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 毎日新聞と読売新聞が報じている下記ニュース。
 ウェブ上の記事はリンクが切れるので、読売記事全文も貼り付けておきます。

毎日新聞 2006年11月23日 19時59分

久間長官:沖縄知事選敗北なら許可権限を国に…検討明かす

読売新聞 2006年11月23日21時8分 

沖縄県知事選、負けていたら特措法も…防衛長官明かす

 久間防衛長官は23日、長崎市のホテルで講演し、沖縄県の米海兵隊普天間飛行場移設について、「知事選に負けたらどういう手でやるか、その時は法律を作り、一方的に県知事の権限を国に移してでもやらないといけないと思っていた。負けたら力づくでもやるという腹を持っていた」と述べた。

 19日の知事選で与党推薦候補が敗れれば、代替施設建設に向け、公有水面埋め立てに関する知事の許認可権を国に移す特別措置法の制定を目指す考えだったことを明かしたものだ。

 久間長官は「知事の意向を聞き、うまく調整しながらやっていく」と強調した。

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 沖縄タイムス琉球新報の二面にも、同内容の通信社の配信記事が掲載されている。ネット上で読むことはできない。

 公有水面埋立に係る知事権限を取り上げる特措法に関しては、昨年から報道されていたが政府は公式には否定し続けていたはずだ。知事選で自公候補が勝ってうかれて出たのだろうが、防衛庁長官の今回の発言は重い。ウチナンチュはなめられたものである。

 駐留軍用地特措法といい、在日米軍基地に係る法律は、地方公共団体の関与を極力廃する法になっている。法治主義とは名ばかりで、法をこのように国のご都合で変えることは、国家権力の憲法に抵触するきわめて危険な行為である。

 知事選の結果うんぬんの話ではない。また、基地反対やイデオロギーうんぬんの話でもない。非情に重要な論点がここにはある。

 沖縄のジャーナリズムが、この記事をただただ垂れ流すだけで、コトタレリとしているのなら、そのこともまた恐ろしい。まがりなりにも、新知事にな る方は「政府案には反対」を言っているのである。久間発言は政府案を力づくでも実現すると言っているのである。その上で、「知事の意向を聞き」という言葉 の空疎さを、「うまく調整しながらやる」という言葉の空恐ろしさを聞き分けるべきだろう。

 行政の意思決定の経過も無視した「リンク論」といい、このような発言をまかり通らせる放置主義は、やがて歯止めの利かない状況をまねくことになる。もうそうなっているのかもしれない。