新基地建設の環境アセス「方法書」への意見概要書が判明
防衛省が、「方法書」へ寄せられた意見概要を沖縄県に送り付けた。
これで、手続き上は、沖縄県は条例により60日以内(国法は90日以内)に沖縄防衛局に対して意見を述べることになる。
受理していない「方法書」への意見を言えるはずはないのだから、沖縄県は徹底して環境アセスの形骸化を指摘し撤回させるべきだが、確実に仲井真知事は腰砕けで意見をいう。名護市にはハナッカラ腰などあるはずないから能天気に間違いなく追随する。
この動きは、11月の福田首相訪米に向けて「進展報告」のためにする見切り発車劇。すべてが米国へのポーズのために動いている。
続きは、状況に対する私見と、地元紙の報道とウェブ版には出ていなかった「意見概要書抜粋」転載など。
上記のタイムス記事で、名護市長は
「(意見概要が)提出されたということは(知事意見の提出への)カウントダウンだ。意見を言わないわけにはいかない」
と述べているが、このおバカさんが「方法書」受け取りを「保留」した時から、法律上はカウントダウンが始まっている。なんのための「保留」だったのか、筋を通す気もないどころか、自分が何をしているのか分かっておられないのだろう。あぁ、情けない。
上記の記事は、意見書概要で見えてきた内容について報じているので、全文下記に転載しておく。
----ココカラ
米軍普天間飛行場の代替施設建設をめぐり、沖縄防衛局の環境影響評価(アセスメント)方法書に対する住民の意見が二十二日、公表された。「法の形骸化であり撤回すべき」など、五百通近くのほぼすべてが手続きのやり直しを求め、調査の非科学性の指摘も目立った。県は今後、手続き保留の解除と知事意見提出に動くが、専門家は「違法なアセスを追認してはならない」とくぎを刺した。
「法の手順を逆転させ、自然を破壊する違法な環境現況調査は中止すべき」
「大気質、生態系など評価項目の選定理由が抽象的で意味不明」
意見を提出したWWF(世界自然保護基金)ジャパンの花輪伸一さんは「事前調査で環境を攪乱した後のアセスは、科学的でない。県の意向を無視し、市民参加も形骸化させた」と批判する。
「飛行機の種類や数量も示さずに予測するのは不可能」
「軍港を建設するのか明らかにすべき」
基地のアセスに、秘密主義の壁が立ちふさがる。沖縄大学学長の桜井国俊教授(環境学)も意見書を出し、「防衛省は米軍が基地をどう使うか、情報提供させると確約すべきだ。そうでなければ、手続きはただの免罪符になる」と強調する。
県が知事意見を提出することについて、「建設予定地が県の自然環境保全指針でランク1に指定されていることが、今回の方法書では抜け落ちている。アセス審査会を開いて専門家の意見を聞くべきだ」と求めた。
「ジュゴンの絶滅危惧種指定を記述しないなど客観性に欠け、生息状態を無視している」
「調査は最も海草藻場の多様性が高いエリアが空白になっている」
環境の専門的な立場からも意見が相次いだ。グリーンピース・ジャパンの星川淳事務局長は「本島東海岸の命の多様さは奇跡。海洋生態系の価値を再評価してほしい」と訴える。アセス手続きを認めない立場から意見を出さず、代わりに国内外から三万人の署名を集めた。「世界の目が注がれている。事業中止を選択肢に含め、アセスをやり直すべきだ」と求めた。
----ココマデ
意見書のほぼすべてが、手続きのやり直しを求めている。前代未聞のアセスである。
これでも、何事もなかったかのように進めていくのか?
アセス法では、「方法書」に対する意見がどのように事業者のアセスに反映されたのかは「準備書」の段階でしかわからなかったはず。あぁ、防衛省が無茶苦茶をしようと思ったら、それまでは手続き上はできることになる。
どうにか、この段階で、アセス手続きを止めなければ、向こう2年近くは防衛省のやりたい放題が止まらない。
それにしても、タイムスも新報も、「住民意見」としているが、明らかに間違い。「環境の保全の見地からの意見を有する者」たちの意見が正解。「住民」と意見発信者の概念を狭くすることは、政治的に機能することを知るべきだ。
下記は琉球新報の「透視鏡」という解説記事。どんなふうに政府・県がゴチャゴチャ戯れているかが書かれている。興味のある方はご一読を。
ばかげた事柄が、ばかげた手法で進行している。
お願いだから、行政の然るべき人物たちは、何ゆえに普天間代替は《撤去可能の海上ヘリポート》から巨大化したのか教えてくれ。「負担軽減」なんだろう。巨大化して合意するなよ、沖縄のバカな首長たちも。
あっ、それと名護市が求め県が付き合っている沖合移動にすると、現行案よりリーフ内の埋立ては3倍も増えるからね。何を考えているのか、少しは《世界に対する配慮》があっていいだろう。
アセス「方法書」への意見の概要書抜粋は下記。(琉球新報2面より)
- V字形滑走路は着陸用と離陸用に分けているが米軍が協定を守る保証はない。
- 「短距離で離発着できる航空機」の内容が不明確。具体的な機種、飛行ルート、使用時間帯を明確にすべきだ。オスプレイ運用の可能性は。
- 護岸や作業ヤードの構造や位置、規模など事業計画を公表すべきだ。
- 工事や施設の存在によって引き起こされる地形、波浪、潮流、水質などの変化が生物群集に与える影響も重要だ。
- 「辺野古さんご礁生態系」と「大浦湾生態系」からなる認識が示されていない。
- 政府の調査結果のみが取り上げられ、民間団体などの調査結果が引用されていない。
- ジュゴンに対する騒音や水質汚濁、夜間照明など工事や供用時における影響をどう予測するか。
- 海の状況は季節によって変わるので一時期のデータのみに頼るべきではない。
- 環境現況調査を含め、これまでの国の調査、既存資料を有効活用すべきだ。
- 日常的な軍事訓練や多数の兵士が駐留することによる事件・事故の増加など社会環境への影響を追加すべきだ。
- 方法書の縦覧方法が閉鎖的で縦覧場所が少なく、期間も短い。
- 環境アセスの手続きを逆転させ、自然環境を破壊する違法な環境現況調査は中止すべきだ。
以上。
この件については、あらためて記事を書きます。今日はここまで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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