宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

新基地建設=危険な商談の展開予想

辺野古アセス「防衛首脳」県の考え否定琉球新報=07.0804)

北部振興 予算要求へ/高市沖縄相、強い意欲沖縄タイムス=07.0804)

二つの報道がある。防衛省は、沖縄側が自身の要望を踏まえた「複数案アセス」を要求していることを否定する。内閣府沖縄担当は、北部振興の予算要求へ意欲を示し、協議会開催が必要性を強調する。

Dugong_959それに環境省レッドリスト最上位に、やっとジュゴンが位置付けられるニュースが絡む。

沖縄県名護市は追い詰められている。いったいどこに出口を見出そうとしているのか。
状況は、依然として混沌としている。仲井真トップダウン沖縄県には、この状況を切り開く知恵も論理もないようであり、ブヒ市長をトップにすえる名護市はずいぶん前から妙案もなく思考停止でブヒブヒ言っているだけ状態である。植民地状況の沖縄で、植民者に協力する首長たちの正体/役割がやがて明確になる。

昨日の続きで、少し状況を眺め回して整理し、憶測をたくましくしてみる:)

■アセスをめぐる応酬

これは、新聞記者の理解不足なのか、行政側がでたらめを言っているのかはわからないが、沖縄県が提案しているといわれている「複数案アセス」というのは、アセス方法書を複数出すのではなく、基本計画を確定的なひとつにするのではなく、それのバージョンがいくつかあり、最終的にどのプランを選択するかは、アセスの調査・予測・評価のなかで決定するというものである。

それを先の記事では、「複数の方法書などみたことない」と方法書が二つも三つもあるかのように防衛首脳は語り、「それならなんのために環境アセスをするのか」とまで言っているが、このような発言はナンセンスでしかない。防衛首脳はアワセメント(事業をやるために影響は軽微という結果先にありきでそれにあわせてやるアセスという皮肉)としての「事業アセス」しか考えていないし考えられないので、そのような発言になっているのだろう。

防衛首脳が、アセス方法書は「受け取る、受け取らないというものではない。出された方法書に対して、知事意見として考えを述べることができる」としているのは、手続き論としてはあたっているが、ここで問題なのは、この知事は通常の事業の手続きにおける知事であると同時に、事業者と共に「協議会」を構成し基本計画等をオーソライズしていく知事でもあることである。

防衛首脳はそんなこと百も承知で、手続き上の一般論を正論として吐いている。これは、「協議会」の構成員としての知事や市長、地元の首長たちをどのように位置付けているかという問題である。彼らは対等な立場ではなく、政府案を丸呑みするだけの役割しか与えられていないということなのかもしれない。

■協議会という関門

高市沖縄担当相が、「北部振興」の予算要求に強い姿勢を示しつつ、協議会開催が重要ポイントであるとしているのは、アメをアメとして出すけど、そのためにはムチをうける場の開催/参加が条件としているのだ。

移設措置協議会の場で、名護市は独自の沖合い変更案を示すと意気込んでいたが、非公式な場での説明にされ、腰砕けになったのが前回の協議会である。こんど開く協議会で、この問題が議題にならないはずはなく、政府案と沖縄側の変更案が協議会の場でガチンコしてしまうと、ますますもって出口なしの状況になってしまう。そんな協議会を開催して、移設が前進しているという理屈にはならないだろうから、沖縄担当相が言っている「一歩進めていくため、協議会を開くことが重要なポイントになる」というのは、それ相応のプレッシャーを沖縄にかけているわけである。事務レベルでの調整や水面下での政治は恐ろしい駆け引きになっているだろう。

■沖縄・政府それぞれの事情

アメとムチの、日米軍事再編の「沖縄・岩国方式」が、政府と協力姿勢を示しながらも主体的主張をしているかのような沖縄側のポーズを、その虚飾を剥ぎ取ろうとしている。

いずれにしても、政府が沖縄側のポーズといつまでも付き合っているかというと、私は現在の防衛省は付き合わないだろうとしか思えない。政府案をジュゴンにも配慮した策として、「沖縄側が海を守ることを考えないでどうする」みたいな発言を小池大臣がやっているのは、明らかに守屋次官が言わせている。このような主張の展開で、沖縄側の変更要求を切って捨てると同時に、政府案を環境保護も考慮した最善の策として位置付けていく。

名護市の滑走路沖合い移動要求は、「地元の強い意向」とされていたが、辺野古のメンバーは政府案で進めてほしいとまで言い出している。名護市はハシゴをはずされかかっている。名護市の面目を守るために、辺野古区は公式にはそのような意思決定をしないだろうが、水面下ではもうそのような交渉、話し合いが進んでいると考えていいだろう。あとは体面をどう保つかというだけの問題である。

だとしたら、何が起こるのか。

名護市が滑走路沖合い移動要求を取り下げる。それはさすがにブヒ市長といえども、むずかしいだろう。ブヒ字形滑走路で基本合意しただけでも、公約違反と騒がれたのに、これで騒音軽減を口実に主張してきた要求まで取り下げたら、さすがにボロボロになる。

沖縄側が要求を取り上げないのなら、複数案アセスでこの局面をごまかして先に進める。これもこれでハードルが高すぎる。米国の「浅瀬案」を引っ込ませて合意した日本政府主導の「沿岸案」である。その実行の最初のプロセスで浅瀬案と見紛う案まで含みこんだら、なんのための日米協議だったのかということになる。

■出口はひとつ

新基地建設を進めたい政府にとって出口は、粛々と行政手続きにのっとり、環境アセスに入るという道しかない。(もうひとつある可能性の出口は、このままアセス手続きに入らず、現在強行しているように事前調査オンリーで進めて、アセスそのものを無意味な手続きにしてしまうことである。しかし、それは着工にいたるプロセスをすべて破壊しかねないので、さすがにとりうる道ではないだろう)
沖縄側は反対するだろう。反対させればいい。名護市長沖縄県知事も、次の選挙まであと3年ある。できるだけ早い段階で、政府が強行してくれたら、それに反対するポーズをとりながら、選挙対策をとっていくことができる。自治体が反対するポーズをとることで、「反対派」対策のガス抜きにもなる。

以上が、私の勝手な憶測である。
ドラスティックに事態は進むだろう。しかし、これは建設ではない、アセス段階である。あわてず、問題の本質をしっかり見据えて、対処する必要がある。

■アンフェアをやめさせるために

新基地建設はおかしい、やめるべきだと考える私たちがやらなければならないことは、
  1. 防衛相が言うような「ジュゴン保護や環境に配慮した政府案」ではないということを、速やかに反証すること。
  2. グアムへの在沖海兵隊移転に数十兆円も出すのに、この新基地建設は法外な無駄であることを立証すること。
などではないだろうか。
問題を普遍化し、さまざまな角度から光を当てて、アンフェアをやめさせること。そのためにやらなければならないこと、考えなければならないことはたくさんある。まだまだ語りかけなければいけない相手は大勢いるし、語る言葉を発明しなければならない。
もちろん、反基地や平和運動、環境保護などの行動の重要さは論を待たない。

ということで、まだ夏風邪は続いており、あまりひどくこじれないので、ダラダラやるべき事柄をやりながら生きています。ただでさえ少ない思考力が、確実に落ちて、ボゥっとしながらパソコンに向かってキーボードを叩いてる。

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前東村長・宮城茂氏が外務省に表彰された。今日の琉球新報2面に小さく記事が出ている。彼の功績はなんだったんだろう。V字案合意の際に「本音と建前を使い分ける時代は終わった」と語った防衛省での記者会見に、すべてが凝縮されている気がする。哀しい役回りを引き受けたものだ。

沖縄は楽園ではない。
沖縄人は、無辜なる民ばかりではない。