宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

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20050927 国・県・市とが一体となって新基地建設を進めようとしているのは間違いないが、基本合意したブヒ字形の位置修正を公然と求める名護市

わけわからない……と思っている方も多いだろう。

「騒音懸念」の言い分に一定の理解を示す向きもあるだろう。

何が起こっているのか。米軍再編協議"中間報告"の出た05年を振り返る。

2005年9月16日沖縄タイムス朝刊にこんな記事が出た。

「辺野古」縮小も検討/日米
日米両政府は米軍普天間飛行場の移設先について、名護市辺野古沖で、現行計画より陸地に近い浅瀬を埋め立て、代替施設の規模も大幅縮小して建設する案を検討している。約千三百メートルの滑走路を想定、完工まで五年程度に短縮される。
日米関係筋が十五日、明らかにした。
これは北部の建設業者や市町議員らで組織する
防衛協会北部支部が六月に作成した独自案を踏まえた内容で、米側が強い関心を示した。
(後略)

防衛協会北部支部の試案は、支部長である東開発の仲泊弘次氏が作成・提案した私案であるといわれている。日米により辺野古移設が白紙撤回されることも噂/報道されている時期に、同案は提案された。
9月20日の琉球新報朝刊ではこう報道されている。

名護市長の辺野古浅瀬案容認/北部経済界と足並み/「出来レース」との批判も
米 軍再編協議で普天間飛行場代替施設として有力視される名護市辺野古での浅瀬案を岸本建男名護市長が容認した。この案には地元辺野古区も歓迎する意向を示 し、出所である北部経済界と首長、地元が足並みをそろえた。この発言は北部新空港による地域振興を掲げて「やむを得ず」として自ら受け入れた「軍民共用」 の大前提を覆し、地元発の積極的な「受け入れメッセージ」ともなる。保革を超えた県民総意に逆行して県内移設を加速させかねない。(北部支社報道部・黒田華)

新報記事によると、

8月には区有志による代替施設推進協議会(大城松勇会長)が図面を携えて防衛施設庁の北原巌男長官に面会し、辺野古区の大城康昌区長は「リーフを残すのは歓迎」と前向きな姿勢を示している。

ということであり、市長も検討に値するとし、これで地元(名護市辺野古区・建設業界)はある意味、一枚岩の形を見せた。
9月27日には琉球新報が続報記事を掲載している。

責任ある答弁避ける 政府、県や市への不満根強く 岸本市長の縮小案容認
普 天間飛行場の名護市辺野古移設問題で、浮上しているリーフ内縮小案を容認する発言をした岸本建男名護市長は26日、市議会9月定例会で「縮小案は検討の範 囲内」などと現計画に代わる新代替案を検討する姿勢を改めて示した。一連の発言をめぐっては、米国が「地元市長が容認している」と縮小案を推す根拠とした と報道されるなど波紋が広がっている。しかし市長は、一方で「(辺野古移設について)自分は賛成、反対のどちら側にも立っていない」と言及を避け、発言の 重さに対する責任感を問う声も上がっている。
(北部報道部・黒田華、東京報道部・普久原均)

米軍再編協議が大詰めを迎える中での、「検討範囲内」という市長発言は米側から「浅瀬案」地元容認の論拠とされ日米協議は混乱する。

…26日の市議会の場で「市長の意思がどうであれ、米国が日本側に『地元がこれでいいと言っている』という材料にされている」と追及した宮城康博議員に対し、市長は「10月中旬という中間報告が切迫している。日本政府にシグナルを送らなければならない」と説明した。

さらに、この縮小案が、現計画を停滞させている環境問題や反対行動などの問題を解決していないと指摘されると「日本政府が執行不可能と判断すれば(普天間は)県外に移してもらうしかない」とげたを預けた。

市長は自身の発言の影響についても、その結果、選ばれる可能性がある縮小案が生むであろう問題についても、責任ある答弁を避け続けた。
琉球新報05.9.27)

岸本前市長は、防衛庁の「陸上案」に危機感を持ち、確信犯として日米協議にシグナルを送った。(軍民共用や使用期限の)条件をなくしても名護市は受け入れるというシグナルを。

岸本建男亡き後の名護市が合意したブヒ字形も問題解決につながらないが、「浅瀬案」(記事中では"縮小案"となっている)では海草藻場が壊滅してしまい、自然保護団体に突き動かされ環境省防衛庁が自然保護の観点から行なってきた努力結果をすべて放棄してしまうことになる。……このような流れを押さえた上で、20日(土)のブログ記事で参照したタイムス報道を読むと、守屋氏vs名護市(仲泊氏に代表される業界と一部の辺野古の方々)の立場の違いが鮮明になる。

いずれにしても、このような受入先自治体である名護市の動きが、"米軍再編"での移設見直しの結果、沖縄側からの「受入条件」が雲散霧消することを 何一つ問う声が上がらない状況をつくりだしていた。反対派はハナから反対だし、条件付賛成派の条件などは利益誘導でしかない。稲嶺前知事には悪いが、当 然、なるようになったということかもしれない。

"軍民共用"や"15年使用期限"などの実現不可能な問題を抱え込んだ前案(これは内閣府が中心になってまとめた99年閣議決定)の【お葬式】を、 環境問題などで大掛かりにやった防衛省としては、新しい案(これは防衛省が中心となった06年閣議決定)で環境問題をさらにクローズアップさせるわけには いかない。

05年の9月28日の朝日新聞は次のように報じている。

普天間移設 三すくみ

知事 「県外移設」曲げず
名護市 辺野古縮小を容認
防衛庁国会議員 基地内基地が浮上

沖縄県宜野湾市にある米海兵隊普天間飛行場の移設問題を巡り、奇妙な現象が起きている。稲嶺恵一知事が県民世論を後 ろ盾に「県外移設」を繰り返し主張している間に、新たな県内移設先として名護市の「シュワブ陸上案」と「辺野古沖縮小案」が浮上し、独り歩きを始めたの だ。どの案にも関係者の思惑が絡み、三すくみの様相を濃くしている。

記事によると、仲泊弘次氏は自ら周囲を測量し直し、陸地近くの浅瀬にヘリポートを造る「辺野古沖縮小案」をまとめたらしい。さらに、

「騒音は増すだろうが規模が縮小されるのならいいんじゃないか」辺野古住民からはそんな声も聞こえ、自信を深めたという。工期が短くて済み、当初案に比べると工事が簡単なので地元業者が参入できる利点もある。今年6月、自ら支部長を務める県防衛協会北部支部の名で、米側や県にこの案を打診した。

ということである。

ブヒ字形滑走路の位置を、2005年に仲泊氏が作った浅瀬案(記事中の「辺野古沖縮小案」と同)に近づける努力をしている名護市は、「騒音懸念」で修正を求めているのではなく、地元建設業者の参入しやすい(利益導入しやすい)計画への修正を求めているのである。

名護市の迷走振りをみていると、97年は遠くなりけりと思うが、市民としての私は混迷を脱する言葉を探し続けている。

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週末、少し時間があったので、頭の中を整理したけど、とても長い記事をまた書いてしまった。
ここまで読んでくれたあなたに感謝します。

米軍再編について日米審議官級協議が行なわれていた2004年の情報を整理すると、仲泊氏が焦って「浅瀬案」を出してきた遠因を推察できる。これは次の機会に……、それにしても沖縄の政治は大事な機会を喪失してしまった。