宮城康博blog

沖縄・自治・徒然…Ten Thousand Light-Years from Home

久間発言の波紋

Kyuma_fumio なにが起きているんだろうな。もうじき辞めるかも知れない噂が飛び交う、久間氏の発言は、単なるアドバルーンでもないだろうし、舌禍につながるうかつなフライングでもないだろう。

報道で見る限りはこうだ。

久間防衛庁長官は1月3日に訪問先のタイで、同行している記者団と懇談した。その際の発言が取りざたされている。

「滑走路1本でもいい。沖縄県名護市、米国の3者が合意する案なら何でもいい」毎日新聞

「集落の上を飛ばないようにするには、かなり沖合に出さないといけないので、難しいと思う」読売新聞

「V字形は予算が高く1本の方が安い。財政再建もあるのだから安いに越したことはない」日経新聞

久間氏の発言は、

  1. V字滑走路に固執しない
  2. 滑走路1本にしても沖合い展開は難しい
  3. 予算的には1本の方がいい

というものである。報道では《1》がクローズアップされているが、2・3を見逃せない。

滑走路1本で沖合い展開ではなく、予算的にリーズナブルなのは、米軍再編協議の大詰めのころに報道され、米国側も地元の提案として積極的に評価した、《浅瀬案》である。

朝日新聞だけが報道している記事に、久間長官が「藻場の移植検討指示」というものがある。長くなるが、全文引用する。

藻場の移動、検討指示/防衛庁長官

2007年01月05日

 在日米軍再編の普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古崎への移設問題で、久間防衛庁長官が、辺野古沖の浅瀬にある藻場を別の場所で育成するよ う、防衛庁に検討を指示していたことが4日分かった。久間氏はV字形滑走路を浅瀬にずらして1本化する考えを示しており、藻場の移動も1本化を前提にした ものだ。ただ、昨年5月の日米両政府の最終合意を全面的に見直すことになるだけに、実現可能性ははっきりしない。

 久間氏がジュゴンのえさ場の藻場の移動の検討を指示したのは、環境団体の反対運動などで飛行場移設が暗礁に乗り上げるのを避けるためだ。滑走路をずらせば、米国が05年10月の中間報告前に主張していた「浅瀬案」に近づくことにもなる。

 久間氏は96年に長官を務めた際、移設先を海上施設とする日米特別行動委員会(SACO)最終報告に合意した。だが、「10年間同じ状態が続いてきた」 (久間氏)との思いが強く、「現行のV字案には賛成できない」と主張する仲井真弘多沖縄県知事に配慮し、滑走路1本化に理解を示したとみられる。

 だが、政府内や県側には困惑も広がる。政府関係者は「1本化は久間氏の個人的な見解だ」と口をそろえ、日本政府と県が合意しても、米国が応じるかどうか も定かではない。外務省関係者は「米国は1本より2本の滑走路の方が離着陸に便利でV字案を手放さないのではないか」と指摘、米国との再調整は難しいとの 見方もある。

 一方、県側も半信半疑だ。知事は4日、「非常にいい話だ」と修正に柔軟な姿勢を示した点を評価。就任前日の昨年12月9日、県選出の自民党国会議員らとの会合で「浅瀬に1本だけ滑走路を建設する方が技術的にも予算面でも効率的ではないか」と述べたこともある

 ただ、知事側近や県幹部は「大幅変更は日米交渉をやり直し、建設計画や環境アセスメントの内容も一から作り替えることになる」と実現可能性に疑問符をつける。県には4日朝、防衛庁幹部から「(長官発言に)事務方は関与していない」との連絡があったという。

 名護市の島袋吉和市長も「真意がわからない。海上にできるのであれば歓迎したいが、集落上空の飛行を回避できるのか。米国も説得できるのか」と語った。

記事中の、外務省の懸念は、米国側が再編協議の際に《浅瀬案》を推していたことを考慮すると、それほど大きな障害ではないだろう。名護市長の懸念は、米国説得以前に、彼を市長たらしめた建設業界のボスが提案した案であり、彼が否定することは困難だろう。

しかし、久間氏は環境問題を軽く見積もっているかもしれないが、そのことも相まって10年の長きにわたって停滞し、その上で方針を変更した、事務方のトップである守屋次官らが納得するはずがない。

うーーーん、なにかが起きている。しかし、単なる新聞読みのおっさんの推理では、この先が読めない。

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一連の報道に見る沖縄側の反応は

仲井真県知事(琉球新報
「地元が合意できるなら(滑走路は)V字形でも一本でもいい」

荻堂名護市商工会長
「知事一人に汗をかかせるのではなく、地元もお手伝いしたい」

末松名護市助役(沖縄タイムス
名護市はもともと騒音の少ない海側への建設を求めている。仲井真弘多知事の新しい提案や防衛庁がどこまで検討しているのか聞いてみたい」
同助役
名護市と知事は一体だ」

などなどである。
使用期限や軍民共用などの条件を付けて、岸本名護市政と対政府交渉をしていた稲嶺県政は終わり、ブヒ字案としか呼べないバカバカしいV字案で政府と合意した名護市の後見人である仲井真県政は一体化の度合いを強くしている。

久間発言を政府は火消しする。

外相
「決まった話をまたひっくり返すことになる。日米安全保障協議委員会で決めたので、その方向に沿うのが基本だ」

「『地元が納得するなら(修正に)応じる態度はある』と言っているのではないか」

官房長官
「政府としては2プラス2で日米で合意した案が基本線だ」

「今回の案(V字案)の実施には日米両政府、地元の三者の合意が重要であると強調したいために言ったようだ」

《三者合意が重要であると強調するため》の発言だとしたら、ますます久間発言は広がりと深みをみせる。

  1. V字滑走路に固執しない
  2. 滑走路1本にしても沖合い展開は難しい
  3. 予算的には1本の方がいい

2を沖縄側が了解(浅瀬受入れ)してくれたら、3は日本政府としての利益につながる。日米合意の1を、限りなく再編協議の際の米国の主張《浅瀬案》に近づけられるなら米国も理解しうるだろう。

これから、何が起こるかを見通すのは難しいが、久間氏が守屋次官を抑え込んで政治を行ない《浅瀬案》に近づけていく可能性は否定できない。

いずれにしても、新年早々、こんな問題を起こしているようでは、ブヒ字案はやっぱり名護市長だけが歓迎するブヒ字案でしかない。