宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

政府・沖縄は「基本合意」を白紙撤回すべきだね

Yosikazu_1

那覇防衛施設局が、アセス方法書を明日(14日)から公告縦覧する。
関係地方公共団体である沖縄県名護市宜野座村が、方法書を受け取り「留保」し、縦覧場所提供などの協力も拒む中でのアセス手続きの進行である。

このまま進めば、県知事が名護市長宜野座村長の意見を束ねて事業者(那覇防衛施設局)に述べる意見も消えてしまう。

形骸化した虚しい手続きだけが進行する、前代未聞の環境アセスになる。

哀れなブヒ市長が、政府と「基本合意」などするもんだから、とんでもない事態が進行してしまっている。自治も統治も環境配慮もへったくれもありはしない。

防衛庁長官名護市長の「基本合意」(昨年4月7日)まで遡らなければ事態の解決はない。

名護市は「基本合意」を盾に、政府・防衛省と合意したのは「概ねの場所と施設の形状であり滑走路の位置ではない」として、滑走路の沖合移動を主張している。基本合意には図面が添付されているが、それは「概念図でしかない」というのが名護市と県の認識である。

それに対して、防衛省は「名護市基本合意書を交わし、米国と(米軍再編最終報告で)合意するまでは概念図だったが、米国と調整した結果『これでいい』となった。名護市とは交渉の過程で明確に位置を決めている」(沖縄タイムス=2007.0301)と反論する。

名護市防衛省の間に、どのような「交渉の過程」があり、「明確に位置を決め」たのかは当事者にしか分からない。どちらかがウソをついているのだろう。ないしはどちらも。

いずれにしても、その「設置要綱」で目的を「具体的な建設計画、安全・環境対策等について政府、沖縄県及び関係地方公共団体の間で協議するため」とある「移設措置協議会」を、今年の1月19日以来開催しきれず環境アセス手続きに突入することは、政府の沖縄無視の見切り発車でしかない。

基本合意から、今日までの間には、一方通行とされた滑走路が、米軍は双方向がありうると明言したり、住宅地上空を飛ぶことは避けられないと発言したり、さまざまな問題が露呈している。

名護市宜野座村も、このまま黙って、政府案のまま受け入れることはできない地点にいる。

「基本合意」は、その5項目目で

政府は、閣議決定を行なう際には、平成11年12月28日の「普天間飛行場の移設に係る政府方針」(閣議決定)を踏まえ、沖縄県名護市及び関係地方公共団体と事前にその内容について協議することに合意する。

となっている。
昨年5月30日に行なわれた閣議決定は、沖縄県名護市に事前協議もなく、北部振興策が廃止されるという内容だった。この時点で、「基本合意」はすでに政府によって反故にされており、名護市は決然と異議申し立てを行い、合意を撤回すべきであった。
政府も沖縄側も、そもそもの「基本合意」を、お互いに無視しまくっているのだから意味なし。ナンセンスな「基本合意」は白紙撤回すべきだね。

それができない名護市に、環境影響評価の方法書の受け取り「留保」のさきに、なんらかの行政としての対応策や考え方があるとは思えない。

基地建設に反対する市民が、この名護市沖縄県の「留保」を政府への抵抗と捉え(支持す)ることは、短期的な戦略思考としても、大きく方向を見誤る。問題は、市や県の要求実現(のための抵抗)にあるのではなく、自治体が政府と「合意」したり「確認」した「基本」が反故にされてなお、政府との協調の余地を残す「留保」は、自治を守る立場からはないということを確認することである。

沖縄県名護市、そして政府防衛省は、どこでどのような妥協をするかわかったものではない。アセス手続きで知事意見(つまり自治体意見)が出されないことは、双方にとっても都合がよかったぐらいの話にされかねない。

それほどに、防衛省の沖縄への高圧的不遜な態度と、それに抵抗しつつ媚びている自治の溶解は酷いものである。
「基地と共生」を口にして消えていった宝珠山さんがなつかしい。

沖縄における「自治」は神話である。
沖縄は施政権を米国から日本に返還されるのではなく、サンフランシスコ講和条約で予定されていたように「国連信託統治」になったほうがよかったかもしれない。

---

この件については、沖縄側の対応も悪すぎる。だからといって、日本国のマジョリティの酷い仕打ちが相対的に軽減されるわけではない。それよりも、その酷さに呻吟するあまり沖縄側が狂気のダンスを踊っているのかもしれない。私は誰にも同情しない。
下記エントリーも参照してください。

《騙され》考(2006.11.11)

基地と振興策(上)(2006.7.16)

基地と振興策(下)(2006.7.17)