国市で負担することを確認し、拠出割合2対1で調整するとしておりました。それを2月17日、山口県の綿屋副知事は、山口県東部11市町村意見交換会をシンフォニア岩国で開催し、134億円は国から出してもらう旨の発言をし、国に要望を行っております。岩国市の重要プロジェクトとして位置づけている民間空港再開関連予算は、山口県と岩国市を中心に負担をすると決めております。
以上が、これまでの経過であります。
政府が、来年度予算については、今までKC-130空中給油機の受け入れの見返りに補助金を交付していたもので、厚木基地の空母艦載機部隊を受け入れないから新庁舎建設に対して補助金を交付しないということは、2階に上げてはしごを外すと全く同じな原理であります。
市民は、今回の再編には我慢ができないというのが率直な気持ちであり、「厚木基地の空母艦載機部隊受け入れ反対」、「これ以上の基地機能強化反対・騒音はごめんだ」という市民の意思がはっきり示されたのが、住民投票であり、市長選挙であります。
市庁舎建設にかかわり政府が補助金を予算化しないことを岩国市長に対して責任を問うということは、岩国市民に責任を問うことと全く同じであり、的外れな言いがかりであります。全く腹から怒りが煮えくり返る、けしからんことであります。このような的外れなことが行われるとなると、今後何が起こるかわかったものではありません。とても容認するわけにはまいりません。
決議書には、現在建設中であり、市民の安全を守る岩国市の防災拠点として位置づけしている新庁舎の建設補助金が計上されていないと記載されておりますが、それであれば、政府に抗議するのが当然ではないでしょうか。多くの市民の方々は、口々にこのように言っておられます。
決議を出された議員諸君も、政府が約束を破ったことに対して抗議するべきではないでしょうか。
また、民間空港関連予算は、政府に出していただければ岩国市の負担も軽減されますが、そもそも山口県と岩国市が実施するとしていました。これも米軍再編とは別問題であります。
今、日本全国で地方空港の多くは赤字空港であり、利用の見込みの少ない民間空港の再開、軍民共用空港は、危険を伴う空港であります。米軍再編とセットであれば、中止すべきだと考えております。
以上で、井原勝介岩国市長の責任を問う決議に反対の討論といたします。

◎20番(阿部秀樹君)井原勝介岩国市長の責任を問う決議案について、賛成の立場から意見を述べさせていただきます。
まず、このような決議案を出さなきゃいけない事態に陥ったこと、非常に私は残念に思います。
6月、9月の定例議会において、私は、井原市長に、政府が米軍再編に関して閣議決定されたものは覆りませんよと、そういった中で岩国市はどういった対応をしなきゃいけないのかということ、現実的な対応をできるだけやってくださいよということで、何度もお願いをさせていただきました。そして、その最後に、このまま反対を続けると、来年度予算も含めて岩国市は財政破綻をしかねない、そんな厳しい状況までなるんではありませんかということも申し上げさせていただきました。
しかしながら、井原市長は、最後まで「白紙撤回」、「撤回」、そして最近は「容認できない」というような文言に変わっていますけれども、基本的には米軍再編に関しては最後まで反対するという姿勢を崩しておりません。
そうした中で、実際に国との協議ができるか、そういうことになりますと、国の方も、この米軍再編を進めなきゃいけないという立場の方から厳しい措置をとってきている。それが今回の庁舎の建てかえに関しましても、私も個人的には5億円か10億円ぐらいはつけてくれるのかなというような期待もいたしておりましたけれども、非常に厳しい内容となってまいりました。
ここでしっかりみんなが考えなければいけないのは、「現実的対応」ということが先ほどから話に出ておりますけれども、「現実的対応」というのは、やはり政府も立場があります。岩国市も立場があります。そうした中で、まずお互いが歩み寄って、本当に白紙の状態で協議を進めるためには、国の方も精いっぱいこれを進めなきゃいけない、御協力くださいと。岩国市も、住民は今反対をいたしておりますが、住民が納得していただけるような内容の協議も含めてできるんであれば、白紙の状態で──絶対容認できないではなしに、白紙の状態で協議に臨みましょうということを前提でなければ、協議というものは前に進まないものであります。それを何度も申し上げてまいりましたけれども、その対応はしていただけないということで、今回の厳しい措置までなってきたというふうに思います。
今、井原市長に対してこの決議案を出すということは、非常に厳しい内容のように思えるかもしれませんけれども、岩国市の5年後、10年後の将来を考えたときに、いま一度白紙の状態で国との協議に臨み、住民の方が納得していただける結果を導くようにやっていただきたいという思いも込めて、この決議案に私は賛成をさせていただきます。
議員諸兄の賛同をぜひ得られますようによろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。

◎1番(田村順玄君)リベラル岩国の田村順玄でございます。私は、議員提出議案第10号井原勝介岩国市長の責任を問う決議に反対する立場で討論をいたします。
政府は、岩国市民の頭越しに米軍再編の方針を閣議決定し、着々とその実施へ向けた圧力を高めております。
しかし、岩国市民は、戦後ずっと、今回の再編案とは別に、米海兵隊の基地として重圧を背負い続けてまいりました。その上、10年前からは沖縄普天間基地の返還プロセスからKC-130空中給油機の移転、また9・11テロ後のCH-53Dヘリコプター配備など、事あるたびに過重な基地負担を押しつけられてまいりました。
こうした過程で出てきたほんの一つの現象が市庁舎建設補助金であります。本年12月20日、防衛施設庁は、「平成19年度岩国市庁舎整備補助金について」という一編の文書をよこしてまいりました。この文書を見ますと、「これ以上の基地強化に反対する」という岩国市の当然の行政指針に対する、金をちらつかせての露骨な介入であります。これが岩国市の財政に厳しいやいばであることは言うをまちません。
しかし、このやいばが国の基地行政に対しても突きつけられたもろ刃の剣であるということを私たちは想像できるのではないでしょうか。基地強化反対、新基地建設反対の願いを国は補助金の増減で封じ込めてきました。今回の防衛施設庁の通告は、基地強化や基地受け入れを飲ませるために出してきた補助金も、国の都合で突然とめてしまうことが、どの自治体にも、全国のどこの自治体にも起こり得ることを端的に示していると思います。基地を抱える自治体──岩国市に、この通告がボディーブローのようにきくということでもありますけれども、一方では、全国の国民が国に対する不信感がさらに増すことは疑問の余地がありません。
私は、このような中で、この補助金カットのこの現象を市長にすべて責任をかぶせるということは大きな誤りだということは、3月12日の住民投票の結果を全国の人々が喝采をもって迎えたと。それと同じように、今、岩国市で、逆にこの国のこういうもろ刃の剣となっている現象を岩国市長への責任という形で押しつけると、これは大きな誤りだということを全国の人々が岩国市の恥となって伝わるということがあってはならないと思います。そういった意味でも、私は、今回の議員提出議案第10号井原勝介岩国市長の責任を問う決議に反対をいたします。
そういうことを討論として発言いたしまして、私の意見表明といたします。よろしくお願いいたします。

◎9番(藤井哲史君)清風クラブの一員として、井原勝介岩国市長の責任を問う決議に反対の立場で討論をいたします。
現在の状況は、地元の頭越しに決めた日米合意というのが、やはり皆さんの反発を買っていることも事実でございます。先ほど来ありますように、住民投票、さらには自治会、連合自治会を中心の反対署名活動等もありました。
しかし、国の方も、この岩国市に対しては随分と注目してきていますし、きちっとした対応をしつつあると私自身は認識しておりました。具体的に申せば、この11月に議長さんが広島の防衛施設局を訪ねられたときには、やはり局長以下、各部長さんに誠心誠意お話を聞いていただいたし、さらに、国会の会期中であっても北原防衛施設庁長官が貴重な時間を割いて、議長と忌憚のないごあいさつを交わされたというのを聞いております。さらに、この12月22日の新聞等を見ましても、総理みずからが、「岩国ではNLPはやらない」という文章も出ておりまして、やはり私は、このままではいかんなということで、国もきちっと対応をしてきているなという認識をしております。
当初、日米合意があったときに、関係自治体55ございましたけど、すべての自治体が反対の声を上げましたけど、現在では35の自治体が容認等に傾いてきているのも、これは現実でございます。さらに、昨今の新聞等を見ますと、隣の町でもそういう動きが出てきていますし、非常に当事者の岩国を除いて、取り巻く情勢というのは動いてきているなという認識をしております。私自身住んでおります東地区でも、やはりいろいろな意見交換、それから私のところに御意見も参っておりますけど、当初よりも微妙に変化していきているのが事実でございます。
私自身、この市長の責任を問う決議案につきまして反対申し上げますのは、現在、議長さんを初め防衛施設庁とすり合わせております1月26日の全員協議会で、防衛の方もきちっと説明に参りますという答えもいただいて、話も進めていることも事実であります。
今は、市の庁舎の補助金35億円が当面の問題点で出ておりますけど、愛宕山開発、さらには民間空港の再開への諸準備等、本当にこの基地を取り巻く問題というのは複雑に絡み合ってきております。議会の方も、やはりこの35億円、これをぜひ国の方にも要望できるように、きちっとまとまっていきたいなという気持ちもありますし、さらにこの状況を続けると、民生安定のためにも非常に厳しい状況を醸し出すという認識をしております。あるときには、議会と執行部は車の両輪に例えられます。お互いの考え方も違いながら、しかし、最後に残るのは騒音だけだということがないように考えております。
そういう情勢が刻々と動いている状況の中での市長の責任を問う決議については、清風クラブとして反対いたします。
以上、討論といたします。(発言する者あり)

◎14番(井上昭治君)議員提出議案第10号井原勝介岩国市長の責任を問う決議に対して、公明党議員団を代表して、反対の立場で討論いたします。
新庁舎建設に伴う防衛施設庁補助金がゼロ査定となり、約35億円が平成19年度の予算に計上されていないと発表があったことは承知しています。国は、米軍再編により、当初のSACO、沖縄に関する特別行動委員会の内容を修正をしたための措置であると表明されました。本市は、当初のSACOの内容であるKC-130ハーキュリーズ航空機の移駐を容認し、その後の支援策として庁舎の建てかえの補助金を要望して、18年度まで国から補助金が支援されていました。今回、米軍再編により、KC-130ハーキュリーズの訓練が鹿屋市やグアムに変更となるため、補助金の支援をしないとの見解であり、本市は今までにKC-130航空機やCH-53Dヘリコプターの受け入れも容認しており、国との信頼を築いてきました。
今回の国の措置は、岩国市民、国民に対して、また基地を持つ自治体に対して信頼を裏切る行為としか受け取れない状況であります。このような国の行為は、米軍再編そのものにも、市民、国民が国に対して信頼が築けなくなります。
しかしながら、来年度予算の本格的な審議は来年の通常国会で審議され、また再編関係の時限立法も来年国会で審議されるように聞いています。「現実的な対応」を求めるならば、新庁舎の補助金だけでなく、その後の愛宕山開発事業や民間空港再開、またNLP等々、総合的に一体的に検討しなくてはならない点があります。本市の厳しい財政問題を考えるとき、最悪な状態を避けなければなりません。いずれの問題も結論を避けることができない状況であります。市長みずからの問題と同じく、議会としても今後の方向が重要になると理解しています。
そのためにも、来年1月26日に予定している防衛施設庁との全員協議会等、協議の場を踏み、議会として協議し、その後の状況により考えるべきであると訴え、反対の討論といたします。

◎27番(藤本博司君)日本共産党の藤本博司でございます。新市庁舎建設と民間空港に関する予算が計上されなかったことで、井原市長の責任を問う決議に反対の討論を行います。
問責されるべきは、井原市長ではなく、約束を破った防衛施設庁であり、国であるということをまず最初に申し上げたいと思います。
そもそも庁舎建設は、先ほど来から同僚議員が述べておりますように、SACO合意に基づく民生安定の要望を具体的に措置するために、平成15年度から庁舎建設事業として始まって、平成17年度、18年度、2年間で14億円の補助金が交付をされているものは、論をまたないところでございます。
そしていよいよ、庁舎の基礎工事が終わり、来年度から庁舎の本格的な建設が始まろうとしたやさきに、防衛施設庁は、四つの理由を上げて、財務省に対して予算要求をしないという暴挙を行ったわけであります。かかる暴挙は、絶対に認めるわけにはいきません。私は、このことからも、防衛施設庁に厳重に抗議の意思を明らかにするものでございます。
こうした防衛施設庁の暴挙に対して何の批判もなしに、井原市長に一方的に責任を押しつけ、問責決議を提出するなどというこの事態そのものが重大な問題であります。岩国市民の利益を代表するのが議員であれば、予算をつけなかったと言っている、要求しなかったと言っている防衛施設庁や国に対して、この責任こそ追及し、問責をすべきである。そういう点では全く本末転倒も甚だしいことだと言わなければなりません。
私たち日本共産党市議団は、昨日、赤嶺政賢衆議院議員、仁比聡平参議院議員、春名直章、中林佳子元衆議院議員と一緒に東京市ケ谷の防衛施設庁を訪ねて、調査・要請を行ってまいりました。岩国市への通告文書の説明を求め、要請・抗議を約1時間にわたって行いました。施設企画課企画室長補佐の伊藤重樹氏が対応をいたしました。
私たちは、今回防衛施設庁補助金財務省に要求しなかった理由として上げているKC-130空中給油機の岩国移駐について説明を求めました。そして、防衛施設庁は、KC-130は岩国に配備はするけれども、ローテーションで鹿屋やグアムに移転させて訓練をするので、岩国の負担は軽減をされる、こういうふうに言っているけれども、SACO合意のときに、岩国でどれぐらいの訓練が予定をされていて、今度の米軍再編でどれぐらいの負担の軽減になるのか、騒音やコンター図で示してもらいたい、何がどのように軽減をされるのか、繰り返して説明を求めました。しかし、ローテーションで回すから、こういうふうに繰り返すだけで、何の根拠も示すことはできませんでした。
また、今回の調査・要請で、驚くべき国の卑劣さが明らかになりました。それは、私たちが、庁舎建設事業はSACOのKC-130の移転に伴う岩国の要請に基づいて約束していたものだと、これを当てはめて庁舎建設を進めていたんではないかと、その約束を破って庁舎建設の途中で補助金を打ち切るのは理解できないと、こういうふうに追及いたしました。このことに対して防衛施設庁は、約束をしたものではないと、こういうふうに答えました。
それでは、なぜ庁舎建設が15年度から始まり、17年度、18年度で約14億円の補助をつけたのかと、こういうふうに追及をいたしますと、それは単年度、単年度で庁舎建設についての進みぐあいや予算を考えて、単年度の決算で処理しているのであって、完成を約束しているものではないと、こういうふうに平然と述べました。
私たちは、では、将来的にどうするかということは約束をしないで、いつ打ち切るかもわからない補助金として岩国市に出していたのかと、こういうふうに突っ込んで説明を求めましたけれども、まともな回答はございませんでした。周辺整備法第8条に準じて、単年度、単年度で予算を措置してきたと、こういう回答を繰り返すばかりでした。
そこでさらに、私たちは、8条に準ずるというふうに言うけれども、全国で8条の補助金を途中で打ち切った事例があるかと、こういうふうに質問をいたしました。このことへの返事はございませんでした。
私たち代表団は、改めて、岩国市が住民投票でこれ以上の負担には耐えられないとして艦載機受け入れに反対をしているから、庁舎補助金を打ち切る、これ以外に理由は考えられないけれども、そのとおりであるかと、こういうふうにさらに突っ込んで質問をいたしました。これに対して、岩国市に対して説明しているとおりでありますということで、このことを認めました。
大西議員団長が最後に、あなた方はこういうことをやって、岩国市と岩国市民が艦載機を受け入れるように態度を変えるとでも思っておられるのかと、こういうふうに質問をいたしました。そして、絶対に岩国市民と岩国市はそういう態度はとらないと、市民の怒りをかえって買うだけにすぎないのではないかということを言い渡し、要請行動を終わりました。
そもそも沖合移設は、騒音被害を解消し、日本製紙帝人三井化学などへの墜落の危険をなくするための工事であったはずであります。ところが、国は、この目的に外れて、厚木の空母艦載機を岩国に移転させるということを突然持ち出して、岩国市民と岩国市をだましました。
そして今度は、市庁舎補助金についても、ずっと完成まで補助金をつけるというふうには約束をしていないというふうなことを言って、またまた岩国市と市民をだまそうとしているのであります。国のやり方は何と汚いのではないでしょうか。
今、教育の問題をめぐって、いじめの問題が大きな社会問題となっています。いじめをなくさなければならない、そういう立場にある国が、人口わずか15万人にすぎないこの岩国市と岩国市民をいじめるというふうなことがあってはならない。これが今度、私たちに、国から今私たちの目の前でこんないじめが行われている。
問責対象は、井原勝介岩国市長ではなくて、防衛施設庁であり、国ではないでしょうか。また、このような井原市長問責決議を出して井原市長をいじめるやり方、このような決議を提出した保守系会派の皆さんの良識を疑わなければなりません。しかも、艦載機受け入れ問題の最大の責任者は、住民投票で判断を下した岩国市民そのものではないでしょうか。市長を問責するというのであれば、これは岩国市民を問責するということに等しい決議の内容ではございませんか。
国の卑劣なやり方に同調するのではなくて、私たち議会がやるべきことは、市民と市長と手を携えて、安全・安心の岩国市を子供たちや孫たちに残してやる、このことこそ最も大切なことではないでしょうか。
何とぞこのような決議が成立することがないように、岩国市議会の長い歴史に大きな汚点を残すことになりかねません。多くの議員諸君が本決議に反対をしてくださることをお願いして、私の反対討論といたします。ありがとうございました。

◎26番(大西明子君)私は、議員提出議案第10号井原勝介岩国市長の責任を問う決議に反対の討論を行います。
私は、先ほど質疑で「現実的な対応」とは具体的にどのようなことを示すのかと質疑をいたしましたが、県知事と同様に、「厚木基地の艦載機の受け入れを容認せよ」と言っている決議ではありませんか。民意に背く決議の内容であるというふうに思います。
これまで市長は、住民の意思を尊重し、これ以上の基地機能の強化は反対である態度を表明してまいりました。国に対しても、市民にもっと納得がいくような説明をしてほしいと要望し、国に何度も足を運んでいるではありませんか。しかし、何の説明もないのが現状です。
例えば、米軍再編では、横須賀を母港とする艦載機が、2008年には原子力空母ジョージ・ワシントンに交代するとしています。今、原子力空母の母港化反対を横須賀市民が住民投票を実施する条例制定を求めて署名運動を行っていると聞いておりますが、この原子力空母ジョージ・ワシントン艦載機は90機とも95機とも言われており、乗組員の兵員は5,000人以上を超えると聞いていますが、現在、厚木の艦載機59機が移転してくるとの説明ですが、ジョージ・ワシントンとの交代だったら、艦載機の機数はどうなるのか、家族を含めた軍属はどれくらいになるのか、とても疑問になってきます。この点について、昨日、防衛施設庁の伊藤課長補佐にお尋ねをいたしましたが、明確に答えることができませんでした。
空母艦載機の移転は、岩国市民に耐えがたい苦痛を与えることは明らかです。そして、岩国市民は、艦載機の移転に明確に反対の意思を表明しています。井原岩国市長は、市民の意思を尊重する立場を取り続けているだけではありませんか。
なぜ新庁舎補助金が計上されないのか。私は、昨日の防衛施設庁とのやりとりで実感したことは、今回の補助金打ち切りは、防衛施設庁による岩国市へのいじめ、制裁にほかならないと思います。防衛施設庁による補助金カットは、道理のない、筋の通らない措置であります。
今回の国の予算案を見て驚きました。従来から岩国にいる米海兵隊航空部隊が使用する格納庫改築に12億5,900万円、駐機場新設1,200万円が計上されているばかりでなく、艦載機のための格納庫、駐機場も建設予定をされ、関連経費が計上されているのです。一体、岩国基地はどんな巨大な基地になるのでしょうか。こうした問題も、市民に明らかにされておりません。こういうことについても市民に説明をする義務が国にはあるのではないでしょうか。筋の通らないこういった防衛施設庁補助金カット、問責されるのは、まさに防衛施設庁の方ではないでしょうか。
決議は機関意思の決定です。極めて重大な意義を持つものです。議会の圧倒的多数が賛同できる内容で決議されるべきです。岩国市議会は、これまで全会一致、または大方の意見でもって決議や意見を決めてまいりました。なぜ今回はこのような異常な対応がされたのでしょうか。岩国市議会のよき伝統は守られるべきではないでしょうか。
地方自治法憲法では、住民自治、団体自治という地方自治が保障されております。地方自治の立場に立つなら、本決議案が全くいわれないものであることは明白です。
よって、本決議案に反対の立場を表明し、討論といたします。

反対討論七人に対して、賛成討論一人で討論は終結し、記名投票で採決が行なわれた。

○議長(村中洋君)投票の結果を報告いたします。
投票総数32票、これは先ほどの出席議員数に符合いたしております。このうち、賛成17票、反対15票、以上のとおり賛成が多数であります。
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(賛成17票)
味村憲征議員 阿部秀樹議員 石本崇議員
片山原司議員 貴船斉議員 桑原敏幸議員
高田和博議員 武田正之議員 中塚一廣議員
縄田忠雄議員 林雅之議員 藤重建治議員
藤本泰也議員 細見正行議員 前野弘明議員
松本久次議員 宗正久明議員
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(反対15票)
石原真議員 井上昭治議員 大西明子議員
河合伸治議員 河本千代子議員 越澤二代議員
重岡邦昭議員 田村順玄議員 野口進議員
姫野敦子議員 藤井哲史議員 藤本博司議員
古谷清子議員 山田泰之議員 渡吉弘議員
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Ihara_2 井原勝介の岩国市民と自治を守る闘い

岩国市は米軍再編の大きな焦点となる。
今年(2007)の市議会における井原勝介岩国市長の施政方針を引用する。岩国が抱えさせられている、抱えている問題が率直に把握され考えが表明されている。

◎市長(井原勝介君)それでは、議案の審議に先立ちまして施政方針と予算の大綱について御説明をしたいと思います。
まず、施政方針であります。
今、岩国市は大きな岐路に立たされております。米軍再編を中心にして、さまざまな課題が絡み合いながら複雑な展開を見せており、この先、岩国はどうなるのだろうかとの不安が市民の間に高まっていると思います。市民の意見も分断され始めておりまして、実に悲しく残念なことであるというふうに考えております。
背景には、本当の民意とは何だろうか、あるいは政治はそれをどのように把握し実現をするのか、あるいはまた地方と国との関係はどうあるべきかなど根源的な問題もあるように思います。そしてまた岩国の未来をどうするのかが、まさに問われているのだと思います。
そこで、以下の5点につき、今後に臨む私の考え方を明らかにしておきたいと思います。

第1点目、新市の一体的発展についてであります。
合併後、間もなく1年が経過しようとしておりまして、3月21日には市民会館で記念式典を開催する予定になっております。行政運営も必ずしも円滑にいっているとは言えないところもあり、またさまざまな制度や補助金などの調整も現在行われている中で、混乱や不安などもあるように思います。生みの苦しみとも言えるものであります。そうした中で、いまだに「合併しなければよかった」という声が聞こえてくるのは少し寂しい気がいたします。私は、すべての地域、すべての市民のための市長であり、旧市町村の壁、枠は、私にはありません。市民の皆さんにも、ぜひ壁を取り払っていただきたい。新しい岩国市をどのように発展させるのか、それぞれの立場で前を向いて努力をしていただきたいというふうに思います。
先日、総合政策市民会議と各地域につくられております地域審議会から、今後のまちづくりの基本方針となる総合計画の策定に関する御意見をいただきました。いずれも貴重な御意見として、今後の参考にさせていただきたいと思います。
今回の合併は、バラ色の夢を必ずしも描いたものではありません。地方分権、財政悪化の中で生き残っていくために、言わば必要に駆られたものでもありました。まず、やはり実施すべきは、徹底した行財政改革による財政基盤の強化であろうかと思います。近々、財政健全化計画行政改革計画を策定をした上で、周辺地域にも十分に配慮しながら、優先順位をつけて計画的に事業を実施していきたいと考えております。

第2点、米軍再編についてであります。
今回の移駐案は余りにも規模が大きく、市民の不安が依然として大きい。あるいは、国の進め方に対する反発も依然として根強いものがあると思います。これまでは協力してきたが、今回だけは我慢できないというのが市民の率直な気持ちであり、それが明確に示されたのが住民投票や選挙であったように思います。その後も、市民の安全・安心という観点において問題は解決されていないように思います。このまま一方的に進めていってしまったら基地に対する感情も変化し、国や米国に対する不信感も増大していくのではないかと、正直思います。双方にとって、決していい結果にはならないのではないかという思いもあります。
そういう中で先日、久間防衛大臣に面会をいたしまして、こうした地元の実情、率直な思いをお話をし、国と地方の間で双方の立場を尊重しながら誠意を持って話し合いを行うことを提案をしたところ、おおむね御了解をいただいたところであります。その了解に基づき、昨日、実は私が広島へ出かけ、広島防衛施設局長との間で第1回の協議を行ってまいりました。基本的事項としては基地機能強化に関する岩国の基本方針、今回の移駐の理由、住民投票等で示された民意の尊重について、個別事項としては先日も一部新聞報道されましたFCLP――空母艦載機離着陸訓練の恒常的施設の建設場所、さらなる安全・安心対策、民間空港の再開、海上自衛隊の飛行隊の厚木移駐などについて、さらに質問事項としてFCLPの事前訓練、米軍住宅、地域振興策などについて、改めて岩国の思いをお伝えするとともに疑問や不明な点についてただし、協議を行ってまいりました。
国から示された考え方は従来の域を出ない部分が多く、必ずしも満足のいくものではありませんでしたが、さまざまな課題につき率直な意見交換ができたことは有意義であったというふうに考えますし、今後さらに協議を深めていき、議会や市民の皆さんにも情報提供をしていきたいと考えているところであります。
また、今月初旬から広島防衛施設局にも参加をしていただき、各地で住民説明会も開催をいたしました。昨日までで18回になりました。いずれの会場も多くの参加者がありました。合計2,000人以上になりまして関心の高さもうかがわせるところがありました。いろんな意見が、もちろん出ました。閣議決定をされて変更がないので、振興策をもらった方が得策ではないだろうか、国防は国の専管事項であり、地方は意見を言うべきではないのではないか、あるいは反対ばかりで、市長――私には将来のまちづくりのビジョンがない、あるいは市長はやめてしまえなどの激しい、厳しい意見も出されました。
一方、米軍再編の進め方、騒音や治安、安全・安心に対する不安、そして今回の庁舎補助金の削除など、国のやり方に対する不信や反発も依然として強いということもわかりました。
基地の影響の少ない周辺地域においては、過疎化や中山間地域対策などへの配慮を求める意見も出されました。
一方、基地問題を同じ市民の共通の問題として考えようとする意見、傾向もあるということも実感をいたしました。閣議決定されたので来るものは来る、地域振興策を要望した方が得策ではないかという意見もあります。確かに日米合意と閣議決定は重いものでありますし、国もその方針で進めていこうとされておりますが、一方で、地元住民の理解と協力なくして基地の安定的な運用はないというのも国や米軍の共通した考え方でありまして、強行していくということも難しいのではないかと考えられます。一番大切なことは市民生活の安全・安心でありまして、その観点からとことん議論すべきであり、地域振興策はその次の課題として検討すべきであろうというふうに思います。
また、反対していたら夕張市のように財政破綻するのではないかという議論、不安も今大きくなっているように思います。しかし、これも冷静に考えるべきだろうと思います。米軍再編と財政はいずれも重要な課題でありまして、市政にとっては、一方のために他方を犠牲にするということはとてもできる話ではありません。また、空母艦載機部隊を受け入れても借金が帳消しになるわけでもありませんし、逆に受け入れなくても直ちに財政が破綻するというわけでもありません。両者を切り離して、冷静にどちらもしっかりと対応していくべきだろうというふうに思います。
かといって、岩国市の財政が安閑としておれるということでは決してありません。1,000億円の借金を抱え大変な状況にあることも事実であります。そして、後ほども申し上げますが、愛宕山という本当に大きな課題を抱えて、将来の負担になる課題を抱えているということも事実であります。ありますが、先ほど申し上げましたように冷静に対処すべき問題でもあるし、きちんと財政安定化のために行財政改革等を含めてしっかり努力をしていかなきゃいけないというふうに思います。夕張市と比較される場合もありますが、夕張市は人口1万3,000人、約350億円の赤字を抱えて財政破綻をしたという大変深刻な状況にあります。岩国市と直ちに比較することはできないだろうと思いますし、夕張市のような財政状況に岩国市が陥るということはないというふうに考えております。

3点目として愛宕山地域開発事業についてであります。
愛宕山地域開発事業は平成17年2月に住宅需要調査を踏まえて見直しを行い、2期に分けて宅地分譲を行う予定でありましたが、昨年、改めて収支見通しを行いました。その結果、中止すれば多額の借金が残ってしまいますし、継続し販売をしても、地価の下落により多額の赤字が残るという厳しい内容となりました。損失が出れば、県と市が2対1の割合で補償するという約束になっているわけでありまして、多額の負担が避けられないという状況にあります。
こうした状況の中で、県は開発を中止して転用するという方針を打ち出しておられます。確かに収支見通しが厳しいということでありますし、財政的な問題を重く考える必要があるということは私も同感であります。
しかし、単なる中止という選択肢は考えられないのではないか。中止は、やはり米軍住宅転用につながるという可能性が高く、両者はやはり連動して考える必要があるというふうに思います。空母艦載機部隊の移駐に反対をしている現状で米軍住宅への転用は考えられないわけでありますし、また愛宕地区など周辺地域住民からも強い反対の声が上がっており、将来のまちづくりの観点からも問題が多いと考えます。これまでの事業実施の経緯や都市計画のあり方なども勘案しながら、県と市、公社の共同事業であります。現在は意見がかなり離れておりますが、共同の事業でありますので、できるだけ早く合意をして今後の方向性を見定めていきたい、探っていきたいというふうに考えております。

第4、民間空港の再開についてであります。
日米間で、既に東京便4往復などの基本的な合意がなされておりますが、最近、米軍再編との絡みも生じ、民間空港ターミナルの位置や事業主体のあり方、施設整備の経費負担などに関する調整がなかなか進まない状況にあるということも事実、実態であります。先日も検討協議会を開催をさせていただいたところでございます。
しかしながら、民間空港は従来からの強い要望でありまして、今後とも、複雑な状況ではありますが再編の容認を条件とせずに着実に進めていただくように努力をしていきたいというふうに考えます。

第5点目、新庁舎の建設についてであります。
予定していた新庁舎建設の補助金が、来年度の国の予算に計上されませんでした。平成14年の芸予地震で現在の庁舎は大きなダメージを受け、市民や職員の安全のために緊急に建てかえを行う必要が生じましたことから、自前の基金を積み立てるとともに国に支援を要請をいたしました。防衛施設庁とのたび重なる協議の結果、平成17年2月に49億円程度の補助金交付で国と一定の合意の上、3年間の本格的工事に着手をいたしました。その際には旧岩国市議会にも御説明をしてきたところであります。
その後、工事は順調に進み、いよいよ19年度は完成というこの時期に、米軍再編に絡めて、突然、補助金が打ち切られるということは、国と岩国市の信頼関係を覆すものでありまして、到底納得できるものではありません。それ以後、国に強く再考を求めてまいりました。昨日の協議においても重ねて再考を求め、国の考え方を明らかにしてほしいとお願いをしたわけでありますが、前向きな姿勢は残念ながら見られなかったところであります。予算審議をお願いしている時期でもありますし、来年度の工事も迫ってきているわけでありまして、これ以上、国の補助金の見直しを当てにするということはできないと判断をいたしまして、市民や職員を不安に陥れることはできないので、一定の事業費の見直しを行った上で、不足する財源については合併特例債を充てることとして予算計上をしているところであります。
一部工事を中断してもいいんではないかという議論もありますが、現実にここまで進んでいる工事を中断するということは維持管理経費に多額の費用を要しますし、さらに再開するとなれば、本当にむだな金を使うことにもなりかねません。安全・安心という観点からも中断ということは現実的ではないというふうに考えておりまして、現在の状況ではやむを得ない、今回、事業を継続するということで判断をせざるを得ないというふうに考えております。
しかしながら、こうした経緯については、17年2月には議会にも御説明をいたしました。さらに、合併協議の中でも問題になった事案でありましたから、3月には、たしか合併直前の臨時の合併協議会でも、こうした経緯について御説明はしておりまして、その御説明した内容と今回大きく異なることになるわけであります。特例債とはいえ、3割は自己負担ということになるわけでありまして、市民の皆さんには将来にわたって負担をお願いすることになるわけであり、そういう意味では大変申しわけない思いであります。
しかしながら、今回の措置によりまして、余り旧岩国、旧町村という言い方はしたくはありませんが、今回の措置により、旧町村部の合併特例債を活用した事業に影響が出るということは全くないというふうに思います。全く影響は出さないつもりであります。
私は、当面、周辺部に配慮した政策を実施し、その際にはまず事業を優先的に、計画的にどの事業を実施していくのかということを、実施計画など、総合計画も今度できますが、総合計画などを踏まえて、毎年の実施計画において、市内全域を頭に置きながら、当面、周辺旧町村部にも配慮しながら事業計画を定めていく。事業を採択をしていきたいと考えてますし、その際に財源として有利な財源である合併特例債が使えるものは――合併特例債すべて使えないわけでありまして、使えるものはできるだけ合併特例債を活用していきたいというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

以上、申し上げてきましたが、最後に、川下地区の説明会だったろうと思いますが、こんな意見がありました。これまで我慢し、協力してきたのに、まだこの上大きな負担を受け入れろというのかという声が何人かの方から聞かれました。これを聞いたときに、私ははっとしましたし、心を動かされるものがありました。長い間苦しんできた人の叫びのようでもありましたし、やはり実際に住んでみなくては理解できないものではないだろうかという思いを持ちました。基地周辺住民の不安や不信が解消されるかどうか、これがやはり今回の問題を考える上での大きなポイントであります。一番大切にしなければならない民意がこれだろうと私は思います。平穏な生活をするという住民のささやかな願いがかなうかどうかということに自信が持てない限り、先に進むことは難しいし、場合によっては、今後協議をしていきたいと思いますが、国においても配慮いただきたいし、今回の移駐案の中身、内容にまで踏み込んだ議論も必要になるのではないかというふうに思います。
財政、愛宕山、民空、そして新庁舎、多くの課題が絡み合ってきているように見えますが、これまでやはり余りに国に頼り過ぎた、そういうツケのようなもの、問題点が出てきているのではないかとも思います。我々が愛すべき岩国をつくり上げていくのは、みずからの知恵と勇気でありまして、そこにこそ、市民の本当の幸福があると私は思います。
厳しい道かもしれませんが、自立し、誇りある岩国の未来を切り開くために、私は身を挺す覚悟であります。議会や市民の皆さんにも御協力をぜひお願いしたいと思います。
特に旧町村の皆さんには、急な話、寝耳に水で、情報の少ない話が大変多くて、私は申しわけない思いでありますが、新しい岩国市の一員としてぜひ一緒に考えてほしいと思います。

この定例会に提出された平成19年度岩国市一般会計予算は賛成15、反対17、棄権1というわずか2票差で否決される。

さらに艦載機移駐受け入れという《現実的対応》を標榜する「在日米軍再編に係る決議」、さらに《岩国市は長年にわたり、国防に理解を示し、協力してきたところであるが、我が国を取り巻く国際情勢の不透明化に伴う安全保障体制の変化に対応して、新たな理解と協力の必要性を痛感している》と謳いあげる前代未聞の「国防協力都市宣言を求める決議」を賛成多数で可決している。

平成19年度岩国市一般会計予算は、庁舎建設費に係る歳入を合併特例債から国庫補助金に組み替えて再提案され、6月29日に開催された臨時会で賛否両論ある中でどうにか可決された。

しかし、政府は頑なに姿勢を変えず岩国市を「兵糧攻め」する。国庫補助金が得られる見込みは立たず、岩国市は合併特例債による歳入に組み替えた予算案を市議会に否決され続ける。

定例会最終日の12月26日、井原市長は岩国市議会に五度目になる予算案上程を行なう。岩国市議会がどのように判断するか注目されている。以下、中国新聞報道を引用する。

岩国市長、予算案5回提案へ

岩国市の井原勝介市長は21日、市庁舎建設に合併特例債などを充当する一般会計補正予算案を開会中の市議会定例会に提案すると発表した。過去4回にわたり同種の提案が議会側に否決されていることから、井原市長は、米空母艦載機の岩国移転への対応をめぐり「市議会も私も民意を問う時期にきている」と述べ、自らの辞職による出直し市長選の可能性などをあらためて示唆した。井原市長はしかし、艦載機移転容認派が過半数を占める市議会の自主解散などを含め、民意を問う具体的な手法には一切触れなかった。

補正予算案は、市庁舎建設の財源として31億7400万円の合併特例債と庁舎整備基金3億円を充てる内容。11月の市議会臨時会で否決された案より、基金取り崩し額を1億2800万円増やしている。合併特例債を充当する予算提案は5度目。定例会会最終日の26日、本会議に上程、採決される見通し。

(続く)