みやぎブログ

演劇・戯れ・政治

議会は踊る

名護市議会で昨日はいろいろあったらしい。
遅くまで議員の皆様はご苦労様でした。

夕方には地元の新聞記者の方から連絡があり、「ヤスヒロさん提出の意見書案が"緊急性なし"ということで多数与党に否定されたことがありますよね」と問い合わせがあったが、「あったけど具体的なことは忘れた」と答えた。

市議会の取り決めで、臨時議会で予定されていなかった議員提出議案を出すときは、緊急性という要件が必要になる。どうも先の記者の方は野党であった私が出した場合と、与党議員が出したときの扱いの違いを考察したかったらしいが、今回の意見書は緊急性ありということで審議され採決されたらしい。議会終了は休憩を挟んで、夜10時半頃だったみたい。事務局も大変だったね。ご苦労様でした。

V字修正案 沖合移動求め意見書 名護市議会、賛成多数で琉球新報

V字形滑走路 沖合移動求め意見書/名護議会 賛成多数沖縄相姿勢に対応沖縄タイムス

沖合移動求める意見書/名護市議会が可決(朝日新聞

17対7(欠席2)の賛成多数で可決という結果にあいなったようです。
長時間にわたる議会では、傍聴席からのヤジに対してお前、覚えてろよ」「ぶっ殺すぞと恫喝めいた応答をする議員もいたらしい。あぁ、頭イタイ……、恥辱である。

意見書の内容は

「昨年5月に日米両政府が合意したV字案について、地元から安全性を確保し騒音を軽減するため、可能な限り沖合に移動してほしいと強い要望がある」

として、政府にV字案修正を求めるものらしいが、その提案理由は、内閣府高市早苗沖縄担当相が、名護市の案も検討すべきと発言したという報道を受けて、

「市議会として高市担当相の心に応え時期を失しない対応をとる必要がある」

というものらしい。"心に応え"って、笑っちゃう:)

質疑では、野党議員から

「地元から修正案を提案するのは容認できない」
「基本合意の議論がなされないまま、修正案の意見書を可決すべきでない」
「(自分たちから)ここに造って下さいと言っているようなものだ」
「(ジュゴンのえさ場となる)藻場がなくなるなど環境への影響が大きい」

などと反対意見。
与党市議らは

「政府案をそのままのまされるわけにはいかない。住民への影響を最低限に抑えるためにも、議会として沖合展開を求めるべきだ」

と意見書案可決の必要性を主張したらしい。

市民により選ばれた議員の方々の行為ですから、結果についてあまりとやかく言う気はないが、下記2点だけは指摘しておきたい。

  1. 高市早苗氏の「心」に応えるという理由もいかがなものか?あまりにも他力本願・権威主義過ぎないだろうか。自信を持って独自判断で動くべきだろう。
  2. さらに、「地元の要望」を必要以上に強調するのはいかがなものか?地元とは誰で、どのような責任主体なのか?

1に関しては、沖縄担当相の「心」に応えるというが、政府(防衛省)との不利な交渉をしている市長に内閣府担当大臣が味方したからといって、勢いづいて「時期を失しない対応」をしようという議会の姿勢しかみえない。ブヒ市長は喜ぶだろうけど、稚拙・拙速である。

2に関しては、この問題に対してはずっとそうだが、ご都合主義で定義している「地元」に責任を負わせすぎる。そろそろそんな議論は卒業したほうがい い。名護市が提案しているらしい「修正案」で、本当に安全性は確保され、騒音は軽減されるのか。実体不明の"地元"が「沖合い移動」を要望しているという が、それで安全確保・騒音軽減はなされるのか。そこを慎重に審議して、しかる後に議会として責任ある「意見」を言うべきではないのか。

200701181301_2 南西側に滑走路をずらすことは、辺野古集落の目の前に滑走路を持ってくることである。

久志岳や辺野古岳からの音の反響を考慮すれば、より騒音影響は激しくなることも考えられる。
名護市議会は、シュワブの廃弾処理場移転のために施設庁が地形模型も造っていろいろ実験したことを知っている。あの地域の地形を考慮すれば、騒音問題は地形との関係がとても大きい。

いま言われている「修正案」が「騒音軽減」につながるという論拠は怪しすぎる。下手したら、人間が住めなくなるような環境を作ることになるかもしれない。
「騒音軽減」を言うんだったら、南西側にずらさず、そのまま長島を潰して沖合いに移動させればいいではないか。なぜそうしないのか。"return to 2005"である。浅瀬を潰す埋立工事が必要なのだろう。どこまでも、頭の痛い話である。

いずれにしても、こんな問題について「軍事基地等対策特別委員会」を一度も開いていないのが名護市議会である。にも関わらず、昨日の様な意見書騒ぎ は、「政治的」に踊っているだけ(それも自分たちだけ悦に入って下手で見ていられないダンス)で、まともな審議及び意思決定ではない。

あぁ、ため息だけである。