みやぎブログ

演劇・戯れ・政治

恐るべし、スシ婆のKY能力。

 

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NHKニュースが、日経新聞が、朝日新聞が、ニューデリーからの共同通信が、小池防衛大臣の「血迷ってない」という言葉を伝える。

防衛次官人事について、訪問先のインドで防衛次官人事のゴチャゴチャについて語ったらしい。

守屋防衛次官が同日の記者会見で、自らの進退については大臣に従うが「後任については相談して欲しかった」と述べているのに比べると、「血迷って人事に手を付けたのではない」という小池の言葉はどのように受け取ればいいのだろうか。

血迷う」という言葉に少々戸惑いながら、しばし立ち止まってみる。

血迷う」をYahoo辞書で検索すると「のぼせ上がって正常な判断力を失う。逆上して理性を失う。」とある。なかなかエキサイティングな言葉だ。

いいねぇ、なんか風が吹くね(笑)。

報道によると小池大臣の「血迷って人事」発言は、守屋次官が小池大臣の人事手法をあらためて批判したことを受けてした発言である。

守屋次官は23日の記者会見でどんなことを言っているか。報道はどれもバイアスがかかっていることを前提に、とりあえず発言要旨がまとまっている感じのNHKニュースから引用する。

防衛省の守屋事務次官は、省内の幹部人事をめぐって小池防衛大臣と対立したことについて「『後任の次官は、私と相談してください』と申し上げたことに尽きる」と述べ、事前に相談がなかった小池大臣の人事の進め方をあらためて批判しました。
防衛省の幹部人事をめぐっては小池大臣と守屋次官が激しく対立し、先週、総理大臣官邸が主導する形で、守屋次官の後任に増田好平人事教育局長を昇格させることで決着しました。これについて守屋次官は記者会見で、「公務員生活の最後に人事の問題が取りざたされたことで世間を騒がせることになった」と述べました。そのうえで守屋次官は「私が退任することは小池大臣の判断に従うが、後任の人事については、長年役所で仕事をしてきてこれから防衛省が取り組まなければならない問題もわかっているし、組織を活性化させるという面もある。小池大臣に『後任は私と相談してください』と申し上げたことに尽きる」と述べ、事前に相談がなかった小池大臣の人事の進め方をあらためて批判しました。
8月23日 19時27分

守屋次官の「批判」は、小池大臣に自らが首を切られたことではなく、後任人事について「事前に相談がなかった」ことに、本人も言っているが「尽きる」ということだろう。

その「批判」に対して、小池大臣はどのように応じているか。これもNHKニュースから引用する。

小池防衛大臣は、日本時間の23日夜、訪問先のインドで同行記者団に対し、省内の幹部人事をめぐって守屋事務次官と対立した問題について「血迷って人事に手をつけたわけではない」と述べ、みずからの人事の進め方に問題はなかったという認識を示しました。
この中で、小池大臣は、守屋次官が23日に小池氏の人事手法をあらためて批判したことについて「来月1日には防衛施設庁が解体されるなどの組織改編があるからこそ人事をやった。わたしはこの時期に急に血迷って人事に手をつけたわけではない」と述べ、みずからの人事の進め方に問題はなかったと反論しました。そのうえで、小池大臣は「内閣改造後は情報保全の体制をしっかり整えるべきだ。イージス艦に関する情報漏えいなどがあったが、省内で誰も責任を取っていない」と指摘し、守屋次官の退任を決めた理由として、不祥事に対する守屋氏の対応に不満があったことを示唆しました。さらに、小池大臣は、総理大臣官邸の意向も受け、人事案の決定をいったんは今月27日の内閣改造後に先送りしたことについて「来月1日からの組織再編を官邸側がどこまで本気で考えたか疑問だ。霞ヶ関の常識では信じられない」と述べ、官邸の対応にも不満を示しました。
8月24日 7時14分

「事前に相談がなかった」ことについては、何一つ答えていない。
その上で、防衛省では誰も「情報漏えい」などの責任を取っていないことを理由に挙げている。それならそれで、そのように理由を明確にして堂々と人事を行なえばいいのであって、夜中にケータイで電話したり、人事を新聞に事前に書かせる必要もないだろう。
官邸側の対応への不満もしゃべくり、仇敵なのかどうかしらないが、官房長官を常識はずれのやつだとあてこすっている。

小池大臣に言わせれば、守屋次官は「情報漏えい」の不祥事に関する引責辞任(小池大臣が下す懲戒免職)であり、塩崎官房長官霞ヶ関の常識を知らない無能力な政治家である。

小池大臣は、戦う政治家である。ケンカには論理などどうでもいい。相手を決めつけ、相手にとって不利なレッテル張りをしてしまえば、あとは涼しい顔でいればいい。小泉前総理から、小池大臣は、その方法論を精神を、確実に学んでいる。
このえげつないファイティングスピリットのまま、防衛大臣をやらせていると、アメリカ様からの指示さえあれば、どことでも戦争をおっぱじめるだろう。

ひるがえって、「血迷って人事」に戻るが、何ゆえに、このような激烈な言葉を使ったのか。私は、言葉の使い方として適切でないのではないかと思っていたが、そうではなかった。そのような激烈な言葉を使うことで、守屋次官を切る自らの正当性を強調誇張し、同時に守屋次官の「批判」を蹴散らす。ついでに、守屋次官の「批判」に内在する(次官級人事については事前に次官・大臣が相談のうえ、官房長官会議等で決定という)霞ヶ関の常識破りという自身への指弾に知らん顔し逆にそれを仇敵におっかぶせぶった切る。
彼女は「血迷って」はいない。生き死にをかけた戦場で、殺らなければ殺られる状況下で、殺気を感じ取り闘い続けているのである。さすが元祖刺客である。
彼女は「血迷って」はいない。彼女は「血に飢えて」いるのである。

小池百合子は次官人事騒動で、世の中が彼女を「のぼせ上がって正常な判断力を失う」「逆上して理性を失う」すなわち「血迷って」いる大臣と批判している空気を読み取って、過剰防衛している側面も否めない。

スシ婆のKYは、「空気読めない」ではなく、「空気読みすぎ」なのかもしれない(笑)。

いずれにしても、おそろしいネオコンファイターが内閣にいる。それも軍隊を動かすポジションにいることを、私たちはゆめゆめ忘れてはならない。

あっ、私はスシ婆とは思想信条イデオロギーがまったく違うので、彼女は存在そのものが「血迷って」いると思っています。